レオ・ギンズブルク

レオ・モーリツェヴィチ・ギンズブルク

レオ・モーリツェヴィチ・ギンズブルク（1901年4月12日 - 1979年11月1日）は、20世紀のソビエト連邦で活動した傑出した音楽家です。指揮者、ピアニスト、そして音楽教師として、その多才な才能を発揮しました。長年にわたる音楽界への貢献が認められ、1966年にはロシア連邦共和国功労芸術労働者の栄誉に輝いています。

ワルシャワにユダヤ系の家系として生を受けたギンズブルクは、まずニジニ・ノヴゴロドの音楽学校で基礎的な教育を受けました。その後、モスクワ音楽院に進学し、1923年から1928年にかけて、指揮法をコンスタンチン・サラジェフ、ニコライ・ゴロワノフ、ニコライ・マルコといった名教師陣に師事しました。同時に、ゲオルギー・カトゥアール、ゲオルギー・コニュス、ボレスラフ・ヤヴォルスキーらから音楽理論を深く学び、音楽家としての確固たる土台を築きました。しかし、彼の学びは音楽分野に留まらず、バウマン記念モスクワ国立工科大学では化学技師の学位を取得し、モスクワ大学では心理学を学ぶなど、驚くほど多様な知識を吸収しました。1929年から1931年にかけては、ヴァイマル共和政下のベルリンに留学。ベルリン芸術大学で放送音響技師としての学位を得る傍ら、指揮者ヘルマン・シェルヘンに師事し、オットー・クレンペラーやレオ・ブレッヒといった巨匠からも指導を受けるなど、国際的な環境で研鑽を積みました。

指揮者としてのキャリアは1924年に幕を開けました。特に、ニコライ・ミャスコフスキー、アラム・ハチャトゥリアン、カバレフスキー、クニッペル、ラーコフ、シェバリーンといったソ連の作曲家たちの新作を積極的に紹介し、その普及に大きく貢献しました。国内の主要オーケストラで重要なポストを歴任し、1932年にはモスクワ放送交響楽団、1940年にはソヴィエト国立交響楽団の指揮者陣に加わりました。さらに、1944年から1945年にはノヴォシビルスク・オペラ・バレエ劇場の首席指揮者を務め、1945年から1948年にはアゼルバイジャン国立フィルハーモニー協会の首席指揮者として活動しました。そして、1950年から1954年までの間、モスクワ国立交響楽団の首席指揮者としてその手腕を振るいました。

ギンズブルクの業績の中でも特筆すべきは、教育者としての貢献です。母校であるモスクワ音楽院で、彼は1930年からその生涯を終えるまでの約半世紀にわたり、指揮科の教師として情熱的に指導を行いました。1939年に教授に昇格し、1940年から1943年、そして1956年から1961年と二度にわたって指揮科の主任を務め、その教育者としての地位を確立しました。彼の門下生は総計でおよそ100名に及び、ソ連、そして世界の音楽界で活躍する多くの著名な指揮者を輩出しました。その中には、以下のような名前が挙げられます。

コンスタンティン・イワノフ
ヴェロニカ・ドゥダロワ
イズラエル・グスマン
フアト・マンスロフ
ゲンナジー・チェルカーソフ
ウラジーミル・フェドセーエフ
ドミトリー・キタエンコ
アレクサンドル・ラザレフ
アレクサンドル・アニシモフ
ラヴィル・マルティノフ
パヴェル・コーガン
アレクサンドル・ミハイロフ

これらの名前からもわかるように、ギンズブルクがソ連の指揮者教育に与えた影響は計り知れません。

録音活動も行っており、特にソ連の主要レーベルであるメロディアからリリースされたものが知られています。主な録音としては、ミャスコフスキーの交響曲第7番やチャイコフスキーの交響曲第7番などが挙げられます。

レオ・モーリツェヴィチ・ギンズブルクは、1979年11月1日にモスクワでその生涯を閉じましたが、指揮者、そして何よりも偉大な教育者として、その功績は現代にも語り継がれています。

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