アカルナニア

アカルナニア：古代ギリシアの地方

アカルナニア（Ἀκαρνανία）は、古代ギリシアの中西部に位置した地方であり、現在のギリシャ共和国のエトリア＝アカルナニア県の西部に相当します。アケロオス川を挟んでアイトリア地方の西に位置し、コリントス湾の入口であるカリュドン湾の北、イオニア海の沿岸に広がっていました。主要都市はストラトスであり、ギリシア神話ではアルクマイオンの息子アカルナンに由来するとされています。

地理

アカルナニア地方は、主に以下の3つの地域で構成されていました。

岩の多い海岸線
海岸線に続く細長く険しい山脈
山脈とアケロオス川の間の平野

古代においてアカルナニア地方は、ギリシアで最も西に位置する州と見なされていました。北はアンブラキア湾、北東はアンピロキア、西はイオニア海、東はアイトリア地方に囲まれ、約4,070平方キロメートルの土地を含んでいました。アケロオス川は、アカルナニア地方とアエトリア地方の境界として機能していましたが、ペロポネソス戦争時代には、アカルナニア地方の都市オイニアダイの領土が川の東部地域に広がっていました。

内陸部は標高の低い森や山で覆われ、山々の間にはいくつかの湖と多くの肥沃な谷がありました。主要河川であるアケロオス川は、下流部分で肥沃で広大な平野（のちにパラケロイティスと呼ばれる）を流れていました。19世紀までに平野は湿地で覆われており、その大部分はアケロオス川の沖積堆積物で形成されたと考えられています。また、川がその流れを頻繁に変えたために、アカルナニア地方南部の海岸線は古来より何度も変化してきました。アケロオス川の主な支流はアナポス川であり、ストラトスの南で合流していました。

海岸にはいくつかの岬があり、特にアクティウム（アクティオン）岬と、西海岸の都市アスタコスの小さな湾の片側を形成するクリトテ岬が知られています。内陸の湖としては、オイニアダイの領土にあるメリテ湖（現代のトリホニダ湖）が言及されています。レウカス島とアンブラキア湾の間には潟湖または塩湖があり、ミュルトゥンティオンと呼ばれていました。

アカルナニア地方の大地は肥沃でしたが、住民はあまり耕作を行わず、特産物についても古代の著述家はめったに触れていません。しかし、大プリニウスは鉄鉱石やアクティウム沖の真珠の採取場について言及しています。住民の主要な財産は、アケロオス川の下流域にある豊かな牧草地で放牧された牛と羊の群れでした。

アカルナニア地方の西海岸沖には多くの島があり、その中で最も重要なのはエキナデス諸島、レウカス島、タピアイ諸島です。

歴史

アカルナニア地方の名前は、古い時代には知られていませんでした。ホメロスは頻繁にアイトリア人について言及していますが、イタケ島とケパレニア島の対岸の国を「エペイロス」あるいは本土と呼んでいるに過ぎません。

この地方はもともとタポス人、レレゲス人、クレテス人が住んでいたと言われています。タポス人は主にアカルナニア地方西海岸沖の島々に分布し、海賊行為を生業としていました。レレゲス人はより広範囲に広がり、ある時代にはアイトリア、ロクリス、およびギリシアの他の地域をも占有していました。クレテス人はもともとアイトリア地方に住んでいましたが、神話的な王アイトロスによってアイトリア地方から追放された後、アカルナニア地方に定住したと言われています。アカルナニア地方の名前は、アケロオス川の河口に定住したアルゴスの英雄アルクマイオンの息子アカルナンに由来するとされています。

前7世紀にコリントスがアナクトリオン、ソリオン、レウカスを、ケパレニア島がアスタコスを建設すると、この地域におけるギリシアの影響は顕著になり、アカルナニア地方の元来の住民はより内陸部に追いやられました。ペロポネソス戦争の時でさえ、彼らは無作法な野蛮人であり、隣人との継続的な戦争に従事し、略奪と海賊行為を繰り返していました。アリュゼイア、コロンタ、リムナイア、メデオン、オイニアダイ、パライロス、ポイティアイ、ストラトスといった都市がトゥキュディデスによって言及されています。

古代アカルナニア人は隣人のバルバロイ（非ギリシア民族）であったアンブラキア湾のアグライアやアンピロキアと密接な関係にありましたが、ギリシア人であったため、ギリシア四大大会に参加することが認められていました。他の粗野な山岳民と同様に、アカルナニア人は忠実さと武勇で賞賛されていました。彼らは投石に練達した、優れた軽装歩兵部隊を編成しました。多くの場合、アカルナニア人は村落に分散して住み、攻撃されると山中に後退しました。

ペロポネソス戦争において、アカルナニア地方はイタリアへの海路上に戦略的に位置するため、多くの戦争に巻き込まれました。コリントスの入植者に対する憎しみから、アカルナニア人はアテナイ側につきました。アカルナニア人はギリシア西部地域におけるアテナイの覇権を維持するのに大いに貢献しました。

アレクサンドロス大王死後の時代、アイトリア地方との国境紛争が頻発し、アカルナニアの領土はアイトリアとエペイロスの間で分割されました。エペイロス王が倒れた後、エペイロス領となっていたアカルナニアの領土は独立を取り戻し、レウカスはこの地域の首都になりましたが、アイトリア人との対立は残っていました。その結果、アカルナニア人はマケドニアの王たちと緊密に団結し、有為転変の中でも忠実であり続けました。ローマに服従したのは、主要都市であるレウカスが占領され、キュノスケファライの戦いでピリッポス5世が敗北した後のことでした。

前1世紀、アカルナニア地方は海賊とローマの内戦によって大きく苦しみました。ギリシアがローマの属州として縮小されたとき、アカルナニア地方がアカエア属州あるいはエピロス属州に併合されたかどうかは不明ですが、後にエピロスの一部として言及されています。

東ローマ帝国時代には、エピロス専制侯国、セルビア帝国、オスマン帝国の支配を経て、1832年以来、ギリシャの一部となっています。

人物

アカルナニア出身の著名な人物としては、以下のような人物が挙げられます。

カルノス（予言者）
アンピリュポス（ペイシストラトスの予言者）
メギスティアス（テルモピュライの戦いで戦死した予言者）
アカルナニアのリュシマコス（アレクサンドロス大王の家庭教師の1人）
アカルナニアのピリッポス（アレクサンドロス大王の医師の1人）
マカタス（彫刻家）
アリュゼイアのアリストメネス（プトレマイオス5世の後見人および摂政）
* アカルナニアのアレクサンドロス（アンティオコス3世の将軍）

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