(秘)トルコ風呂

映画『(秘)トルコ風呂』について



1968年に公開された『(秘)トルコ風呂』は、大原麗子初主演の映画であり、東映が製作・配給を手掛けた作品です。村山新治が監督を務め、脚本は下飯坂菊馬と播磨幸治が担当しました。この映画はR18+指定を受けており、当時の社会情勢や映画業界の動向を反映した作品として、今もなお語り継がれています。


あらすじ



物語は、東北の温泉町から上京した卵子が、新宿のパチンコ店で働くところから始まります。そこで、高利貸しを副業とするトルコ嬢のナミと出会い、二人は一夜を共にします。レズビアンであるナミは卵子に惹かれ、彼女を独占しようとします。しかし、ナミの元夫である達は、卵子を乱交パーティーのホステスとして利用しようと企て、彼女と契約を結びます。卵子は、醜い欲望にまみれたナミや達から次第に心を離していきます。そんな中、故郷にいる幼馴染で病弱な淳のことを思い出すのでした。

キャスト





制作の背景



東映は当時、大原麗子を将来有望な女優として育成しており、本作はその初主演作として企画されました。しかし、大原に最初にオファーされたのは本作ではなく、怪談映画『怪談 蛇女』でした。当時、怪談ものが再び注目され始めていた背景がありましたが、大原は「お化け映画で裸になるのは嫌だ」とこれを拒否しました。

その一方で、東映はエロティックな要素を取り入れた作品を制作しようとしており、本作は当初、大信田礼子の初主演作として企画されていました。しかし、大信田がヌードを拒否したため、大原に主演の座が回ってきたという経緯があります。この一連の出来事は、当時の映画界における女優の立場や、エロティックな映画に対する考え方を反映しています。

撮影エピソード



梅宮辰夫は、当時「夜の帝王」と呼ばれ、その存在感で知られていました。大原とは過去の作品で共演経験があり、本作では大原の相手役を務めることになりました。大原は、これまで梅宮に虐げられる役が多かったため、本作で彼を手玉に取る役を演じることを楽しみにしていたといいます。

また、大原が着用した衣装は、当時としては非常にモダンで、特に超ミニのワンピースはスタッフ一同を驚かせたそうです。レズビアン役を演じた中原早苗は、本作に深作欣二が助監督として参加していたことを明かしています。

公開後の反響



本作は公開されると、平日にもかかわらず観客が急増し、東映ピンク路線の強さを示しました。しかし、大原麗子は本作でヌードを拒否したことが東映との関係悪化につながり、後に彼女は東映を離れ、テレビドラマやCMを中心に活躍するようになりました。大原のキャリアにおけるターニングポイントとなった作品と言えるでしょう。

映画が与えた影響



本作は、大原麗子の女優としてのキャリアだけでなく、当時の映画業界にも大きな影響を与えました。エロティックな要素を取り入れつつも、人間の内面を描くという、それまでの東映作品とは異なる新しい試みは、多くの観客を魅了し、後の映画制作に影響を与えたとされています。また、大原が自身の意思でヌードを拒否したことは、当時の女優たちの意識の変化を示す出来事としても注目されました。


同時上映



『兄弟仁義 逆縁の盃』


※変則二本立てとして公開され、1968年8月24日公開の『兄弟仁義 逆縁の盃』と、1968年8月14日公開の若山富三郎主演『極悪坊主』がロングで二本立て上映されました。その後、1968年8月27日より本作と『兄弟仁義 逆縁の盃』の二本立てで上映されました。


参考文献



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