アムド

アムドの概要

アムド（チベット語: ཨམདོ、北京語: 安多）は、チベット高原の東北部に位置し、チベットの地理的な三州の一つです。他の地域としてはウー・ツァンとカムがあり、アムドはその土地に特有の文化と歴史を有しています。この地には、主にチベット人とオイラト（モンゴル系民族）を中心とする住民が暮らしています。そのため、アムド地方の方言であるアムド方言が使われ、地元の人々は自らを「アムドーワ」と呼びます。

今なお、青海省には多くのチベット仏教寺院が残っており、そこには地域の僧侶たちが日々の修行に励んでいます。アムドは宗教的な中心地としても有名で、訪れる人々に深い精神的な体験を提供しています。

歴史

アムドの歴史を考える上で、吐蕃王朝の存在は欠かせません。この王朝が成立する前、この地域には鮮卑慕容部の支族である吐谷渾が勢力を持っていました。吐蕃王朝がチベット高原を統一し、実質的な国家の形を整えたのは7世紀頃のことです。その後、吐谷渾はチベットや中国との抗争に巻き込まれ、結局、吐蕃王家に臣従する結果となりました。

9世紀に吐蕃王朝が崩壊すると、吐蕃の皇子がアムドに逃れ、小規模な政権を築きました。その後、17世紀初旬にはモンゴルのリンダン・ハーンに忠実なハーンが地域を制圧し、彼自身も王として名乗りました。しかし、その後の戦闘でハーンは敗れ、オイラトの部族連合がこの地を支配するようになりました。1642年にはここで、チベット三州の王の地位に即位したトゥルバイフが登場します。

そして、清朝がこの地域に対する支配権を確立する過程が進む中、アムドや周辺地域は清朝によって再編成され、30旗に分けられました。アムド地方の諸侯も、清朝からの承認を受ける形で権力を行使しました。

現代の政治状況

中華人民共和国による行政区画では、アムド地区は青海省とその周辺地域に広がっており、さまざまな民族が共生しています。青海省、および周辺の自治州は、アムドの伝統的な文化や生活様式を色濃く残しています。

アムドにおける歴史的な虐殺

1950年代には、中国共産党によるチベットの併合に際して、アムド地域でも大規模な武装蜂起が発生しました。1958年には、チベット人による「反乱」が起こり、中国軍は厳しい鎮圧を行いました。この結果、数万人のチベット人が逮捕され、多くが命を落とすという悲惨な事件が起きました。これに関して、共産党は後に「極左の誤り」と認めましたが、虐殺行為の影響は長く残り続けています。

著名な出身者

アムドは多くの著名人を輩出しています。特に、ツォンカパ（チベット仏教ゲルク派の開祖）やダライ・ラマ14世、パンチェン・ラマ10世などがこの地方に由来しており、彼らはチベットの宗教と文化に深く影響を与えています。

アムドは、その歴史や文化、宗教的な重要性から、チベットの多様性を代表する地域と言えるでしょう。

もう一度検索