デクサメノス

デクサメノス

デクサメノス（古希: Δεξάμενος, Dexamenos）は、古代ギリシア神話に語られる人物で、アカイア地方の都市オーレノスを統治した王です。その名前は「迎える人」という意味を持っています。彼は娘たちに恵まれ、ムネーシマケー、ヒッポリュテー、そして双子の姉妹テーライポネーとテーロニケーが知られています。また、一部の伝承では、英雄ヘーラクレースの妻となるデーイアネイラも彼の娘であったとされています。

神話におけるデクサメノス

デクサメノスに関する最も著名な神話は、彼の娘の一人に向けられたケンタウロス、エウリュティオーンからの求婚にまつわるものです。しかし、この求婚を受けた娘が誰であったかについては、古代の文献によって異なる記述が見られます。

詩人アポロドーロスの伝えるところによれば、エウリュティオーンが結婚を迫ったのはデクサメノスの娘ムネーシマケーでした。エウリュティオーンの乱暴な性格を恐れたデクサメノスは、不承不承ながらも娘と彼との結婚を承諾せざるを得ない状況に追い込まれます。しかし、デクサメノスの窮状を知り、彼らを救ったのは他ならぬ大英雄ヘーラクレースでした。ちょうど5番目の難業としてエーリス王アウゲイアースの広大な家畜小屋の掃除を終えたヘーラクレースは、その旅の途中でオーレノスを訪れました。そこでデクサメノスが困難な状況にあることを知ると、王はヘーラクレースに助けを求めます。ヘーラクレースは、ムネーシマケーとの結婚式のために現れたエウリュティオーンを討ち取り、デクサメノスと娘を救いました。

これに対し、神話集を編纂したヒュギーヌスの記述では、エウリュティオーンが求婚したのはデーイアネイラであるとされています。デクサメノスはエウリュティオーンとの結婚を一度は認めますが、デーイアネイラは既にヘーラクレースと婚約していました。そのため、ヘーラクレースは、エウリュティオーンが彼の仲間のケンタウロスたちと共にデーイアネイラとの結婚式に乗り込んできたところで彼らを迎撃し、エウリュティオーンを殺害したと伝えられています。ただし、一般的に広く知られている伝承では、デーイアネイラはカリュドーンの王オイネウスの娘とされています。

また、歴史家シケリアのディオドーロスの記すところでは、デクサメノスの娘ヒッポリュテーがアルカスの息子アザーンと結婚した際、その結婚式に現れたエウリュティオーンが花嫁を奪おうと企てました。しかし、ここでもヘーラクレースが現れ、エウリュティオーンを退治したとされています。このように、デクサメノスの娘への求婚者としてのエウリュティオーンと、それを阻止するヘーラクレースという構図は共通していますが、関係する娘の名前や状況には違いが見られます。

デクサメノスの娘たちは、後の時代の重要な英雄たちの母親となったことでも知られています。ムネーシマケーはエーリス地方の王の一人であるアマリュンケウスと結ばれ、トロイア戦争に参加したディオーレースの母となりました。また、双子の姉妹であるテーライポネーとテーロニケーは、同じくエーリス地方の王であり、クテアトスとエウリュトスという双生児の英雄として名高いモリオネ族と結婚しました。テーライポネーはタルピオスの、テーロニケーはアムピマコスの母となり、彼らもまたトロイア戦争において名声を博しました。

その他の同名人物

神話や歴史においては、デクサメノスという名前を持つ他の人物も存在します。一人は、ヘーラクレースの子で、エーペイロス地方の都市アムブラキアの創建者とされる王アムブラクスの父として言及される人物です。もう一人は、メソラスとポルバースの娘アムブラキアーの子として伝えられています。

もう一度検索