コンダオ諸島

コンダオ諸島の概要

コンダオ諸島は、ベトナムのバリア＝ヴンタウ省に属する群島で、大小16の島々から構成されています。ヴンタウから約185km沖合に位置し、総面積は75.15平方キロメートルです。有人島は最大のコンソン島のみで、約7000人が暮らしています。コンソン島には空港があり、ホーチミン市との間に空路が開設されています。

地質的には、島々は様々な時代の岩漿岩から形成されています。バイカイン島、カウ島、ボンラン島は白亜紀の深成岩から成り、コンダオ諸島の北の島々は石英閃緑岩や中生代後期から新生代初期の花崗岩で構成されています。南の島々やバ島は流紋岩や貫入岩体から成り、コンダオ島の西側斜面には閃緑岩を貫く石英帯が露出しています。

年間を通して淡水が供給されるのは、コンソン島とカウ島のみです。

歴史

かつてクメール王朝の支配下にあったコンダオ諸島は、「コ・トララッチ」と呼ばれていました。17世紀にはキン族が定住を開始し、1702年にはイギリス東インド会社が入植地を築きましたが、3年後にはベトナム人によって追放されました。1787年には阮朝の嘉隆帝がフランスに割譲しましたが、この時はフランスの支援が失敗に終わり、条約は破棄されました。

1861年、コンダオ諸島はフランスの支配下に入り、「プロ・コンドレ諸島」と呼ばれました。その後、コンダオ刑務所が設けられ、政治犯が収容されるようになり、劣悪な環境から「虎の檻」とも呼ばれました。ベトナムの民族主義者や共産主義指導者が収容され、19世紀以降、20万人以上が収容され、2万人以上が亡くなったとされています。

現在は、ウミガメの産卵地や豊かな自然、ベトナム独立・革命運動の犠牲者を慰霊する場所として、多くの観光客が訪れています。

コンダオ国立公園

1984年、諸島の多くがコンダオ国立公園として保護され、1998年には保護地域が拡大されました。タイマイ、アオウミガメ、イルカ、ジュゴン、オサガメなどの貴重な動物が生息し、海草藻場、マングローブ、サンゴ礁などの生態系が保護されています。内陸部にはコバノブラシノキ属の植物が生え、海岸沿いには乾燥林、浅瀬、干潟など多様な環境が見られます。

2013年にはラムサール条約登録地にも認定されました。コンダオ国立公園と世界自然保護基金は、より広範囲な海洋保護活動、海草藻場やサンゴ礁の保全、持続可能な観光産業の確立を目指しています。諸島では、環境資源の活用と開発のバランスを考慮した行政が行われています。

コンダオ諸島は、その歴史的背景と豊かな自然環境が調和した、独特な魅力を持つ場所と言えるでしょう。

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