アドナン・アル＝ケイシー

アドナン・アル＝ケイシー：変幻自在のプロレスラー、その軌跡

アドナン・アル＝ケイシー（1939年3月1日 - 2023年9月6日）は、イラク・バグダッド出身のプロレスラーです。ビリー・ホワイト・ウルフ、シーク・アドナン・アル＝ケイシーなど、様々なリングネームを使い分け、アメリカのメジャー団体で活躍しました。

生い立ちとデビュー

イスラム教のイマームを父に持ち、10代の頃にアメリカ合衆国オクラホマ州へ移住。州立大学でレスリング選手として活躍し、1959年にアドナン・ケイシーの名でプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせました。

ビリー・ホワイト・ウルフ時代

デビュー後、インディアン・ギミックのベビーフェイス、ビリー・ホワイト・ウルフに変身。1960年代には、太平洋岸北西部のパシフィック・ノースウエスト地区を主戦場に、ハワイやテキサスでも活動しました。1962年にはハワイ版NWA USヘビー級王座を獲得、1963年にはNWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座、NWAテキサス・ヘビー級王座をそれぞれ奪取するなど、数々のタイトルを獲得しました。

日本へは、1964年にチーフ・ホワイト・ウルフとして初来日。ワールドリーグ戦に参加し、ジャイアント馬場や豊登と対戦しました。海外ではオーストラリアにも遠征し、IWA世界ヘビー級王座を獲得。1969年には国際プロレスに参戦し、ビル・ロビンソンのIWA世界ヘビー級王座に挑戦しています。

シーク・アドナン・アル＝ケイシー時代

1974年、アラブ人ギミックのシーク・オブ・シークス・オブ・バグダッドとして新日本プロレスにヒールとして登場。フレッド・ブラッシーがマネージメントするニコリ・ボルコフとタッグを組み、アントニオ猪木&坂口征二の北米タッグ王座に挑戦しました。

帰米後は再びベビーフェイスのビリー・ホワイト・ウルフに戻り、WWWF（現WWE）でチーフ・ジェイ・ストロンボーとインディアン・タッグを結成。ジ・エクスキューショナーズとの抗争の末、WWWF世界タッグ王座を獲得し、長期政権を築きました。

マネージャーとしての才能

1981年、シーク・アドナン・アル＝ケイシーとしてAWAに登場。クラッシャー・ブラックウェルを配下に置き、アヤトーラ・ブラックウェルを名乗らせました。その後、ボビー・ヒーナンからケン・パテラのマネージメント権を買い取り、ブラックウェルとタッグを組ませ、自らはプレイング・マネージャーとして彼らを指揮。AWA世界タッグ王座を獲得させました。以降もマネージャーとしてAWAに定着し、ブルーザー・ブロディやアブドーラ・ザ・ブッチャーなど大物選手のマネージメントも担当しました。

1990年下期には、WWF（現WWE）にジェネラル・アドナン（アドナン将軍）として登場。サージェント・スローターのマネージャーとして、湾岸戦争を背景に「サッダーム・フセインの友人」という設定で大ヒールを演じました。アイアン・シークもカーネル・ムスタファとして加わり、ハルク・ホーガンやアルティメット・ウォリアーと抗争を繰り広げました。

引退後

WWF退団後は、AWFでカウボーイ・ボブ・オートンらのマネージャーを担当。ミネソタではケン・パテラと共同でインディー団体WAWAをプロデュースしました。2005年には自伝を出版しています。

2023年9月6日、84歳で逝去。

アドナン・アル＝ケイシーは、選手としてだけでなく、マネージャーとしてもプロレス界に大きな足跡を残しました。その変幻自在なキャラクターと、卓越したプロデュース能力で、多くのファンを魅了し続けました。

得意技

インディアン・デスロック（ビリー・ホワイト・ウルフ）
キャメルクラッチ（シーク・アドナン・アル＝ケイシー）

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