ティルチラーパッリ包囲戦 (1743年)

ティルチラーパッリ包囲戦の概要

ティルチラーパッリ包囲戦は1743年の3月から8月にかけて行われ、ニザーム王国とカルナータカ太守連合軍とマラーター王国との間で繰り広げられた重要な戦闘です。この戦闘はインド南部における権力の移動や地域の政治的状況に大きな影響を与えました。ここでは、この戦闘の背景、経過、結果について詳しく見ていきます。

戦闘に至る背景

1742年10月、カルナータカ太守サフダル・アリー・ハーンは宮廷内の争いの末、ムルタザー・アリー・ハーンに暗殺されました。この事件は地域の権力構造に大きな変化をもたらしました。ニザーム王国がこの状況に介入し、1743年3月にアルコットを占領するとともに、サフダル・アリー・ハーンの息子であるサアーダトゥッラー・ハーン2世が即位しました。

一方、ティルチラーパッリは1741年の包囲戦以降、マラーター王国のムラーリー・ラーオによって制圧されており、地域の支配権がマラーターにありました。ニザーム王国とカルナータカ地方政権は勢力を強め、マラーターの支配からティルチラーパッリを奪還することを決定します。

包囲戦の展開

ニザーム王国およびカルナータカ地方政権からなる連合軍の大軍がティルチラーパッリを包囲しました。数は圧倒的であり、マラーター軍の戦力は1万人にも満たず、非常に不利な状況でした。包囲が続く中で連合軍は進軍し、マラーター軍は生き残りをかけた戦闘を余儀なくされました。

1743年8月29日、守将であるムラーリー・ラーオは降伏を余儀なくされ、ティルチラーパッリは連合軍の手に落ちました。この戦闘は流血を伴わない形で終了し、ニザーム王国とカルナータカ地方政権はティルチラーパッリを奪還しました。

包囲戦の結果

ティルチラーパッリがニザーム王国の支配下に入った後、ニザーム側の兵士たちは本国に撤退し、ホージャ・アブドゥッラー・ハーンが新たに代官として任命されました。しかし、1744年7月に太守サアーダトゥッラー・ハーン2世が殺害され、彼の後見役であったアンワールッディーン・ハーンが新たに太守に任命されました。

同年には英仏の間で第一次カーナティック戦争が勃発し、さらなる混乱を招きました。1746年12月以降、マラーター王国の宰相バーラージー・バージー・ラーオの従兄弟であるサダーシヴ・ラーオ・バーウが南インドに遠征し、ティルチラーパッリ周辺の地域を取り戻そうとしましたが、ニザームの息子ナーシル・ジャングとの間で衝突が起き、逆に彼が敗戦し追い返される結果となりました。

最終的に、この地域におけるマラーター勢力はのちにイギリスとフランスの両国により一掃されることになります。ティルチラーパッリ包囲戦は、南インドの政治的情勢を変える大きな一因となりました。

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