ダイハツ・ストーリア

ダイハツ・ストーリア：小型車の歴史に新たな1ページを刻んだモデル

ダイハツ・ストーリアは、ダイハツ工業が1998年から2004年まで生産・販売していた小型ハッチバック車です。シャレードの後継車種として開発され、その車体サイズや排気量、基本設計などはシャレードを踏襲した事実上の後継モデルと言えるでしょう。

1998年9月からは、トヨタ自動車へOEM供給が開始され、姉妹車種としてトヨタ・デュエットが販売されました。販売力においてはデュエットの方がストーリアを上回っており、販売台数もデュエットの方が多かったという興味深い事実があります。

ストーリアのグレード展開は多様で、ビジネスユースを想定した「セレクト」から、スポーティな走りを目指した「ツーリング」まで、幅広いニーズに対応していました。エンジンは1000ccと1300ccが用意され、最高出力は60psから120psまでと、グレードによって大きく異なっていました。特に注目すべきは、713ccのターボエンジンを搭載した「X4」です。これは後述しますが、モータースポーツ用途も意識したモデルでした。トヨタ向けに販売されたこともあり、当時のダイハツ車としては珍しく、一部グレードではメーター内にデジタルクロックが標準装備されていました。

さらに、ストーリアには魅力的な特別仕様車が設定されていました。「ミラノ」はファニールックなデザインで、若者層を中心に人気を集め、「クラシック」は落ち着いた雰囲気を醸し出し、落ち着いた大人のユーザーをターゲットとしていました。また、インターネット限定で販売された超限定車「Super Sound Edition」は、アルファオーディオとの共同開発による高性能オーディオシステムを搭載し、サイドエアバッグやスタビリティコントロールシステムなどを標準装備した豪華仕様でした。車両本体価格は200万円と、ストーリアシリーズ中最高額でした。

車名の「ストーリア」は、イタリア語で「歴史」を意味します。この名前には、「小型車の新しい歴史が始まる」というダイハツ工業の強い意気込みが込められていました。日本国外では「シリオン」の名で、欧州や豪州を中心に世界各国で販売されました。

ストーリアのモデル変遷とマイナーチェンジ

ストーリアは、発売後も改良が重ねられました。

1997年10月: 第32回東京モーターショーにてコンセプトモデル「NCX」として参考出品
1998年2月: 販売開始。当初は1000ccエンジンのみ
1998年4月: 高性能モデル「X4」を追加
2000年5月: 1回目のマイナーチェンジ。1300ccエンジンを追加、1000ccエンジンは改良版に換装。フロントサスペンションも改良されました。
2001年12月: 2回目のマイナーチェンジ。エクステリアデザインの大幅変更、メーター類の液晶化などを行いました。
2004年5月: 生産終了
* 2004年6月: トヨタ・ブーン/パッソの発売に伴い、販売を完全に終了

ストーリアX4：競技用ベース車としての活躍

ストーリアの中でも特に注目すべきは、競技用ベース車として開発された「X4」です。1000cc以下のラリー参戦を目的として開発され、エアコンやパワーウインドウなどの快適装備は省略されましたが、後にディーラーオプションとしてエアコンが設定されました。ボディカラーはホワイトのみという潔さでした。

X4は、通常のストーリアとは異なり、軽自動車のミラアバンツァートやミラX4に搭載されていたエンジンをベースに排気量を713ccに拡大した、JB-JL型を改良したJC-DET型エンジンを搭載していました。この713ccという排気量は、当時のラリー選手権のレギュレーションに合わせたものでした。

このエンジンは、713ccという小排気量ながら、120psという驚異的な出力を発揮しました。さらに、タービンのブースト圧を調整することで、出力をさらに向上させることも可能でしたが、エンジンや補機類の耐久性には十分な配慮が必要でした。

ストーリアX4は、通常のストーリアのカタログには掲載されておらず、専用のリーフレットが用意されていました。累計登録台数は約800台と、希少なモデルでした。2006年には、ブーンX4へとその系譜を受け継ぎました。ブーンX4が登場した後も、ストーリアX4はプライベーターの手によって、地方戦を中心に活躍を続けました。

ストーリアと関連車種

ストーリアには、トヨタ・デュエット（姉妹車）、ダイハツ・シリオン（海外仕様）、ダイハツ・コンソルテ（先々代車）、ダイハツ・シャレード（先代車）、ダイハツ・YRV（派生車）、ダイハツ・ブーン（後継車）、トヨタ・パッソ、ダイハツ・ミラジーノ（部品共有）など、多くの関連車種が存在します。

ダイハツ・ストーリアは、その多様なグレード展開、モータースポーツへの貢献、そして小型車市場への影響など、様々な点において、日本の自動車史に大きな足跡を残したモデルと言えるでしょう。

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