アルバート・ジョンストン

アルバート・シドニー・ジョンストン：三つの共和国を渡り歩いた将軍

アルバート・シドニー・ジョンストン（Albert Sidney Johnston、1803年2月2日 - 1862年4月6日）は、アメリカ陸軍の職業軍人であり、テキサス軍およびアメリカ連合国軍では将軍として活躍しました。彼の軍歴は多岐にわたり、テキサス革命、米墨戦争、ユタ戦争、そして南北戦争という、アメリカ史における重要な戦争に参戦しました。特に南北戦争初期には、南軍の将軍として重要な役割を担い、その軍事的才能は高く評価されていましたが、シャイローの戦いで戦死しました。

初期の経歴

ジョンストンは、ケンタッキー州ワシントンで、ジョン・ジョンストン博士とアビゲイル・ハリス・ジョンストン夫妻の末っ子として生まれました。父はコネチカット州出身でした。彼はケンタッキー州で生まれましたが、人生の大半をテキサス州で過ごし、自身もテキサスを故郷とみなしていました。ケンタッキー州レキシントンにあるトランシルバニア大学で教育を受け、その時の同級生には後のアメリカ連合国大統領となるジェファーソン・デイヴィスがいました。二人は共に陸軍士官学校への入学を指名されましたが、デイヴィスは2年後輩でした。

1826年、ジョンストンはウェストポイントを同期41人中8番目の成績で卒業し、第2アメリカ歩兵連隊の名誉少尉に任官しました。ニューヨーク州とミズーリ州での任務後、1832年にはヘンリー・アトキンソン将軍の参謀長としてブラック・ホーク戦争に参戦しました。1829年にはヘンリエッタ・プレストンと結婚しましたが、1834年に除隊し、重病の妻の看病のためケンタッキー州に戻りました。しかし妻は2年後に結核で亡くなりました。夫妻には一人の息子、ウィリアム・プレストン・ジョンストンがおり、後に南軍に加わりました。

テキサス軍での活躍

1834年4月、ジョンストンはテキサスで農業を始めましたが、1836年にメキシコに対する独立戦争を起こしたテキサス共和国軍に兵卒として参加しました。1ヶ月後には少佐に昇進し、サミュエル・ヒューストン将軍の副官となりました。同年8月5日には、テキサス共和国軍の大佐として総務局長に就任し、1837年1月31日にはテキサス軍を指揮する上級准将となりました。

しかし、1837年2月7日、ジョンストンはテキサス軍の指揮権を巡ってフェリックス・ハストン准将と決闘を行い、ハストンへの発砲を拒否した際、骨盤を負傷し、その地位を失いました。テキサス共和国の第二代大統領ミラボー・B・ラマーは、1838年12月22日にジョンストンを陸軍長官に指名しました。ジョンストンはメキシコからの侵略に対抗してテキサス国境の防御を手配し、1839年にはテキサス北部でインディアンに対する作戦を指揮しました。1840年2月に除隊し、ケンタッキー州に戻り、1843年にはエリザ・グリフィンと結婚しました。夫妻はテキサスのブラゾリア郡に大規模なプランテーションを所有し、それをチャイナグラブと名付けました。

アメリカ陸軍への復帰

ジョンストンは、米墨戦争時にテキサス軍に戻り、ザカリー・テイラー将軍の下で第1テキサス・ライフル銃志願兵連隊の大佐を務めました。モンテレーの戦いの直前に部下の志願兵の徴兵期間が切れた際、ジョンストンは彼らを説得して戦いに参加させ、モンテレーやブエナ・ビスタの戦いで活躍しました。戦後、自身のプランテーションに戻りましたが、テイラーが大統領に就任したことで、アメリカ陸軍の少佐に任命され、1849年12月には主計担当となりました。この職を5年間以上務め、6度の旅を通じてテキサスのインディアンとの前線を6,400km以上移動しました。1855年、フランクリン・ピアース大統領によって新設の第2アメリカ騎兵隊（現在の第5騎兵連隊の前身）の大佐に指名されました。ユタ戦争ではアメリカ軍を率いて中心的な役割を担い、モルモン教徒の支配下に非モルモン教徒の政府を樹立しました。この功績により、1857年に名誉准将に昇進しました。1860年にはケンタッキー州で過ごし、12月21日にはカリフォルニア州へ出発し、太平洋方面軍の指揮官となりました。

南北戦争と死

南北戦争が勃発した際、ジョンストンはカリフォルニア州でアメリカ合衆国陸軍太平洋方面軍の指揮官でした。カリフォルニアの有力者から、軍隊を率いて東に進み、南軍に対抗する北軍に合流することを勧められましたが、テキサス州が脱退したという報告を受け、1861年4月9日に任務を辞任しました。6月までカリフォルニアに滞在した後、アリゾナとテキサスの砂漠を横断し、9月1日頃にバージニア州リッチモンドに到着しました。そこで、友人のジェファーソン・デイヴィスによって1861年9月1日に大将に指名されました。

ジョンストンは西部方面軍の指揮官として、南軍の将軍の中では2番目に高い地位を与えられました。彼はミシシッピ川からケンタッキー州、そしてアレゲーニー山脈に至る南軍の戦線を守るミシシッピ軍を設立しました。1861年、東部戦線で南軍が第一次ブルランの戦いで勝利を収めたものの、西部では1862年初頭までに状況が悪化していました。ジョンストンの部隊は、1862年2月6日のヘンリー砦の戦いや2月16日のドネルソン砦の戦いで北軍のユリシーズ・グラント准将に敗北しました。ジョンストンは、ロイド・ティルマンやジョン・フロイド准将という不適切な将軍を選任し、砦の構築も適切に監督することができませんでした。さらに、北軍のドン・カルロス・ビューエル少将が重要な都市ナッシュビルを占領しました。P・G・T・ボーリガード将軍が西部に派遣され、ジョンストンと共にミシシッピ州コリンスで軍を立て直し、テネシー州ピッツバーグ・ランディングでグラント軍を待ち伏せする作戦を立てました。

1862年4月6日のシャイローの戦いにおいて、ジョンストンは西部戦線から多くの部隊を集結させ、グラント軍に対して大規模な急襲を仕掛けました。彼は自ら軍を率いて前線で部隊を指揮し、戦況を有利に進めようとしましたが、午後2時半頃、膝の後ろに銃弾を受けて負傷しました。当初、自身の傷を軽傷と判断し、従軍医を他の負傷兵の治療に向かわせましたが、実際には銃弾が膝窩動脈を切断しており、出血が止まらない状態でした。数分後、ジョンストンは意識が朦朧とし、参謀に「重傷かもしれない」と告げました。過去の決闘で神経を損傷していた可能性があり、足の傷の痛みに気づくのが遅れたとも考えられています。ジョンストンは小さな峡谷に運ばれましたが、出血多量により数分後に死亡しました。南軍の銃火がこの致命傷につながった可能性もあります。シャイローの戦いは、南北戦争においてジョンストンが戦死した場所として、歴史に刻まれました。

ジョンストンの死は南軍にとって大きな打撃となり、その戦死は両軍を通じて最も高位の軍人でした。ジェファーソン・デイヴィスはジョンストンを「この国で最高の将軍」と見なしており、その死を「我々の運命の転換点」と嘆きました。この出来事は、ロバート・E・リーが南軍の傑出した将軍として台頭するわずか2ヶ月前のことでした。

墓碑

ジョンストンの命日である1862年4月6日は、モルモン教設立から32回目の記念日にあたっていました。1856年のユタ戦争で、ジェームズ・ブキャナン大統領はジョンストンをモルモン教徒に対するアメリカ軍の指揮官として任命しましたが、ジョンストンが死亡した際は、エイブラハム・リンカーン大統領によって南軍の指揮官として反乱者とみなされていました。

ジョンストンはルイジアナ州ニューオーリンズで埋葬されましたが、1866年のテキサス州議会の決議により、遺骸はテキサス州オースティンのテキサス州立墓地に移されました。移葬は1867年に行われました。40年後、テキサス州はエリザベート・ナイに記念碑と彫刻の設計を依頼しました。

テキサス州歴史委員会は、ジョンストンのプランテーションがあった場所の近くに歴史を示す標識を立てました。また、テキサス共和国の娘達サンジャシント支部とアメリカ連合国の娘達連合のリー・ロバーツ・アンド・デイヴィス支部によって、別の標識が近くに設置されました。

参考文献

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外部リンク

Albert Sidney Johnston at Find-A-Grave

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