ち

日本語の音節「ち」について

「ち」は、日本語の音節の一つであり、仮名文字としても用いられます。1モーラを形成し、五十音図では「た行い段」に位置します。清音の「ち」に加え、濁音の「ぢ」も存在します。

概要

現代標準語における「ち」の音韻は、一つの子音と母音「い」で構成されます。

清音「ち」: 舌の前部を上歯茎の後ろから硬口蓋近くに接触させ、狭い隙間を作って摩擦音を出す無声破擦音です。国際音声記号では[t͡ɕ]または[t͡ʃ]と記述されますが、日本語の「ち」は[t͡ɕ]に近いとされます。かつては破裂音[tʲi̞]で発音されていましたが、中世以降に現在の音に変化しました。外来語の表現として[tʲi]の発音が復活するケースもありますが、「ティ」や「シ」などと表記されることが多いです。
濁音「ぢ」: 有声音であり、現代標準語では「じ」と区別されず、音韻的・音声的に同一音として扱われます。詳細は「ぢ」や「四つ仮名」の項目を参照してください。

五十音順では17番目、いろは順では8番目です。「と」の次、「り」の前に位置します。

平仮名「ち」: 「知」の草体から。
片仮名「チ」: 「千」から。
ローマ字: chi、訓令式ではtiと表記します。
点字、通話表（千鳥のチ）、モールス信号、手旗信号など、様々な方法で伝達されます。

「ち」の発音と歴史

[tʲi̞]から[t͡ɕʲi̞]への変化時期は明確ではありませんが、室町時代末には[t͡ɕʲi̞]が定着していたと考えられています。

「ちや」「ちゆ」「ちよ」のような表記は平安時代中期以前にも見られますが、一音節の拗音だったかは不明です。鎌倉時代には「ちゆう」と「ちう」、「ちよう」と「てう」「てふ」の混同が見られ、この頃には拗長音が成立していたと考えられます。「ちやう」は室町時代末に「ちよう」の類に近づき、江戸時代には発音上の区別がなくなりました。

室町時代末の切支丹文献には、舌内入声が「bet」（「別」）のように記されており、当時「ち」と記された字音には母音を伴わないものもあったと考えられます。

「ち」に関連する事項

拗音: 「ち」にや行の文字を後続させて「ちゃ」「ちゅ」「ちょ」のような拗音を形成します。GHQ占領期以降、後続するや行の文字は小さく書かれるようになりました（捨て仮名）。
調音点: 「ち」の調音点は、拗音「ちゃ、ちゅ、ちょ」と同じであり、「ちゃ行に属する」と言えます。国際音声記号では、[t͡ɕä/t͡ʃä], [t͡ɕʲi̞/t͡ʃʲi̞], [t͡ɕu/t͡ʃu], [t͡ɕe/t͡ʃe], [t͡ɕo/t͡ʃo] と表記できます。（「チェ」は和語・漢語にない音のため、片仮名で表記します。例外として、「ちぇっ」のような感嘆詞や舌打ち音の表記があります。）
漢字の部首: 「夂部」の部首名は「ち」または「ちかんむり」、「黹部」の部首名は「ち」と呼ばれることがあります。

関連事項

ぢ
た行
小書きチ
Wikipedia:索引 ち
四つ仮名
* 現代仮名遣い

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