アマスィヤの講和

アマスィヤの講和

アマスィヤの講和（アマスィヤのこうわ）は、1555年5月29日にオスマン帝国のスレイマン1世とサファヴィー朝のタフマースブ1世との間で締結された、第一次オスマン・サファヴィー戦争の平和条約である。この条約の名称は、アマスィヤにおいて正式に調印されたことに由来している。

条約の背景

第一次オスマン・サファヴィー戦争は、オスマン帝国とサファヴィー朝という二大勢力の間で生じた領土争いを背景としている。この戦争により両国は多くの資源を消耗し、講和が急務となった。アマスィヤの講和は短期的な戦闘の終了を決定付ける重要な一歩であった。

条約の内容

アマスィヤの講和によって確立された条項は、主に両国間の明確な国境線を引くものであった。これにより、サファヴィー朝とオスマン帝国との間の和平は20年間の間、維持されることとなった。

国境の画定

条約の核心となる部分では、アルメニアとグルジアが東西に分割されることが定められた。具体的には、西アルメニアや西クルディスタン、さらには西グルジア（サムツヘ西部を含む）はオスマン帝国領に、対して東アルメニアや東クルディスタン、東グルジア（サムツヘ東部を含む）はサファヴィー朝領に配置された。この結果、オスマン帝国はバグダードを含むイラク大部分を獲得し、ペルシア湾への出口を手に入れることになった。

地域の状態

サファヴィー朝は、戦前に有していたタブリーズや北西部のコーカサス地方（ダゲスタンとアゼルバイジャンを含む）を保持し、国際的な地位を維持した。なお、両国の境界線は小コーカサス山脈からアルメニアを通過し、ザグロス山脈の西麓を経てペルシア湾まで及ぶ形となった。

エルズルム、シャフリゾール、ヴァンなどの東アナトリア地方のいくつかの都市は緩衝地帯に指定され、特にカルスは中立地帯とされ、その要塞は破壊が進められた。これにより、地域の安定が図られた。

宗教的な慣行

また、オスマン帝国はペルシア人の巡礼者に対して、メッカやメディナといったイスラム教の聖地、さらにはイラクに存在するシーア派の巡礼地への通行を許可した。これにより、両国間の宗教的緊張も和らげようとする姿勢が見られた。

講和の後の影響

アマスィヤの講和の内容の一部には、サファヴィー朝がスンナ派の正統と認識されるカリフたちを呪う儀式を停止することが求められるという重要な条項も含まれていた。この要求は、タフマースブ1世にとっては屈辱的な意味合いを持ち、講和における微妙な政治的力関係を映し出している。

最終的に、コーカサス地方の分割やメソポタミアの領土問題は、次の平和条約である1639年のズハーブ条約に持ち越されることとなった。このアマスィヤの講和は、オスマン帝国とサファヴィー朝の関係における重要な転機を示しており、歴史的にも意義深い出来事であったと言える。

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