溶岩流

溶岩流とは

溶岩流とは、火山の噴火に伴い、地下のマグマが液体の溶岩として地表に噴出し、流下する現象、およびその結果として地表に残された地形を指します。溶岩流は、その生成条件やマグマの性質によって様々な特徴を持ち、地球のダイナミックな活動を象徴する現象の一つです。

溶岩流の生成条件

溶岩流が生成されるためには、以下の3つの条件が揃う必要があります。

1. マグマの粘度が低いこと: マグマの粘度が低いほど、溶岩はスムーズに流れやすく、広い範囲に溶岩流を形成します。
2. マグマの揮発性成分が失われていること: マグマに含まれる揮発性成分が少ないほど、爆発的な噴火が起こりにくく、穏やかに溶岩が流れ出します。
3. マグマの噴出量が多いこと: 大量のマグマが噴出することで、大規模な溶岩流が形成されます。

溶岩の粘度

溶岩の粘度は、その温度、成分、結晶の含有量によって大きく変化します。

二酸化ケイ素: 溶岩の主成分である二酸化ケイ素（SiO2）の含有量が増加すると、溶岩の粘度も上昇します。二酸化ケイ素が少ない玄武岩質の溶岩は、粘度が低く、広範囲に流れやすい「アア溶岩」を形成します。一方、二酸化ケイ素が多いデイサイトや流紋岩質の溶岩は、粘度が高く、溶岩ドームを形成しやすいですが、溶岩流を形成する場合は、厚い「パホイホイ溶岩」となることがあります。
溶岩流の厚さ: 溶岩流の厚さは、流紋岩が最も厚く、次いでデイサイト、安山岩、玄武岩の順に薄くなります。

マグマの揮発性成分

マグマが上昇する過程で揮発性成分を失うと、爆発を伴わずに静かに地表へ流出します。逆に、揮発性成分が多いと、マグマが発泡して体積が膨張し、爆発的な噴火を引き起こし、テフラを生成します。

溶岩流に関する地形や用語

溶岩流の形成過程や冷却過程で、様々な特徴的な地形や用語が生まれます。

溶岩堤防: 溶岩流の両岸に堤防のように盛り上がった地形。
溶岩洞: 溶岩流の内部に形成されるトンネル状の空洞。
溶岩じわ: 溶岩流が押し固められてできた波状のうねり。
縄状溶岩: 溶岩流の表面が押し固められてできた縄のような模様。
溶岩末端崖: 粘度の低い溶岩流の先端部にできる崖。
溶岩塚: 溶岩流の表面が内部の溶岩に押し上げられてできた小丘。
プレッシャーリッジ: 溶岩塚と同様のメカニズムで形成されるが、尾根状に長く続くもの。
ホルニト: 溶岩洞の天井が崩落し、溶岩が二次流出した場所に形成される塚。
溶岩樹型: 溶岩流が樹木を巻き込んで固結した時にできる円筒形の空洞。
節理: 溶岩が冷却する過程でできる割れ目。
偽クレーター: 溶岩流が湿地や湖沼を覆った際に水蒸気爆発によってできるクレーター状の地形。
キプカ: 溶岩流に取り囲まれて島のように残された場所。
枕状溶岩・ハイアロクラスタイト: マグマが水中で噴出して急冷された際にできる特有の形状の溶岩。

大規模な溶岩流

大陸地域では、非常に膨大な量の玄武岩質溶岩が噴出し、広大な範囲を覆うことがあります。このような巨大な岩体は、デカン高原、シベリア・トラップ、コロンビア川台地などで見られます。

溶岩流と人

溶岩流は、その脅威的な側面だけでなく、観光資源としても利用されています。

溶岩流の危険性: 溶岩流の流下速度は比較的緩やかで、人間の避難は容易ですが、家屋やインフラに被害を及ぼすことがあります。過去には、港に迫る溶岩流を冷却して港を守った事例もあります。
* 溶岩流との共存: ハワイ島では、溶岩流の観察ツアーや、溶岩の採取ツアーが人気を集めており、観光資源として活用されています。また、溶岩流によって形成された地形も、観光の対象となることがあります。

溶岩流は、地球のダイナミックな活動を象徴する現象であり、自然の驚異と美しさを同時に感じさせてくれます。その生成メカニズムや形成された地形を知ることで、地球に対する理解を深めることができるでしょう。

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