ジョン・キャンベル (初代ラウドン伯爵)

初代ラウドン伯爵ジョン・キャンベルの生涯

初代ラウドン伯爵ジョン・キャンベル（1598年 - 1662年/1663年）は、スコットランドの貴族であり、政治家として、清教徒革命（イングランド内戦・スコットランド内戦）から王政復古期という激動の時代を駆け抜けました。キャンベル氏族の一員であり、国民盟約（盟約派）の重要な人物でした。

生い立ちと爵位継承

ジョン・キャンベルは、ジェームズ・キャンベルとジェイン・コルヴィルの間に生まれました。1619年、義理の祖父にあたる初代ラウドンのキャンベル卿が爵位を譲るために退き、1622年に祖父の死後、卿位を継承しました。

チャールズ1世との関係

イングランド王兼スコットランド王チャールズ1世が即位後の1626年に失効法を制定した際、キャンベルは国王に法律緩和を請願する使節の一人となりました。この働きかけにより、キャンベルは国王の知遇を得て、1633年にラウドン伯爵、タリネイン=モホリン卿に叙爵されました。

しかし、キャンベルはチャールズ1世の宗教政策に反対し、1638年に国民盟約を結成しました。1640年の第二次主教戦争ではイングランドへ侵攻、和睦後はスコットランド大法官に任命され、国王とスコットランド議会の仲介役を務めました。しかし、1642年5月には、同族のアーガイル侯爵アーチボルド・キャンベルの代理として、チャールズ1世の下へ派遣された際に、イングランド議会（長期議会）とチャールズ1世の争いにおいて、議会に正統性があるというスコットランド議会の意向を伝え、国王の不興を買ってしまいます。

イングランド内戦における役割

スコットランドへ帰国後、キャンベルはアーガイル侯の補佐として活動し、1643年2月にはチャールズ1世が滞在していたオックスフォードへ使節として再度派遣されました。スコットランド教会代表のアレクサンダー・ヘンダーソンと共に、第一次イングランド内戦の仲介を試みましたが、イングランド国教会（監督制）を廃止し、スコットランドの長老制を導入することを条件とする提案は、王党派のハミルトン公爵ジェイムズ・ハミルトンの助言を受けたチャールズ1世に拒否されました。さらに、2ヶ月間オックスフォードで待たされた末に帰国を余儀なくされました。

その後、キャンベルは議会派を支持する立場となり、1644年に設立されたイングランド・スコットランド合同の両王国委員会の委員に任命され、イングランドへ赴任します。そこで、独立派、特にオリバー・クロムウェルの台頭に不安を覚えたキャンベルは、1644年12月3日にエセックス伯ロバート・デヴァルーの屋敷で他のスコットランド委員と共に会談を行い、クロムウェルを戦争扇動者として告発する計画を協議しましたが、証拠不十分として失敗に終わりました。1645年1月のアクスブリッジでの国王との和睦交渉にも出席しましたが、国王が宗教問題で譲歩しなかったため、交渉は決裂しました。

スコットランド内戦においては、本国の盟約派が王党派のモントローズ侯爵ジェイムズ・グラハムに脅かされ、キルシスの戦いで盟約派が惨敗したことにより、キャンベルの立場は不安定になりました。

王政復古期と晩年

内戦終盤、キャンベルはチャールズ1世と盟約派の和睦に取り組みました。1646年7月には、スコットランド軍に投降していたチャールズ1世に和睦を受け入れるよう求めましたが拒否されたため、議会派との交渉に移行しました。国王の身柄の扱いで揉めたものの、スコットランド軍の撤退と支払い金額で合意に至りました。翌1647年の和解契約には反対したものの、イングランド共和国とは敵対し、チャールズ2世を支持しました。

1650年、第三次イングランド内戦のダンバーの戦いで敗れた後、郷里に引退しましたが、チャールズ2世支持を変えなかったにもかかわらず、王政復古後の1662年には過酷な罰金刑を課せられ、晩年は不遇でした。彼の死去した年は1662年または1663年とされており、正確な年は分かっていません。

子女

妻マーガレットとの間に2男2女をもうけ、息子ジェームズが爵位を継承しました。

参考文献

松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
サミュエル・ローソン・ガードナー著、小野雄一訳『大内乱史Ⅰ:ガーディナーのピューリタン革命史』三省堂書店、2011年。
シセリー・ヴェロニカ・ウェッジウッド著、瀬原義生訳『イギリス・ピューリタン革命―王の戦争―』文理閣、2015年。
サミュエル・ローソン・ガードナー著、小野雄一訳『大内乱史Ⅱ（上）:ガーディナーのピューリタン革命史』三省堂書店、2018年。

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