ソウル高等学校

ソウル高等学校は、大韓民国ソウル特別市瑞草区に位置する、江南8学群に属する公立男子高等学校です。韓国国内で最も古い中等教育機関の一つとして知られ、各界に多くの人材を輩出してきました。1970年代には、「ソウル大学はソウル高校の分校」という入試に関するジョークが広まるほど、その名声は高かったと言われています。2010年代の朴槿恵政権時代まで、韓国政界の主要人物の多くがソウル高校出身であり、KOSPI上場企業のCEOも多数輩出しています。

また、韓国の財閥であるサムスンでは、歴代最多の社長を輩出した高校としても有名です。さらに、韓国の反共主義護国に関連する顕忠施設を4つも保有しているという特徴もあります。これらの顕忠施設の中には、参戦記念碑があり、5つの烏石でできた碑石が正六面体の枠内に配置され、中央にはソウル高校のマークが刻まれた円形の花崗岩が置かれています。後方の主碑には李明博元大統領の直筆揮毫である「自由民主主義守護」が刻まれ、主碑の左右に立つ4つの碑石には、ソウル高校出身の参戦者たちの名簿が期別に刻まれています。

概要

ソウル高校は公式には認めていませんが、その起源は、大韓帝国末期の1909年に、漢城府の日本人居留民団が内地人（日本人）の子弟を教育するために設立した京城居留民団立京城中学校に遡ります。開校にあたっては、一進会から土地と建物を借りていました。その後、韓国併合により、同校は統監府、次いで朝鮮総督府が所管する官立中学校となり、最終的に京畿道に移管されました。

日本統治時代の朝鮮において、成績優秀な内地人男児の多くは同校への入学を目指し、朝鮮の中学校の中でも筆頭の存在であり続けました。1924年に創立された京城帝国大学では、同校出身者が最大多数を占めていたと言われています。なお、朝鮮人の入学も可能でしたが、その数は非常に少なかったです。学校スポーツにおいては、全国中等学校優勝野球大会の本大会に、朝鮮半島代表として5回出場しています。

1945年 8月15日に日本が太平洋戦争に無条件降伏したことで、同校の性質は大きく変化しました。同年9月24日、米軍の軍政布告により日本人の学校が閉鎖され、その後内地人が日本へ帰還したことで、京城中学校は校名をソウル中学校と改め、韓国人の学校として再出発しました。1951年の学制改革により、同校は新制のソウル中学校（1971年廃止）とソウル高等学校に分割され、現在に至っています。

同校の公式サイトの沿革には、1946年以後の年表のみが記載されており、それ以前の京城中学校時代については資料が残されていないため、言及されていません。

沿革

1909年 5月22日 - 京城居留民団立京城中学校が開校。
1910年4月 - 官立となり、統監府中学校に改称。同年8月、朝鮮総督府中学校に改称。11月、慶熙宮跡に新校舎が完成し、移転。
1911年4月 - 朝鮮総督府中学校附設臨時小学校校員養成所が開設。
1912年6月 - 寄宿舎が完成。
1913年 3月9日 - 釜山中学校の開校に伴い、（官立）京城中学校に改称。
1913年4月 - 京城中学校附設臨時小学校校員養成所が開設。
1915年4月 - 平壌に分教室を設置（翌年平壌中学校として独立）。
1917年4月 - 大田に分教室を設置（翌年大田中学校として独立）。
1925年 - 京畿道に移管され、京城公立中学校に改称。
1933年 5月27日 - 校舎が焼失（原因不明）。
1935年 4月21日 - 新校舎落成式と創立25周年記念式を同時開催。
1945年8月 - 1946年、日本の敗戦と内地人引き揚げにより、「日本人の学校」としての歴史を終える。
1946年3月 - 韓国の学校として新たに開校。修業年限を6年制に変更。
1947年6月 - ソウル中学校に改称。
1951年9月 - 学制改革により、ソウル中学校（3年制）とソウル高等学校（3年制）に分割。12月、中学校を西大門中学校に改称。
1953年7月 - 西大門中学校、旧名に復す。
1969年 - ソウル中学校、生徒募集停止。
1971年 - ソウル中学校廃止。
1980年 - ソウル高等学校、江北の京城中学校時代の校地から、江南の瑞草区へ移転。旧校舎はソウル市立美術館として使用されたが取り壊され、慶熙宮が部分的に復元。

著名な出身者

戦前

森敦 - 小説家
宇佐美洵 - 第21代日本銀行総裁
宇佐美毅 - 第2代宮内庁長官
具鎔書 - 第10代大韓民国商工部長官、初代韓国銀行総裁
伊達得夫 - 編集者
柳井隆雄 - 脚本家
中島敦 - 小説家
湯浅克衛 - 小説家
泉靖一 - 文化人類学者
青木均一 - 実業家、東京電力会長
成田豊 - 実業家、電通会長
梶山季之 - 小説家
申相玉 - 映画監督
乾昭三 - 法学者
葉紀甫 - 詩人
日野草城 - 俳人
今村充夫 - 民俗学者、歌人

戦後

林泰勳 - プロ野球選手（斗山ベアーズ）
安致弘 - プロ野球選手（起亜タイガース）
李尚勲 - 元プロ野球選手
崔仁浩 - 小説家

脚注

参考文献

京喜会「仁旺ケ丘」発行実行委員会『仁旺ケ丘 : 京城中学卒業五十周年記念誌』、1982年
渡部学・阿部洋編『日本植民地教育政策史料集成. 朝鮮篇第53巻 - 第62巻』龍渓書舎、1988年
稲葉継雄『旧韓国~朝鮮の「内地人」教育』九州大学出版会、2005年

関連項目

大田高等学校 - ソウル高校の分教室が前身。
慶熙宮 - 跡地に同校校舎が建てられた（-1980年まで）。また、このことから同校の異名ともなっている。
隈本有尚 - 初代校長。

外部リンク

* 公式サイト

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