アレクサンドル・ラザレフ

アレクサンドル・ニコラエヴィチ・ラザレフ（Alexander Nikolaevich Lazarev, 1945年7月5日 - ）は、ロシア出身の著名な指揮者です。

人物・経歴

モスクワで生まれたラザレフは、幼少期から音楽の才能を発揮し、地元の音楽学校で研鑽を積みました。その後、サンクトペテルブルク音楽院でエフゲニー・ムラヴィンスキーに、モスクワ音楽院でレオ・ギンズブルクに師事し、指揮者としての基礎を築きました。

1971年には全ソ連指揮者コンクール、1972年にはカラヤン国際指揮者コンクールで優勝し、その才能を世界に示しました。1973年にはボリショイ劇場の指揮者に就任し、着実にキャリアを重ねていきます。

1985年、ムラヴィンスキーの後継者としてレニングラード・フィルハーモニー交響楽団（現サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団）の次期首席指揮者候補に選ばれ、国際的な注目を集めました。

1987年から1995年まで、ボリショイ劇場の音楽監督・首席指揮者を務め、30年以上ぶりに劇場自体の芸術総監督も兼任しました。この間、劇場の artistic な水準を向上させ、数々の名演を生み出しました。

1988年から1993年までは、ドイツのデュースブルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽総監督も務め、1992年から1995年まではBBC交響楽団の首席客演指揮者を務めるなど、ヨーロッパの主要なオーケストラとの関係を深めました。

しかし、1995年、ボリショイ劇場における大規模な政争に巻き込まれ、来日公演直前に全ての役職を解任されるという不運に見舞われました。この解任劇は、かつて劇場芸術総監督を務めたゴロワノフの運命を彷彿とさせるものだったと言われています。

1997年から2005年までは、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席指揮者を務め、現在は名誉指揮者の称号を贈られています。

2008年から2016年までは、日本フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者を務め、2016年9月からは同交響楽団の桂冠指揮者兼芸術顧問に就任しました。日本フィルとは、プロコフィエフの交響曲全曲演奏やラフマニノフの主要管弦楽作品連続演奏など、意欲的なプログラムに取り組み、日本の音楽ファンを魅了しました。

2009年には、ボリショイ劇場のコンダクター・イン・レジデンスに迎えられ、劇場との関係を修復しました。同年10月には、モスクワ音楽院でボリショイ劇場管弦楽団を指揮し、劇場への復帰を果たしました。

指揮活動

ラザレフは、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、フランス国立管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ミラノ・スカラ座管弦楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団、クリーブランド管弦楽団、モントリオール交響楽団など、世界の主要なオーケストラを指揮しています。また、ベルギー王立劇場、リヨン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場などのオペラハウスにも客演し、オペラ指揮者としても高い評価を得ています。

日本においては、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団に客演しており、読売日本交響楽団とは来日時に数度の録音も行っています。

卓越した音楽性と情熱的な指揮で、聴衆を魅了し続けるアレクサンドル・ニコラエヴィチ・ラザレフ。今後の活躍からも目が離せません。

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