コンタレックスは、第二次世界大戦後の混乱期を脱した
西ドイツの
ツァイス・イコンが、フラッグシップモデルとして開発した
一眼レフカメラシリーズです。その価格は非常に高価で、最上位機種であるコンタレックススーパーエレクトロニックは、標準レンズ付きセットで
ハッセルブラッドの標準レンズ付きセットに匹敵するほどでした。独特なスタイリング、大きさ、重さも相まって、販売台数は全機種合わせても約55,000台と限られていました。
基本仕様
フィルム: 135フィルム(24×36mm判)
特徴: インターチェンジャブルマガジンバックにより、撮影途中のフィルム交換が可能
モデル一覧
コンタレックスプロトタイプ
ミラーがクイックリターンではない試作機。
一般には販売されませんでした。
コンタレックスI
発売: 1959年または1960年
開発: エドガー・ザウアーが指揮
特徴:
セレン光電池式連動
露出計内蔵(世界初、シャッタースピードと絞りに連動)。
クイックリターンミラーを搭載。
絞りはフィルム巻き上げ時に復帰。
布幕横走りフォーカルプレーンシャッター(B、1-1/1000秒、X接点同調1/60秒)。
俗称:ブルズアイ、サイクロップス(連動
露出計が目のように見えることから)、殿様カメラ(日本での高価格から)。
生産台数:約32,000台。
コンタレックスI後期型
発売: 1964年
特徴:
ファインダースクリーン交換可能。
データストリップ使用可能。
日本の中古市場では「II型」と呼ばれるが、
ツァイス・イコン社内呼称ではない。
コンタレックスIブラック仕上げ
文献上は存在するが、非常に希少。
確認されているのはわずか5台程度。
コンタレックススペシャル
発売: 1960年
特徴:
コンタレックスIから露出計を排除。
ペンタプリズムアイレベル/ウェストレベル交換式ファインダー。
ファインダースクリーン交換可能。
NASAの宇宙飛行士エドワード・ホワイトがジェミニ4号の船外活動で使用。
生産台数:約3,000台。
コンタレックスプロフェッショナル
発売: 1967年
特徴:
内部構造を大幅に改良し、操作性を向上。
ミラーが後退しながら上がることで広角レンズ設計に有利。
シリーズ最軽量の800g。
通称:P型
生産台数:約1,500台。
コンタレックススーパー
発売: 1967年4月
特徴:
コンタレックスプロフェッショナルにTTL連動露出計(CdS受光素子)を内蔵。
当初は絞り込み測光、後に開放測光に改良。
露出計スイッチが当初は前面、後に上面に移動(「フロントスイッチ」「トップスイッチ」)。
通称:S型
生産台数:約13,400台。
コンタレックススーパーエレクトロニック
発売: 1968年9月
特徴:
電子制御式シャッターを搭載。
ボディには「Electronic」としか記載がない。
シリアルナンバーの冒頭が「G」の前期型と「R」の後期型が存在し、電源系統が異なる。
ツァイス・イコンのカメラ事業撤退後、カール・ツァイスが製造・販売を継続。
通称:SE型
生産台数:約3,100台。
ホロゴンウルトラワイド
発売: 1968年または
1969年
特徴:
3群3枚構成のホロゴン15mmF8固定装着。
絞りF8固定。
インターチェンジャブルマガジンバック対応。
フォーカルプレーンシャッター(B、T、1〜1/500秒、X接点1/60秒)。
水準器内蔵。
手の写り込み防止のためユニバーサルハンドグリップ付属。
周辺減光補正フィルター使用時はF16固定。
生産台数:約1,400台。
スクリーン
コンタレックススペシャル以降、交換可能。
純正品:全面マット、フレネル+スプリットイメージ、フレネル+ゾナー250mm用スプリットイメージ。
空中像式を採用。
S型、SE型では、スプリットイメージの周囲にマイクロプリズムを配置したタイプが標準。
交換レンズ
専用のコンタレックスマウント。
絞りはボディ側のダイヤルで操作(原則としてレンズに絞りリングはなし)。
寒冷地での使用を考慮し、絞り駆動ダイヤルとレンズ側絞りリングにはボールベアリングが組み込まれている。
レンズはシュナイダー・クロイツナッハ製PA-クルタゴン35mmF4を除き、すべてカール・ツァイス製。
アタッチメントはバヨネットB56とφ49mmねじ込みの併設が原則。
主な交換レンズ
ディスタゴン15mmF3.5
F-ディスタゴン16mmF2.8
ディスタゴン18mmF4
ビオゴン21mmF4.5
ディスタゴン25mmF2.8
ディスタゴン35mmF2
ディスタゴン35mmF4
PA-クルタゴン35mmF4
プラナー50mmF2
テッサー50mmF2.8
S-プラナー50mmF4
プラナー55mmF1.4
プラナー85mmF1.4
ゾナー85mmF2
テッサー115mmF3.5
ゾナー135mmF2.8
ゾナー135mmF4
ゾナー180mmF2.8
ゾナー250mmF4
テレ
テッサー400mmF5.6
ミロター500mmF4.5
ミロター1000mmF5.6
バリオゾナー40-120mmF2.8
バリオ
ゾナー85-250mmF4
その他
ルミナーシリーズ(接写専用)
オプション
インターチェンジャブルマガジンバック
モータードライブ(コンタレックススーパーエレクトロニック用)
17mマガジン(コンタレックススーパーエレクトロニック用)
エレクトロニックコントロールユニット(コンタレックススーパーエレクトロニック用)
テレセンサー(コンタレックススーパーエレクトロニック用)
シャッタースピードインジケーター(コンタレックススーパーエレクトロニック用)
関連項目
カール・ツァイス
カール・ツァイスのレンズ製品一覧
ビオゴン
ディスタゴン
プラナー
ゾナー
テッサー
バリオゾナー
ツァイス・イコン
コンタックス
コンタフレックス
参考文献
『クラシックカメラ専科No.2、名機105の使い方』朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科No.9、35mm
一眼レフカメラ』
朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科No.43、Viva!イタリア コンタレックスのすべて』朝日ソノラマ
田中長徳『銘機礼賛2』
日本カメラ社
*
ツァイス・イコン、カタログ