豊富駅

豊富駅：宗谷本線沿線の要衝

北海道天塩郡豊富町字豊富駅前通に位置する豊富駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）宗谷本線の駅です。駅番号はW74。特急「宗谷」と「サロベツ」が停車し、地域住民の生活と観光を支える重要な拠点となっています。

歴史

豊富駅の開業は1926年（大正15年）9月25日にまで遡ります。当初は鉄道省天塩線の駅として開業しましたが、1930年（昭和5年）4月1日には天塩線が宗谷本線に編入され、宗谷本線の駅となりました。

1940年（昭和15年）2月13日には、日曹炭鉱天塩砿業所専用鉄道が豊富駅 - 一坑間（16.7km）を開通させ、この専用線は石炭輸送の中心的な役割を担いました。この時代、豊富駅は天塩炭鉱の石炭や周辺の産木材の出荷駅として大きく発展し、多くの副本線と機関区を擁していました。

日本国有鉄道（国鉄）への移管を経て、1966年（昭和41年）8月4日には現在の駅舎が2,000万円の工費をかけて完成しました。同年には昭和天皇と香淳皇后が行幸啓され、お召し列車が石北本線上川駅から豊富駅まで運転されました。

1972年（昭和47年）7月29日には日曹炭鉱天塩砿業所専用鉄道が全線廃止されました。その後、1984年（昭和59年）2月1日に貨物と荷物の取扱いが廃止され、11月10日には出改札業務が廃止され、簡易委託化されました。1986年（昭和61年）11月1日には電子閉塞化に伴い運転無人化となりました。国鉄分割民営化後、1987年（昭和62年）4月1日からはJR北海道の駅として現在に至っています。2021年3月13日には隣の徳満駅が廃止されました。

駅名の由来

駅名は、所在する町の名前「豊富町」に由来しています。

駅構造

豊富駅は地上駅で、相対式ホーム2面2線を有しています。幌延駅が管理駅です。かつては日曹炭鉱天塩砿業所専用鉄道が分岐していました。ホームの長さは4両分ですが、多客時には特急列車が増結されるため、ドアカットが行われる場合があります。ホーム間の移動は跨線橋を利用します。

かつては隣の徳満駅と共に、「徳が満ちて豊かな富を得る」という意味で縁起の良い切符として人気があり、駅構内にはそのことを示す看板が設置されていました。

駅の利用状況

名寄駅～稚内駅間の無人駅としては、最大の利用者数を誇り、有人駅である音威子府駅や幌延駅を上回る利用状況となっています。

きっぷ類の発売

無人化後は、キヨスクで乗車券類が発売されていましたが、キヨスク閉店の後は幌延駅から派遣された駅員が出札補充券で対応していました。現在は、駅舎隣の豊富町観光情報センターで記念入場券や町民乗車票（豊富町民限定）が発売されています。

駅周辺

豊富駅周辺には、北海道道397号豊富停車場線、北海道道444号稚咲内豊富停車場線、国道40号が通っており、交通アクセスが良好です。また、豊富町役場、天塩警察署豊富駐在所、豊富郵便局、稚内信用金庫豊富支店、北宗谷農業協同組合（JA北宗谷）、北海道豊富高等学校、豊富温泉、サロベツ原生花園（利尻礼文サロベツ国立公園）などの施設も近接しています。

沿岸バスの「豊富駅」停留所があり、羽幌行きや幌延深地層研究センター前行き（留萌市立病院まで直通）などの路線バスが運行されています。札幌行きの特急はぼろ号は、駅前に乗り入れず、市街地寄りの「豊富営業所」に停車します。

隣の駅

下沼駅 - 豊富駅 - 徳満駅（廃駅） - 芦川駅 - 兜沼駅

豊富駅は、宗谷本線の歴史と、地域の生活、そして観光を繋ぐ重要な駅として、これからもその役割を担い続けるでしょう。

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