Δ

ギリシア文字の「Δ, δ（デルタ）」は、ギリシア文字の第4番目の文字であり、その起源はフェニキア文字の「ダレット」に遡ります。古代ギリシア語では/d/の音を表し、現代ギリシア語では/ð/の音を表します。ラテンアルファベットの「D」やキリル文字の「Д」もこの文字に由来しています。

大文字の「Δ」の主な用法:

素粒子物理学: アイソスピンが3/2、ストレンジネスが0のバリオンであるデルタ粒子を表します。
幾何学: その形状から三角形を表し、「デルタ翼」や「デルタ線」といった用語に使われます。
地形: 河川の影響で形成された三角形の土地、デルタ地帯を指します。
記号: 一般的な記号「△」の代わりとして使用されることがあります。
俗称: 女性の下腹部を指す「デルタゾーン」という俗称があります。
電気工学: 三相交流における結線方法の一種であるΔ結線を表します。
数学: 多項式の判別式を表す記号として使われます。
数学: 変数の前に付いて、その変数の微小な増分を表したり、差分法における差分作用素を表します。
数学: ラプラス作用素を表す記号としても使われます。
数学・物理学: 微小な差を表し、例えばΔtは時間差を表します。また、変分法における変分作用素としても使われます。
化学: 反応式中で加熱を示す記号として使用されます。

小文字の「δ」の主な用法:

数学: 微小な数を表す際に、εに次いで使われることがあります（例: ε-δ論法におけるδ）。
数学: クロネッカーのデルタを表します。

δᵢⱼ = 1 (i=jの場合)
δᵢⱼ = 0 (i≠jの場合)
数学: ディラックのデルタ関数を表します。
熱力学: 非保存量の微小変化を示す記号として使われます（微分と区別するため）。
その他: デルタ線（放射線）を表します。
校正記号: 欧米の校正記号では、削除を意味する記号として使われます（δの変形）。

デルタは、その形状から連想される様々な概念や、微小な変化を表す数学的な記号として、幅広い分野で利用されています。大文字と小文字がそれぞれ異なる意味を持つため、文脈を理解することが重要です。この文字の起源から派生した様々な用法は、古代から現代に至るまでの人類の知的な活動を象徴するかのようです。

関連事項

三角 (記号)
⊿
ナブラ ∇

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