アメリカ時間

アメリカ時間

アメリカ合衆国で使用されている標準時は、連邦法によって定められ、州や海外領土を合わせて9つのタイムゾーンに区分されています。また、多くの地域では3月から11月にかけて夏時間が適用されます。これらのタイムゾーンの境界や夏時間の適用は、アメリカ合衆国運輸省が管轄しています。

標準時の提供機関

高精度な公式標準時は、アメリカ合衆国商務省傘下の国立標準技術研究所（NIST）と、アメリカ海軍天文台（USNO）という2つの連邦機関によって提供されています。これらの標準時は、国際的な計時機関の時刻と互いに同期しており、アメリカ国内のあらゆる場所で正確な時刻情報を提供しています。

歴史

タイムゾーン導入以前

19世紀以前は、各都市や町がそれぞれの太陽時に基づいて時計を合わせていました。しかし、鉄道や通信の発達に伴い、場所ごとに異なる太陽時を使用することが不便になり、鉄道会社が独自のタイムゾーンを設定するなど、混乱が生じていました。

標準時の導入

1883年11月18日、アメリカ合衆国本土に4つの標準時が導入されました。これは、鉄道会社が列車の運行スケジュールを統一する必要性に迫られたことが背景にあります。シカゴから電信で報時信号が送信され、全国で同時に時刻が調整されました。

国際的な標準時との関係

1884年の国際子午線会議では、グリニッジ天文台の子午線が経度と時刻計算の基準となる本初子午線として採択され、グリニッジ標準時（GMT）が世界の時刻の基準となりました。アメリカ合衆国の時間帯制度もこれに基づいており、各タイムゾーンはGMTからのオフセットで定義されています。

アメリカ合衆国の時間帯

現在、アメリカ合衆国とその海外領土では、以下の9つの標準時間帯が使用されています。

本土で使用される時間帯

東部標準時（EST）: 大西洋沿岸と、オハイオ川流域の東部。
中部標準時（CST）: メキシコ湾沿岸、ミシシッピ川流域、グレートプレーンズの大部分。
山岳部標準時（MST）: ロッキー山脈と、グレートプレーンズの西部。
太平洋標準時（PST）: 太平洋沿岸とネバダ州、アイダホ・パンハンドル。

その他の州で使用される時間帯

アラスカ標準時（AKST）: アラスカ州の大部分。
ハワイ・アリューシャン標準時（HST）: ハワイ州と、アリューシャン列島の一部。

海外領土で使用される時間帯

サモア標準時（SST）: アメリカ領サモア。
チャモロ標準時（ChST）: グアムおよび北マリアナ諸島。
* 大西洋標準時（AST）: アメリカ領ヴァージン諸島およびプエルトリコ。

合衆国領有小離島

合衆国領有小離島は、UTC-12からUTC+12まで、様々な時間帯に位置しています。

南極観測基地

南極にあるアメリカ合衆国の研究施設では、パーマー基地でUTC-3、マクマード基地やアムンゼン・スコット基地でUTC+12が使用されています。

時間帯の境界

時間帯の境界は複雑に入り組んでおり、州境や地形、地域社会の事情などを考慮して決定されています。例えば、ウィスコンシン州とミシガン州アッパー半島の境界や、モンタナ州とノースダコタ州の州境などが時間帯の境界となっています。

夏時間

アメリカ合衆国では、3月第2日曜日に夏時間が始まり、11月第1日曜日に終わります。夏時間中は、時計が1時間進められます。

夏時間の適用状況

アリゾナ州とハワイ州では、通年で標準時が使用されています。ただし、ナバホ・ネイションでは、アリゾナ州にまたがる地域も含めて夏時間が実施されています。

IANA time zone database

IANA time zone databaseには、アメリカ合衆国の標準時として29の時間帯が含まれています。また、海外領土の標準時に関するエントリーも存在します。

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