ゾンビによる世界の終末

ゾンビによる世界の終末

ゾンビによる世界の終末は、SFやホラー作品における終末ものの一類型であり、人類に敵対的なゾンビが世界規模で出現し、文明が脅威に晒される状況を描いたものです。

シナリオの特徴

ゾンビに襲われた者がゾンビ化することで、感染は指数関数的に拡大します。軍事組織や治安維持組織の対応能力を凌駕する大発生が伝染病のように発生し、社会は崩壊、文明は孤立した生存者を残すのみとなります。ゾンビは共食いをせず、長時間活動し続けるため、時間経過による解決も期待できません。生存者たちは、食料や資源を求めて争いながらも、知恵を絞り、人類の存続をかけて奮闘します。

構成要素

ゾンビによる世界の終末を描いた作品には、共通する設定がいくつか存在します。

未知の脅威: これまで知られていなかった新種のゾンビが出現するため、有効な対策を立てることが困難です。
感染の連鎖: ゾンビに傷つけられた者もゾンビ化し、人間を襲います。事態の深刻さを認識するまで対応が遅れ、感染拡大を招きます。
当局の無策: 当局が事態を軽視する間にゾンビは蔓延し、既存の科学技術では対処不能となります。社会は滅亡の危機に瀕し、生存者たちは生き残りをかけて戦います。
生存者の物語: 物語は、災厄に巻き込まれた少数の生存者グループを中心に展開します。ゾンビ発生、当局への支援要請、破局、そして生存闘争という流れが一般的です。
人間の変化: 極限状態に置かれた登場人物たちは、恐怖や自己防衛本能に突き動かされ、人格が変貌していきます。
ゾンビの特性: ゾンビはゆっくりと動き回るものが多いですが、近年ではより強靭で敏捷なゾンビも登場しています。

内包するテーマ

ゾンビによる終末ものは、文明の脆弱性や人間の本性を浮き彫りにします。真の脅威の前には文明は脆く、多くの個人は利己的な行動に走ります。また、世界の終末への不安や、現代社会への批判といったテーマも含まれています。

鎮圧不可能なゾンビによる終末は、死への欲動や自然状態への回帰を想起させ、現代社会への悲観的な視点を反映していると言えるでしょう。

キム・パフレンロスは、「ゾンビは、我々が予期している通りの世界の終わりを告げてくれる」と述べています。

愛好家

映画やビデオゲームの影響から、「ゾンビ・アポカリプス」に備えるマニアも存在します。武器の製作やサバイバル術の啓蒙活動などを行っています。また、ガウチャー大学では学生たちが「人間 vs. ゾンビ」という鬼ごっこを考案しましたが、銃器の危険性を軽視しているとの批判も出ています。

作品例

映画:
ジョージ・A・ロメロ監督作品（『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、『ゾンビ』など）
『28日後...』、『ドーン・オブ・ザ・デッド』、『ワールド・ウォーZ』
漫画:
小室孝太郎『ワースト』
ロバート・カークマン『ウォーキング・デッド』
佐藤大輔・佐藤ショウジ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
小説:
マックス・ブルックス『ザ・ゾンビ・サヴァイヴァルガイド』、『WORLD WAR Z』
スティーヴン・キング『セル』
大沢在昌『ウォームハートコールドボディ』
テレビ:
『ウォーキング・デッド』
ビデオゲーム:
『Left 4 Dead』、『デッドライジング』

関連項目

ゾンビ
* 終末もの

もう一度検索