カノ

カノ（英語: Kano, アジャミ文字: كَنُواْ）は、西アフリカのナイジェリアに位置する主要都市であり、カノ州の州都を務めています。2006年の国勢調査時点でおよそ216万3千人の人口を擁し、国内有数の人口規模を持つ都市の一つです。国際空港であるマラム・アミヌ・カノ国際空港を有し、国内外の都市との航空路線も開かれています。

歴史

カノの歴史は古く、紀元1000年頃にハウサ人によって王国が築かれ、やがてハウサ諸王国の一つ、カノ王国として大いに栄えました。12世紀頃からはムスリム商人の往来に伴い、イスラームの受容が進んだと考えられています。サハラ砂漠を縦断する貿易ルートの要衝であったカノは、金や塩、奴隷、象牙といった様々な物資が集まる交易拠点として発展しました。15世紀には都市を守るための土製の城壁が拡張され、その一部は現代まで残されています。1805年にはカノ首長国が成立しましたが、1809年には他のハウサ諸王国と同様にフラニ帝国によって征服されました。19世紀に入ると、西欧からの探検家たちがこの地に足を踏み入れるようになります。この時代、カノではハウサ諸王国の歴史を伝える貴重な史料である「カノ年代記」が編纂されました。20世紀初頭からはイギリスによる植民地支配が進められ、1912年にはカノと南部の大都市ラゴスを結ぶ鉄道が開通し、経済的な結びつきが強化されました。独立前には民族間の緊張も見られ、1953年にはヨルバ族とイボ族の間で衝突が発生しています。1960年にナイジェリアがイギリスから独立すると、カノは北部州の一部となりました。しかし、1966年にはカノを含む北部各地で、ハウサ・フラニ人によるイボ人への大規模な虐殺が発生し、数千人が犠牲となる悲劇が起きました。この北部の出来事が、翌1967年に南東部でのビアフラ共和国建国とビアフラ戦争の勃発に繋がります。この年にナイジェリア国内の州が再編され、カノ州が新設されるとともにカノがその州都となりました。

地理

カノは、標高488メートル地点に位置しており、サヘル地域の南縁にあたるスーダンサバンナが広がる中にあります。特に、比較的高地であるジョス高原の北側に面しています。近隣には南西に約130キロ離れたザリアや、西に約200キロのグサウなどの都市があります。また、北に約100キロ進むとニジェールとの国境があり、ニジェール側のザンデール（ジンデル）市は約200キロ北に位置しています。市内を流れるカノ川とチャラワ川は合流してアデジャ川となり、このアデジャ川は東へと流れてチャド湖に注ぎます。

気候

カノの気候は、ケッペンの気候区分ではサバナ気候（Aw）に分類されます。年間を通じて気温は高いものの、明確な雨季と乾季が存在するのが特徴です。

住民と経済

カノの住民は、主にハウサ人とフラニ族で構成されており、それぞれハウサ語とフラニ語が話されています。カノはナイジェリア北部における経済および文化の中心都市としての役割を担っています。特に、ピーナッツの主要な生産地であり、その集散地としても知られています。

交通

交通の要衝であり、前述のマラム・アミヌ・カノ国際空港があります。かつて運行が停止していたラゴスとの間の鉄道は、荒廃を経て2012年に運行が再開されました。道路網も発達しており、アルジェリアのアルジェからナイジェリアのラゴスを結ぶサハラ砂漠縦貫道路（トランス・アフリカ・ハイウェイ2号線）や、セネガルのダカールからチャドのンジャメナに至るサヘル横断道路（トランス・アフリカ・ハイウェイ5号線）といった国際的な幹線道路がカノを経由しています。

教育

カノはナイジェリア北部における教育の中心地でもあります。市内には主要な高等教育機関としてバイェロ大学やMaitama Sule Universityなどが設置されています。

スポーツ

サッカーも盛んで、カノを本拠地とするプロサッカークラブ、カノ・ピラーズFCが存在します。

出身者

カノからは、サニ・アバチャ（政治家）、ディクソン・エトゥフ（サッカー選手）、サニ・カイタ（サッカー選手）といった著名な人物が輩出されています。

関連項目

カノ首長国、カノ航空惨事などがカノに関連する項目として挙げられます。

美しいモスクや歴史的な建造物、活気ある市場など、カノには見どころも多く存在します。

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