ガズニー州

アフガニスタン・ガズニー州

アフガニスタン南東部に位置するガズニー州は、その歴史と地理的特徴において重要な役割を担ってきました。面積は2万2461平方キロメートルで、アフガニスタン34州中8位の広さを持ち、人口は約117万人で5位となっています。人口密度は1平方キロメートルあたり52人で、34州中11位です。ガズニー州は、ヒンドゥークシュ山脈とスライマン山脈の間に位置し、多様な地形が特徴です。

地理

ガズニー州の北西部から中央部にかけてはヒンドゥークシュ山脈が連なり、ダシュテ・ナーウアー湖やダクト・イ・ナヴァール火山群といった自然の驚異が見られます。一方、州の北東部から南部にかけては、幅約40キロメートルにもなる平野が広がっており、州内だけで100キロメートル以上の回廊を形成しています。この平野は最終的にカンダハール州へと繋がっています。

州都ガズニーは、この平野が始まる場所に位置し、標高2178メートルという高地にあります。この標高の高さから、カーブルやカンダハールなどの主要都市を見下ろすことができ、戦略的な要所としての役割も果たしてきました。ヒンドゥークシュ山脈からは、乾燥した平野へと複数の川が流れ込み、オアシスを形成しています。その中でもタルナク川はカンダハールまで流れ、この地域の重要な水源となっています。また、スライマン山脈からも河川が流れ、サル・デ・バンドダムやアーベ・イスターダ・エ・ムクル塩湖と繋がっています。

州の東端には、スライマン山脈から続く丘陵があり、平野を東西に分けています。この丘陵の東側は、パクティヤー州やパクティーカー州へと続く細長い平野となっています。

歴史

ガズニー州は、中世にはガズナ朝の中心地として栄え、10世紀にはペルシアを支配するほどの勢力を誇りました。この時代には、文化や芸術が花開き、ガズニーは重要な都市として名を馳せました。

近代に入ると、1839年には第一次アフガン戦争の激戦地となり、ガズニーの戦いが繰り広げられました。その後、1950年頃はカーブル州の一部でしたが、1957年までに分割され独立した州となりました。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、アフガニスタンは国際的な紛争に巻き込まれ、ガズニー州もその影響を大きく受けています。2004年の大統領選挙ではハーミド・カルザイが最多得票を得ましたが、2006年には州警察とターリバーンとの衝突が発生するなど、治安の悪化が深刻化しました。国際治安支援部隊（ISAF）が活動を開始しましたが、2007年には自爆テロや無差別爆撃が多発し、多くの犠牲者が出ました。この頃には、ターリバーンの勢力が拡大し、州内の多くの郡で職員が職場を放棄する事態となりました。

2009年の大統領選挙では、ラマザン・バシャルドストが最多得票を得ましたが、その後も紛争は激化し、ISAFや民間人の死傷者が増加しました。2012年にはアフガニスタン陸軍がナーワ郡を奪還しましたが、2013年には幹線道路での誘拐事件が発生するなど、不安定な状況が続きました。2014年にはアブドラ・アブドラが最多得票を得ましたが、ターリバーンによる政府庁舎の襲撃や村民の斬首事件など、悲惨な事件が相次ぎました。ISAFの活動終了後も、アフガニスタン軍や警察が単独で治安を維持する状況となり、ターリバーンの勢力が再び拡大しました。

2021年には、ターリバーンが州内の一部地域を支配下に置き、8月には州都ガズニーが陥落し、州知事が逮捕される事態となりました。

行政区分

ガズニー州は1市18郡で構成されています。

Ghazni - 州都ガズニー
Wali M. Shahid - khugyani
Khwaja Omari
Waghaz
Deh Yak
Jaghatu
Andar（アンダルー郡）
Zanakhan
Rashidan
Nawur
Qara Bagh（カラ・バーグ郡）
Giro
Ab Band
Jaghuri（ジャーグーリー郡、ジャグリ郡）
Muqur（ムケル郡）
Malistan
Gelan
Ajristan（アジルスターン郡）
* Nawa（ナーワ郡）

産業

ガズニー州は農業が盛んで、特にトウモロコシ、リンゴ、グレープフルーツ、アーモンドの生産が全国的に見ても上位にランクインしています。農業収入は家計収入の半分以上を占めており、この地域の重要な産業基盤となっています。

また、鉱業も重要な産業であり、ムケルの北にあるザルカシャーン鉱山では金や銅が産出されています。この鉱山は歴史的に採掘されていましたが、近年になって再評価され、採掘が再開されています。

交通

ガズニー州には、幹線道路であるアジアハイウェイ1号線が通っており、カブールとカンダハールを結ぶ重要な交通路となっています。また、ガズニー空港も存在し、2013年末から民間旅客機の運行が開始されました。

住民

ガズニー州の主な民族は、パシュトゥーン人のギルザイ部族連合とタジク人です。その他に、ハザーラ人や様々な部族が居住しています。北部のマリスターン県など6県は、ハザーラ人の伝統的な居住地帯として知られています。

主要言語はパシュトゥー語とダリー語であり、少数のウズベク語話者も存在します。識字率は31％となっています。

宗教

ガズニー州の住民は、ほとんどがイスラム教を信仰しています。

ガズニー州は、歴史、文化、地理的な多様性を持つ地域ですが、近年は紛争の影響を大きく受けています。今後の平和と発展が期待されます。

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