高崎車両センター

高崎車両センター

群馬県前橋市古市町に位置し、敷地の一部は元総社町にまたがる東日本旅客鉄道（JR東日本）の車両基地です。新前橋駅に隣接しており、同社首都圏本部の管轄下にあります。埼玉県熊谷市と深谷市には、下部組織として籠原派出所が置かれています。

この車両基地の起源は、1956年11月に高崎第二機関区に設置された電車関連の部署に遡ります。その後、現在地に移転して高崎第二機関区新前橋派出所が新設され、さらに組織改編を経て新前橋電車区となりました。そして2005年には検修部門が独立し、「高崎車両センター」の名称となりました。

概要

本所

高崎車両センター本所は、上越線（高崎 - 水上間）、信越本線（高崎 - 横川間）、両毛線、吾妻線といった各線で運用される車両を管轄する重要な拠点です。上越線と両毛線の結節点である新前橋駅に隣接しています。

その歴史は、1956年に高崎第二機関区内に電車部門が設けられたことに始まります。これは高崎線や上越線に電車が投入されるのに対応したものです。1958年には現在の新前橋駅構内隣接地へ派出所が新設され、電車部門が移転しました。そして1959年、高崎鉄道管理局内で初めての電車区として「新前橋電車区」が誕生しました。以後、高崎地区の中心的な電車基地として発展し、多くの種類の車両が配属されました。1987年の国鉄分割民営化により、JR東日本に引き継がれています。

2005年12月には組織が改められ、検修部門が「高崎車両センター」として独立し、運転部門は「新前橋運輸区」となりました。この改編に合わせ、それまで高崎駅近くにあった車両基地（初代の高崎車両センター）は高崎車両センター高崎支所となり、籠原運輸区の検修部門は籠原派出所として当センターの管轄下となりました。なお、高崎支所は2022年に「ぐんま車両センター」として独立しています。かつて高崎支社の管轄でしたが、2023年6月からは首都圏本部へと移管されています。

籠原派出所

籠原派出所は、埼玉県深谷市の高崎線籠原駅に隣接する場所にあります（構内の一部は熊谷市に跨ります）。ここは主に、高崎線・宇都宮線・東海道本線や横須賀線に直通する上野東京ラインや湘南新宿ラインの中距離電車を留置するための基地として機能しており、所属車両はありません。

籠原派出所も、本所の前身である高崎第二機関区の電車部門と同じ1956年に高崎第二機関区籠原派出所として設けられました。1958年には新前橋電車区の派出所となります。当初は運転部門のみでしたが、輸送力調整のために電留線が新設・増設され、1969年には検修部門も開設されて「籠原電車区」として独立しました。その後、1988年に籠原運転区、籠原運輸区と名称を変え、2005年の本所組織変更に伴い、検修部門が分離して「高崎車両センター籠原派出所」となりました。

業務と設備

本所

主に所属車両の検修、整備、および構内での運転業務を行います。検修業務には、定期的な検査（交番検査）、臨時の検査、車両故障への対応、車輪の削正などが含まれます。整備業務では、車両の清掃などが行われます。構内運転業務には、仕業検査後の入換や誘導などが含まれます。これらの業務の一部は、JR高崎鉄道サービスなどの協力会社に委託されています。

敷地面積は約3万7,000平方メートルで、構内には車両を留置する電留線や収容線のほか、車輪転削盤を備えた転削線、車両を洗浄する洗浄線、検査を行う交検線や臨検線などが配置されています。臨検庫には天井クレーンやリフティングジャッキが設置されており、車両の機器交換や修理が可能です。

籠原派出所

主に構内での運転業務（入換、誘導、高崎線の列車の分割・併合作業）と、仕業検査などの車両検修・整備業務を行います。

敷地面積は約2万3,000平方メートルで、高崎線籠原駅ホームの南側から高崎方面へ約2kmにわたって広がっています。構内には多数の電留線（17線）と出入区線が設けられています。

配置車両

2025年4月1日現在、当センターに配置されている車両は以下の通りです。

211系（122両）
3000番台の4両編成（A編成）20本（80両）と、3両編成（A編成）14本（42両）が在籍しています。主に上越線（高崎 - 水上間）、信越本線（高崎 - 横川間）、吾妻線、両毛線の普通列車として運用されています。
3両編成は単独での運用はなく、2編成併結して6両編成として運用されます。
この車両は1985年から配置が始まり、一時は1000番台も含め計365両が配置され、高崎線や東北本線などで主に10両または15両編成で運用されていました。2004年までは湘南新宿ラインでも活躍しました。
2005年から2006年にかけて、上野口での運用に対応するため、東海道本線などから転用された二階建てグリーン車を組み込んだ10両編成（C編成）への組成変更が行われました。これにより余剰となった付随車などが廃車されています。
2012年以降、E233系の投入により首都圏での運用が順次終了し、長野地区などへ転属が進められました。現在は高崎地区のローカル線区を中心に運用されています。

過去の主な配置車両

本所およびその前身組織には、以下の車両が配置されていたことがあります。

特急形
185系：かつて「あかぎ」などの特急列車で活躍しましたが、2006年までに大宮総合車両センター東大宮センターへ転出しました。
183系：波動輸送用として使用されましたが、2006年に大宮総合車両センター東大宮センターへ転出しました。
485系：お座敷列車「やまなみ」「せせらぎ」「宴」「華」や、改造された「リゾートやまどり」といったジョイフルトレインが配置されていましたが、順次運用を終了し、廃車または転出しました。
急行形
165系・169系：かつて両毛線や上越線などの急行列車で活躍しましたが、1990年代後半以降は波動用となり、2002年までに全廃されました。
一般・近郊形
E233系3000番台：2012年から2015年にかけて配置され、高崎線・宇都宮線などで運用されましたが、2015年のダイヤ改正で小山車両センターなどへ転出しました。
107系：両毛線などで運用された近郊形電車ですが、211系の転用により置き換えられ、2017年までに定期運用を終了し、多くが上信電鉄へ譲渡されました。
115系：「湘南色」の塗装でお馴染みだった近郊形電車です。長年にわたり高崎地区の主要線区で活躍しましたが、211系の転用などにより置き換えが進み、2018年に定期運用を終了しました。最後に残った車両も後に除籍され、JR東日本からは形式消滅しました。
その他
80系：黎明期に配置された旧型電車です。
* クモヤ145形：牽引車として使用されましたが、2020年に廃車されました。

高崎車両センターは、多岐にわたる車両の維持管理を通じて、群馬県を中心とした首都圏近郊エリアの鉄道輸送を支え続けている拠点です。

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