ゴードン・ソリー

ゴードン・ソリー (本名: ジョナード・ピエール・ショブロム、1929年1月26日 - 2000年7月27日) は、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス出身のプロレス実況者であり、その名を「プロレス実況の帝王 (The Dean of wrestling announcers)」と称される伝説的な人物です。

1950年代、アメリカ空軍除隊後、フロリダ州タンパのラジオ局でディスクジョッキーとしてキャリアをスタートさせます。スポーツリポーターも兼任し、プロレスラーへのインタビューなども行い、プロレス界との接点を築いていきました。

1960年代に入ると、NWAフロリダ地区のチャンピオンシップ・レスリング・フロム・フロリダ (CWF) でリングアナウンサーを務めた後、1960年から実況アナウンサーとして活躍を始めます。すぐにリード・アナウンサーの座に就き、ルー・テーズ、ジン・キニスキー、エディ・グラハム、ジョニー・バレンタイン、ヒロ・マツダ、ドリー・ファンク・ジュニア、ジャック・ブリスコ、ハーリー・レイス、テリー・ファンク、そして1970年代中盤から台頭してきたダスティ・ローデスなど、後のプロレス史に名を残す多くのレジェンドたちの試合を実況。その鮮烈な言葉選びと情熱的な語り口は、視聴者に大きな感動を与えました。

1974年からは、NWAジョージア地区のジョージア・チャンピオンシップ・レスリング (GCW) の中継にも携わるようになり、テッド・ターナーのTBSで1985年まで実況とインタビュアーとして活躍しました。1980年代初頭には、悪役コメンテーターとして知られるロディ・パイパーと幾度となく舌戦を繰り広げ、その巧みな掛け合いは、後のゴリラ・モンスーン＆ボビー・ヒーナン、ジム・ロス＆ジェリー・ローラーといった名コンビのスタイルにも影響を与えたと言われています。WWFのアナウンサーだったモンスーン自身も、ソリーの実況スタイルに強い影響を受けたことを公言しています。

CWFでは、同団体がジム・クロケット・プロモーションズに吸収された1987年まで実況を担当。1989年には、テッド・ターナーによるクロケット・プロ買収によって誕生したWCWに参加し、GCW以来となるTBSでの活動を再開します。1995年にWCWを離れ、プロレス界から引退しました。

1990年代後半には咽頭癌を患い、声帯を摘出する手術を受け、多くのファンに親しまれてきた彼の独特の声を失ってしまいます。闘病生活を送る中で、2000年7月27日、フロリダ州ニューポート・リッチーの自宅で71歳でこの世を去りました。

ゴードン・ソリーは、1984年7月のブラック・サタデーなどを背景に、ビンス・マクマホンに対して批判的な姿勢を貫き通しました。しかし、彼のプロレス界への多大なる貢献は広く認められ、2008年にはWWE殿堂入りを果たします。殿堂入りセレモニーでインダクターを務めたジム・ロスは、「ゴードン・ソリーこそが最高のレスリング・アナウンサーであり、我々は彼に次ぐナンバー2を争っているにすぎない」と、彼の偉大さを称えました。

数々の賞を受賞した彼の功績は、Pro Wrestling Illustrated awards（[アナウンサー]]・オブ・ザ・イヤー(1977年)、エディターズ・アワード(1989年)）、Wrestling Observer Newsletter awards（ベスト・テレビジョン・アナウンサー]、レスリング・オブザーバー殿堂([[1989年)）、WCW殿堂(1995年)、NWA殿堂(2005年)など、枚挙にいとまがありません。彼の名は、プロレス史に永遠に刻まれることでしょう。

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