隅田川駅

隅田川駅：東京の貨物輸送を支える拠点

隅田川駅は、東京都荒川区南千住に位置する、JR貨物とJR東日本が管轄する貨物駅です。旅客営業を行わず、東北本線や上越線など、北東方面からの貨物列車の到着・出発拠点として機能しています。東京貨物ターミナル駅と並ぶ、東京を代表する貨物駅のひとつとして、首都圏の物流を支える重要な役割を担っています。

歴史：石炭からコンテナへ

隅田川駅の起源は、1897年まで遡ります。当時、日本鉄道（後の国鉄）は、上野駅に集中する貨物輸送を分散させる必要がありました。常磐炭田からの石炭輸送を目的として隅田川駅が開業し、その後、木材や砂利などの「荒荷」の取り扱いも開始されました。隅田川の水運と連携し、東京市街地への輸送に貢献しました。駅構内には水扱積卸場も設置され、水路と陸路を繋ぐ重要な拠点として機能していました。

戦後、荒荷輸送の減少や水運の衰退に伴い、水扱積卸場は埋め立てられました。その後、コンテナ輸送への対応を進め、首都圏における東北・北海道方面との貨物輸送の要として発展を遂げてきました。国鉄分割民営化後も、構内の整備・改良が継続され、現在に至っています。飯田町駅の廃止に伴い、首都圏の新聞・出版産業向けの紙の輸送もこの駅に集約されるようになりました。

駅構内改良工事：輸送力増強への取り組み

2012年度には、「隅田川駅鉄道貨物輸送力増強事業」が実施されました。これは、北海道・東北方面への輸送力増強を目的とした大規模な改良工事で、総工費は約46億円にのぼります。国からの補助金も活用され、京葉臨海鉄道が事業主体となり、JR貨物が施設を利用する体制が構築されました。

この工事では、従来18両編成に対応していたコンテナ列車を、現在の20両編成に対応できるよう、ホームや線路の延長、改良が行われました。また、機関車の留置機能の整備も進められ、機関車区も設置されました。これにより、年間22万トンの輸送力増強が見込まれ、2013年3月16日のダイヤ改正から供用が開始されました。

駅構造：地上駅の大規模な貨物ターミナル

隅田川駅は地上駅で、南北に5面10線のコンテナホームが並んでいます。西側には有蓋車用ホームや、紙の保管倉庫として機能する「エフ・プラザ」の荷役線、ヤマト運輸や福山通運の施設も併設されています。コンテナセンターやJR貨物の営業窓口、機関車の検査施設なども構内にあります。かつてはセメントサイロや、ガス工場や石油油槽所への専用線なども存在していましたが、現在は廃止されています。

駅構内の北東部は再開発が進み、高層マンションが立ち並んでいます。また、かつては日比谷線の千住検車区との連絡線も存在していました。

取扱貨物と貨物列車

隅田川駅では、12フィートコンテナ、20フィート・30フィートの大型コンテナ、20フィートのISO規格海上コンテナを取り扱っています。産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の取扱許可も取得しています。

貨物列車は、東北本線、常磐線、高崎・上越線方面と、東海道本線や中央本線方面から、1日に多くの列車が発着します。かつては、北越製紙新潟工場から紙を輸送する専用貨物列車も運行されていました。

駅周辺とアクセス

駅周辺は再開発により、近代的な高層マンションが立ち並んでいます。最寄りの駅は、JR常磐線、東京メトロ日比谷線、つくばエクスプレス線の南千住駅です。その他、東京メトロ日比谷線三ノ輪駅、都電荒川線三ノ輪橋停留場も比較的近いです。

その他

隅田川駅構内には、鉄道弘済会が運営する身体障害者福祉施設も立地しています。

隅田川駅は、歴史と近代的な設備が融合した、東京の貨物輸送を支える重要な拠点です。今後ますますの発展が期待されます。

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