ウェンディ・リヒター

ウェンディ・リヒター：輝けるキャリアと伝説のレスラー人生

ウェンディ・リヒター(1961年9月6日生まれ)は、アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身の元女子プロレスラーです。1979年のデビュー以来、NWAやWWF(現WWE)で活躍し、数々のタイトルを獲得、多くのファンを魅了しました。2010年にはWWE殿堂入りを果たすなど、プロレス史に名を刻む偉大なレスラーの一人と言えるでしょう。

華々しいデビューとタッグチームでの成功

ファビュラス・ムーラの下でトレーニングを積んだリヒターは、1979年にプロレスラーとしてデビュー。その後、1980年には全日本女子プロレスに初来日し、その高い実力と魅力で大きな注目を集めました。日本で女子プロレス界のトップスター候補として期待された彼女は、ジョイス・グレーブルとタッグを組み、テキサス・カウガールズとしてNWA世界女子タッグ王座を2度獲得するなど、タッグチームでも大きな成功を収めました。 NWAでの活躍にとどまらず、WWF、スタンピード・レスリング、AWAなど様々な団体で活躍し、ジュディ・マーチン&ベルベット・マッキンタイヤー組との激しい抗争なども経験しました。 ヒールとして男性レスラーとの試合にも出場するなど、その活動範囲は多岐に渡りました。ジェリー・ジャレットのCWAではジミー・ハートをマネージャーに迎え、ビル・ワットのMSWAではバディ・ランデルとのミックスド・タッグマッチにも挑戦しています。

WWF時代：ロックン・レスリングと伝説の抗争

1984年、ビンス・マクマホン・ジュニア率いるWWFと再契約したリヒターは、新たなキャリアをスタートさせます。キャプテン・ルー・アルバーノとシンディ・ローパーの確執に巻き込まれる形で、ローパーをサポートするベビーフェイスとして参戦。そして、師匠でもあるファビュラス・ムーラとの一戦で、MSG定期戦において、見事勝利を収めWWF女子王座を獲得しました。この試合は「The Brawl to End It All」と銘打たれ、MTVでも放送され大きな反響を呼びました。これは、後にレッスルマニアへとつながる重要な出来事となりました。

その後も、シンディ・ローパーとのタッグを組み、ムーラとの抗争を続けました。1985年には、ムーラの策略によってレイラニ・カイに王座を奪われましたが、レッスルマニア1で王座を奪還。CBSのテレビアニメ「Hulk Hogan's Rock 'n' Wrestling」にもキャラクターとして登場するなど、WWFを代表する人気レスラーとしてメディアでも活躍しました。しかし、契約問題などを巡り、WWFとの関係が悪化。1985年11月25日、MSG定期戦でムーラの変身した姿であるスパイダー・レディに王座を奪われ、WWFを離脱することになりました。この試合は、フォールを返したにもかかわらず、レフェリーの不可解な判定によりリヒターが敗れたことで知られ、「The Original Screwjob」と呼ばれ、後のモントリオール事件を予感させる出来事として語り継がれています。

WWF以降：世界を舞台に活躍

WWF脱退後も、リヒターのキャリアは続きます。プエルトリコのWWCではWWC女子王座初代王者に輝き、AWAではメデューサ・ミセリーとの抗争を展開し、AWA女子王座を獲得しました。 AWAではメデューサと結託するバッド・カンパニーとのミックスド・タッグマッチにも参加しています。 1987年にはIWA世界女子王座を賭けてモンスター・リッパーと対戦するなど、世界各地の団体で活躍しました。

引退後は不動産仲介業に携わる傍ら、理学療法士と作業療法士の資格を取得しました。長らくプロレス界から離れていましたが、2005年にはリユニオンイベント「WrestleReunion」で復帰。2010年には、WWE殿堂入りを果たし、ロックン・レスリング時代を共に過ごしたロディ・パイパーから表彰を受けました。2012年には、シンディ・ローパー、ロディ・パイパーと共にRAWに登場するなど、現在もなお、プロレス界から愛される存在となっています。

得意技と獲得タイトル

リヒターは、カウガール・ラリアット、シットアウトDDT、パワーボム、ギロチン・ドロップなどを得意技としていました。

獲得タイトル:

NWA世界女子タッグ王座 (2回)
WWC女子王座 (2回)
AWA女子王座 (1回)
WWF女子王座 (2回)
* WWE殿堂 (2010年)

ウェンディ・リヒターは、その卓越したレスリング技術とカリスマ性で、女子プロレスの歴史に大きな足跡を残した伝説的なレスラーと言えるでしょう。

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