シバン (ジョチ・ウルス)

シバン(ジョチの子)



シバン(生年不詳 - 1266年)は、チンギス・カンの長男ジョチの息子であり、バトゥの弟にあたる人物です。彼はモンゴル帝国の西方遠征において、重要な軍事司令官の一人として活躍しました。

生涯



シバンは、モンゴル帝国の西方遠征に参加し、1237年にはバシキール人ヴォルガ・ブルガール人、モルドヴィン人に対する攻撃に加わりました。遠征軍は同年の冬にルーシに到達し、各地の都市への攻撃を開始しましたが、シバンは一時ノヴゴロド方面へ向かった後、ステップへと引き返しました。彼は西ルートを進んだ軍団に所属し、スモレンスクの東30kmの地点を通過した後、フシチイシュへ至り、その後コゼリスクの東方へと反転しました。1239年末には、ボチュクと共に支隊を率いてクリミア半島に侵攻し、スダクを陥落させました。

ルーシ遠征の終盤では、シバンの軍はキエフ包囲戦に参加し、これを陥落させることに貢献しました。その後、バトゥスブタイが指揮する遠征軍の本隊は、ルーシ南西のガーリチ・ヴォルィーニ公国領、さらに西方へと侵攻しましたが、シバンはガーリチを陥落させた後に本隊から分離し、カダアンを長とする南ルートを進む軍団に所属しました。二手に分かれたモンゴル帝国軍は共にカルパティア山脈を越えてハンガリー王国領の東部に到達。モヒの戦いワールシュタットの戦いなどで勝利を収めましたが、モンゴル帝国の皇帝(カアン)であるオゴデイの訃報を聞くと、軍を東方へと引き返すこととなりました。

ジョチ・ウルスの成立後、シバンはジョチ・ウルスの北東部(現在のカザフスタンの一部)を領有し、シバン・ウルスを形成しました。

子孫



シバンの子としては、12人の名前が確認されています。彼の子孫によるシバン・ウルスは、およそ200年の間存続し、同地の文化・民族形成に大きな影響を与えました。また、15世紀に中央アジアに興ったシャイバーニー朝の祖であるアブル=ハイル・ハンは、シバンの末裔にあたります。

名前について



Y.A.ザエフの説によれば、「シバン」という名前はチュルク祖語で「愛」や「忠実」を意味する「セベク」あるいは「セヴェン」に由来するとされています。

参考文献



Юань-чао би-ши Сокровенное сказание монголов — М.: Товарищество научных изданий КМК, 2002.
Султанов Т. И. Чингиз-хан и Чингизиды. Судьба и власть. — М.: АСТ:АСТ МОСКВА, 2006. — С. 283-284.
Храпачевский Р. П. Великий западный поход чингизидов на Булгар, Русь и Центральную Европу // Военная держава Чингисхана. — М.: АСТ, 2005.
アブル=ガーズィー、Часть Осьмая, Содержащая историю о Шейбани-Хане, сыне Чучи-Хановом, и о его потомках, которые государствовали в земле Ма-Уреннерской, в Крыме, и в земле Туране // Родословная история о татарах. — СПб.: Императорская Академия Наук, 1768. — Т. 2. — С. 114-121.
アラーウッディーン・アターマリク・ジュヴァイニー、История завоевателя мира // Сборник материалов, относящихся к истории Золотой Орды. — М., 1941.
Махмуд бен Вали. Море тайн, относительно доблестей благородных // Материалы по истории казахских ханств XV-XVIII веков (Извлечения из персидских и тюркских сочинений). — Алма-Ата: Наука, 1969.
ラシードゥッディーン、Сборник летописей (『集史』)/ Пер. с персидского Ю. П. Верховского, редакция проф. И. П. Петрушевского. — М., Л.: Издательство Академии Наук СССР, 1960.

関連項目



シャイバーニー朝
* シビル・ハン国

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