タイル型ウィンドウマネージャ

タイル型ウィンドウマネージャとは



タイル型ウィンドウマネージャは、画面を互いに重ならない領域に分割し、ウィンドウを配置するウィンドウマネージャの一種です。これは、ウィンドウが重なり合うことを許容する従来の座標ベースのウィンドウ管理とは対照的です。タイル型ウィンドウマネージャは、画面空間を効率的に活用し、複数のウィンドウを同時に表示しやすくするため、生産性向上に貢献します。

歴史



ゼロックス パロアルト研究所



初期のグラフィカルユーザーインターフェース（GUI）はタイル型ではありませんでしたが、ゼロックスのパロアルト研究所（PARC）で開発されたAltoに続き、タイル型ウィンドウマネージャが登場しました。Xerox Starシステム（1981年）では、アプリケーションのウィンドウはタイル型で表示され、ダイアログボックスなどの一部の要素のみが重なり合う形式でした。その後、PARCで開発されたCEDAR（1982年）が、初めて完全なタイル型ウィンドウマネージャをウィンドウシステムに採用しました。

様々なベンダー



1980年代には、複数のベンダーがタイル型ウィンドウマネージャを開発しました。


主なタイル型ウィンドウマネージャ



X Window System



X Window Systemでは、ウィンドウマネージャはシステム本体とは別のプログラムとして動作します。X自体はウィンドウ管理手法を規定しておらず、タイル型ウィンドウマネージャも選択肢の一つとして明示的に言及されています。

  • - RTL (1988年): シーメンスが開発した最初の自動配置/サイズ変更を採用したタイル型ウィンドウマネージャ。
  • - Cambridge Window Manager: IBMの学術情報システム部門が開発。
  • - larswmとIon (2000年): この頃に最初のバージョンがリリース。

X上のタイル型ウィンドウマネージャ一覧



  • - awesome: C言語で書かれ、Luaで拡張可能なdwm派生のウィンドウマネージャ。XCBへの移植やD-Bus、pangoなどをサポート。
  • - Bluetile: xmonadをベースにしている。
  • - dwm: ステータスバーのアイコンをクリックすることでタイルレイアウトを変更できる。パッチを適用することで、フィボナッチ配置やグリッド配置などのカスタマイズが可能。キーボード操作ユーティリティdmenuも利用可能。
  • - i3: wmii派生のウィンドウマネージャで、活発に開発が進んでいる。フロート型ウィンドウ管理もサポートし、設定ファイルによるカスタマイズが可能。
  • - Ion: タイル型とタブ型インターフェースを組み合わせたもの。
  • - KWin: KDEのウィンドウマネージャで、KDE SC 4.5からタイル型機能をサポート。
  • - Larswm: 動的タイル型ウィンドウマネージャ。画面を左右のトラックに分割。
  • - Matchbox: 組み込みシステムや携帯機器向けのタイル型ウィンドウマネージャ。
  • - Ratpoison: キーボード駆動型のGNU Screenを発展させたもの。
  • - Scrotwm: 最小限の機能をサポートしたタイル型ウィンドウマネージャ。
  • - WMFS:
  • - wmii: dwmの作者が並行して開発したもの。
  • - xmonad: Haskellで書かれた拡張可能なウィンドウマネージャ。

Microsoft Windows



Microsoft Windowsは、ウィンドウマネージャが独立したシステムを採用していません。Windows 95以降は、デフォルトでスタック型ウィンドウマネージャですが、オプションでタイル型のように動作させることも可能です。Windows 8では、Metro UIにタイル型インターフェースが採用されています。

Windows 1.0はタイル型ウィンドウマネージャを採用していましたが、次のバージョンからはスタック型がデフォルトとなりました。

サードパーティーによるアドオン


Windowsにタイル型機能を追加するサードパーティー製プログラムが多数存在します。

  • - WindowSizer: ウィンドウをタイル型表示する（シェアウェア）。
  • - WinSplit: キーボードショートカットによるタイル型表示（フリーウェア）。
  • - HashTWM: 自動タイル型表示のタイル型ウィンドウマネージャ（MIT/X11ライセンス）。
  • - GridMove: ホットキーによるタイル型配置とマルチモニターサポート（フリーウェア/ドネーションウェア）。
  • - bug.n: dwmの機能を再現したもの（GPL）。
  • - Windawesome: C#で書かれた高度なカスタマイズ可能なウィンドウマネージャ（GPL v2）。
  • - MaxTo: ユーザー定義の格子に沿ってウィンドウを配置（シェアウェア）。
  • - Twinsplay: キーボードショートカットによるタイル型表示（商用/試用版あり）。
  • - Plumb: ユーザーの作業に応じて自動的にウィンドウを並び替える（フリーウェア）。
  • - Divvy: 商用。
  • - Python-windows-tiler: 非常に基本的なタイル型（LGPL）。

その他




タイル型アプリケーション



タイル型ウィンドウマネージャでなくても、アプリケーションがタイル型表示を採用することは一般的です。例えば、電子メールクライアント、統合開発環境（IDE）、Webブラウザのサイドバー、Microsoft Officeのコンテキストヘルプなどが挙げられます。また、HTMLフレームはマークアップ言語によるタイル型表示の一例と見なすこともできます。タイル型ウィンドウマネージャは、これらの有用性をデスクトップ全体に拡張するものです。タブインタフェースはタイル型表示と相性が良く、同じ機能のウィンドウを複数表示するのを防ぎます。

まとめ



タイル型ウィンドウマネージャは、画面空間を効率的に利用し、生産性を向上させるための強力なツールです。多くの実装が存在し、それぞれの特徴やカスタマイズ性を活かすことで、ユーザーの作業環境を最適化できます。


参考 - Comparison of Tiling Window Managers - Arch Linux Wiki

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