サガシリーズ

サガシリーズの概要

サガシリーズは、スクウェア（現スクウェア・エニックス）が開発・発売しているコンピュータRPGシリーズです。1989年12月15日にゲームボーイ初のRPGとして発売された『魔界塔士Sa・Ga』を原点とし、その後、さまざまなプラットフォームで展開されてきました。

シリーズの特徴として、河津秋敏氏を中心としたチームが一貫して制作に携わっていることが挙げられます。また、タイトルごとにナンバリングをリセットする独特の方式を採用しており、各作品が独立した世界観を持っているのも魅力の一つです。2024年10月現在、シリーズは15作を数え、累計販売本数は1,100万本を超えています。

タイトル名の由来

「サ・ガ」というタイトルは、当時、スクウェアの看板タイトルであったファイナル[[ファンタジーシリーズ]]（FFシリーズ）に対抗し、「短くシンプルな名前」を模索した結果、決定されました。当初は「サ・ガ」と中黒が入っていましたが、PlayStation以降の作品からは中黒が省略され「サガ」と表記されています。

開発者の河津氏によると、「サ・ガ」というタイトルには、「ズガガガ」や「ドバババ」といった勢いのある音のようなイメージを持たせたかったものの、明確な意味は特にないとのことです。中黒を入れていたのは叙事詩の「サガ」ではないことを示すためであり、「性（サガ）」というセリフも後付けであると語っています。一方で、開発チームは、「語感やロゴにしたときの見た目」がネーミングの由来であると述べています。

シリーズ作品一覧

サガシリーズは、さまざまなプラットフォームで展開されています。以下に主な作品を一覧で示します。

ゲームボーイ
魔界塔士 Sa・Ga (1989年12月15日)
Sa・Ga2 秘宝伝説 (1990年12月14日)
時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編] (1991年12月13日)
Sa・Ga COLLECTION (2020年12月15日)

スーパーファミコン
ロマンシング サ・ガ (1992年1月28日)
ロマンシング サ・ガ2 (1993年12月10日)
ロマンシング サ・ガ3 (1995年11月11日)

PlayStation
サガ フロンティア (1997年7月11日)
サガ フロンティア2 (1999年4月1日)

PlayStation 2
アンリミテッド:サガ (2002年12月19日)

ソーシャルゲーム
エンペラーズ サガ (2012年9月18日サービス開始、2017年4月28日サービス終了)

PCブラウザゲーム
インペリアル サガ (2015年6月18日サービス開始、2019年12月26日サービス終了)
インペリアル サガ エクリプス (2019年10月31日サービス開始)

PlayStation Vita
サガ スカーレット グレイス (2016年12月15日)

マルチプラットフォーム
サガ エメラルド ビヨンド (2024年4月25日)

ネイティブアプリ
ロマンシング サガ リ・ユニバース (2018年12月6日サービス開始)

リメイク作品
ロマンシング サガ -ミンストレルソング- (2005年4月21日)
サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY (2009年9月17日)
サガ3時空の覇者 Shadow or Light (2011年1月6日)
ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン (2024年10月24日発売予定)

世界観

初期のサガシリーズは、ファンタジー、SF、和風など、多様な世界観がパラレルワールドとして混在しているのが特徴です。プレイヤーは、一つの世界で問題を解決し、次の世界へと冒険を進めていきます。モンスターが人間と同じように生活しているのも、このシリーズならではの特徴です。

戦闘では、剣や魔法といった基本的な攻撃手段に加え、近未来的な機械や火器が登場することも珍しくありません。また、ゲームボーイ版では、チェーンソーや戦車といったユニークな武器が登場し、当時のプレイヤーに衝撃を与えました。さらに、モビルスーツやパロディ要素も散見され、ゲームを盛り上げています。

『ロマンシング サ・ガ』シリーズ以降は、中世ファンタジーの世界観をベースとし、SF要素は排除されています。アイテムや魔法の名称もFFシリーズから脱却し、独自のものが用いられるようになりました。

シリーズ間のストーリーの繋がりはほとんどなく、世界観やゲームシステムも大きく異なるため、GB版とSFC版以降の作品は、別シリーズと捉えることもできます。初期作品では神の存在が物語の鍵となり、神と人間が対峙するシーンが多く見られます。

フリーシナリオ

サガシリーズの特徴の一つとして、フリーシナリオシステムが挙げられます。従来のRPGでは、特定の条件を満たさないとイベントが進行しないのが一般的ですが、サガシリーズでは、プレイヤーの行動に関係なく、時間経過とともにイベントが発生・進行します。

これは、HPや戦闘回数（後のシリーズでは勝利回数）に基づいてイベントが進行することで、ゲーム内に時間の経過を表現しているためです。特定のイベントをクリアしたい場合は、戦闘を避け、迅速に行動する必要があるでしょう。また、特定の主人公でしか体験できないイベントや、同時に複数のイベントが発生することもあり、複数回のプレイを前提としたゲームバランスとなっています。

多くのイベントはクリアしなくてもゲームを進めることは可能で、プレイヤーの選択によって物語が変化していくのが面白いところです。悪事を働いた方が有利になることもあり、どのようなプレイスタイルを選ぶかはプレイヤー次第です。

このシステムにより、敵が戦闘回数に応じて強くなるため、どの地域でも実力に見合った敵と戦うことができます。初めて訪れる地域でも過度に敵を警戒する必要がなく、自由な冒険を楽しむことができるのです。

戦闘面の特徴

サガシリーズの戦闘は、一般的なRPGとは大きく異なります。以下に主な特徴を解説します。

全作品に共通する特徴
キャラクターにレベルの概念がない：キャラクターの強さは、戦闘中にパラメータが上昇することで決まります。レベルアップのように一斉にパラメータが上昇することはありません。
成長は偶然に左右される：戦闘終了時に、使った力に応じてパラメータが上昇することがありますが、確実ではありません。成長は運に左右される部分があります。
敵のレベルは味方の成長を判定するために設定されている：敵のレベルが高いほど、味方が成長しやすいですが、敵も強いため、注意が必要です。
コマンドは武器・魔法・技が同列：攻撃は「たたかう」ではなく、武器・魔法・技を直接選択します。MPの概念がない作品もあります。
敵には弱点が存在する：ボス敵は弱点が少ないですが、即死攻撃や状態異常が有効な場合があります。敵の弱点を見抜くことが重要です。

『ロマンシング サ・ガ』以降に共通する特徴
シンボルエンカウント方式を採用：フィールド上を移動する敵と接触すると戦闘が開始します。
戦闘回数と連動する敵の強さ：敵の強さは、戦闘回数に応じて変化します。そのため、序盤から広範囲を探索しても、強すぎる敵に遭遇することはありません。
逃走にはリスクが伴う：逃走すると戦闘回数が増加したり、所持金が減ったりするなど、リスクがあります。そのため、逃げるよりも敵を倒す方が有利な場合が多いです。
技や術が重要な要素：武器ごとに使用できる「技」、魔法にあたる「術」は、戦闘において欠かせない要素です。技は武器を使い込むことで、術は店で購入することで習得できます。
閃きシステム：『ロマンシング サ・ガ2』以降では、戦闘中に新しい技を閃くことがあります。これにより、より強力な敵と戦うモチベーションが生まれます。
見切りシステム：敵の攻撃を回避する「見切り」というシステムが存在します。これにより、強力な敵に対抗することができます。
HPとLPの概念：戦闘後にはHPが全回復しますが、LP（生命力）が0になると復活できなくなります。LPは回復手段が限られているため、戦闘を慎重に進める必要があります。

『サガ フロンティア』以降にほぼ共通する特徴
連携システム：複数のメンバーが同じ敵を攻撃すると、連携が発生し、攻撃力が上昇します。連携をうまく活用することで、強敵にも勝利できます。

ステータス異常
シリーズには、多彩なステータス異常が登場します。能力値変化、スタン、時間停止、狂戦士、暗闇、眠り、悪夢、マヒ、混乱、ターゲット強制変更、誘惑、毒、再生、呪い、バリア、凍結、石化、戦闘不能、死亡などが存在します。

武器の耐久度
多くの作品で武器に使用回数制限（耐久度）が設けられています。耐久度が0になると武器が壊れてしまうため、武器を常に補充する必要があるでしょう。一部の防具にも同様の制限があります。

移動面における特徴

GB版では、徒歩での移動が基本ですが、グライダーやバイク、船などの乗り物が登場します。また、『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]』では、戦闘機がストーリーに大きく関わっています。

『ロマンシング サ・ガ』以降では、ワールドマップから行きたい場所を選択することで瞬時に移動できます。道に迷ったり、敵との戦闘に煩わされることがありません。ただし、物語を進めることで、移動できる場所が増えていきます。

イラスト

初期のサガシリーズは、藤岡勝利氏がイラストを担当していましたが、『ロマンシング サ・ガ』からは小林智美氏が起用され、繊細なタッチでキャラクターデザインを手がけました。この交代は、サガシリーズのイメージを大きく変えることとなりました。

音楽

GB版サガシリーズでは、当初は植松伸夫氏が作曲を担当していましたが、『Sa・Ga2 秘宝伝説』からは伊藤賢治氏も作曲に加わりました。『ロマンシング サ・ガ』シリーズ以降は、伊藤氏がほぼ全ての楽曲を担当しています。また、『サガ フロンティア2』と『アンリミテッド・サガ』では浜渦正志氏が作曲を担当しました。

主なスタッフ

サガシリーズには、数多くのクリエイターが関わってきました。主なスタッフとして、河津秋敏氏、植松伸夫氏、伊藤賢治氏、浜渦正志氏、小泉今日治氏、生田美和氏、時田貴司氏、藤岡千尋氏、笹井隆司氏、直良有祐氏、小林元氏、市川雅統氏などが挙げられます。

コラボレーション

サガシリーズは、佐賀県とのコラボレーションを積極的に行っています。佐賀県の地名が「Sa・Ga」と同じ読みであることから、「ロマンシング佐賀」と題したイベントが開催され、佐賀県の名産品とゲームを関連付けた商品展開が行われました。また、プロサッカーチームのサガン鳥栖とのコラボレーションも実現しています。

「ロマンシング佐賀」シリーズ
これまでに複数回開催されており、佐賀県の名産品や観光地とゲームの世界観を融合させたコラボレーション企画が行われています。ラッピング車両やマンホールなど、さまざまな形で佐賀県を彩っています。

舞台版
『ロマンシング サガ』シリーズをベースとした舞台作品も上演されています。
『Romancing SaGa THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜』（2017年）
『SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜』（2018年）
『SaGa THE STAGE〜再生の絆〜』（2024年）

関連作品

サガシリーズの関連作品として、ファイナル[[ファンタジーシリーズ]]、ワイルドカード、ラスト レムナントなどが挙げられます。

サガシリーズは、その独特の世界観、自由度の高いゲームシステム、やりこみ要素の高さから、多くのファンに支持されています。今後も、新たな作品が発表されることが期待されています。

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