ウクライナ国立宇宙機関

ウクライナ国立宇宙機関（SSAU）

ウクライナ国立宇宙機関（State Space Agency of Ukraine, SSAU）は、ウクライナの宇宙開発を担う国家機関です。1992年3月に設立され、首都キーウに本部を置いています。以前は「ウクライナ国家宇宙機関（National Space Agency of Ukraine, NSAU）」という名称でしたが、組織の実質的な内容は変わっていません。

概要

1991年にウクライナが独立した後、翌1992年に宇宙開発を総合的に調整する機関として設立されました。ウクライナは、ソビエト連邦時代に培われた高度な宇宙技術を継承しており、ソ連の宇宙開発の約30%がウクライナでの研究成果によるものとされています。ロシアやカザフスタンとの技術協力に加え、18ヶ国と宇宙技術協力協定を締結しており、国際的な商業宇宙市場においても約8%のシェアを占めています。

ウクライナは独自のロケットや人工衛星の開発計画を持ち、ロシア連邦宇宙局（ロスコスモス）、欧州宇宙機関（ESA）、アメリカ航空宇宙局（NASA）などの宇宙機関や、民間企業とも共同でプロジェクトを進めています。国際協力の例としては、シーローンチ社やガリレオ測位システムとの連携が挙げられます。

ウクライナの人工衛星

ウクライナは、地球観測衛星「シーチ」や「オケアン」を独自に製造しています。また、ロシアと共同でいくつかの衛星も開発しました。1992年以降、自国利用を目的として6機の人工衛星を設計・製造・打ち上げました。最新の衛星は2004年に打ち上げられた「シーチ-1M」です。現在、ウクライナ宇宙機関は「シーチ-2」、「シーチ-2M」、「シーチ-3-0」、「シーチ-3-P」といった、さらなる「シーチ」衛星シリーズの研究開発を進めています。

ウクライナの打上げ機

1991年から2007年の間に、ウクライナの打上げ機は合計97基打ち上げられました。2006年には、世界の宇宙打ち上げの約12.1%をウクライナが占めていました。ウクライナの企業であるヤンゲリ・ユージュノエ国家設計局とマカロフ・ユージュニィ機械製造工場（ユージュマシュ）は、7種類の打上げ機を設計・製造しています。

主な打上げ機は以下の通りです。

ツィクロン
ツィクロン-2
ツィクロン-3
ゼニット-2
ゼニット-3SL
ドニエプル-1
* マヤーク

ウクライナ国内には射場がないため、ロケットの打ち上げには、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地、ロシアのプレセツク宇宙基地、シーローンチ社の海上打ち上げプラットフォームが利用されています。また、ブラジルとの共同で、アルカンタラ射場からのツィクロン-4の打ち上げも計画されています。この計画では、日本のNano-JASMINEが最初に打ち上げられる予定です。

ユージノエとユージュマシュは、ESAが開発中のヴェガロケット第4段用エンジン「RD-869」を供給しています。

有人飛行

ウクライナが独立する以前には、数人の宇宙飛行士がソ連国籍で宇宙飛行を行っていました。ウクライナ国籍を持つ初の宇宙飛行士はレオニド・カデニュークで、1997年にNASAのSTS-87ミッションにペイロード・スペシャリストとして搭乗しました。このミッションには、日本の土井隆雄宇宙飛行士も参加していました。

再使用型無人宇宙往還機

「スーラ」と称する無人二段式宇宙輸送機の開発計画がありました。この機体は、低軌道に投入された後、有翼で大気圏外から帰還する設計でした。

まとめ

ウクライナ国立宇宙機関は、ソ連時代の技術を基盤に、独自の宇宙開発を積極的に進めています。国際協力にも力を入れており、今後も宇宙開発分野において重要な役割を果たすことが期待されます。

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