トヨタ・コンフォート

概要

コンフォートは、トヨタ自動車が製造していたセダン型の商用車であり、タクシーや教習車としての利用を主眼に置いて開発されました。初代モデルは1995年 12月に登場し、2018年まで長きにわたり生産されました。2代目モデルは、香港市場向けにワゴン型商用車として、ジャパンタクシーをベースに2018年から販売されています。

初代 XS10型（1995年 - 2018年）

1995年 12月、トヨタは小型タクシー専用車としてコンフォートを発売しました。同時に発表された姉妹車のクラウンコンフォートは、ホイールベースを延長し、中型タクシーの基準に合わせた設計となっていました。

競合車であった日産・クルーが2009年に生産を終了したため、コンフォートは国内メーカー唯一の小型タクシー専用車となりました。さらに、2014年には日産・セドリック営業車も生産を終了したため、2017年5月に販売を終了するまで、国内で新車購入可能なセダンタイプのタクシー専用車はコンフォートとその姉妹車のみとなりました。

コンフォートは、X80系マークIIセダンをベースとしており、サスペンションもマークIIの下位グレードと共通のものが採用されました。型式はXS11(Y)/TSS11(Y)で、搭載エンジンは3Y-PE/4S-FE/2L-TE/1TR-FPE。マイナーチェンジ後のXS13Y/TSS13Yでは、3S-FE/1TR-FEが搭載されました。教習車には型式にYが付与されました。

FR方式を採用し、後席の広さやラゲージスペースを確保。無線機や料金メーターなどのタクシー業務用機器を取り付けるスペースも設けられ、タクシーとしての機能に特化した設計となっていました。トヨタが最初からタクシー専用に開発した車種としては、1955年のトヨペット・マスター以来、約40年ぶりとなります。

日産・クルーとは異なり、Bピラーの位置は左右対称であり、ドアの大きさも左右で同じでした。バンパーは、修理性を考慮して前後とも上下分割式となっていました。

小型タクシー専用車として開発されましたが、ガソリンエンジン、LPGエンジンともに、タクシー、教習車を問わず、一般の個人客でもディーラーで購入が可能でした。

約20年にわたり生産されましたが、歩行者保護に関する安全基準の厳格化により、生産を終了することとなりました。

トランスミッション

トランスミッションは、タクシー仕様と教習車仕様ともに5速MTと4速ATが設定されました。コンフォート、クラウンコンフォート、クラウンセダンシリーズの中で、ガソリンエンジンとMTの組み合わせが存在するのは教習車のみでした。

グレード

タクシー仕様には、法人タクシー向けのスタンダード、スタンダードデラックスパッケージ、個人タクシー向けのSG、SGエクストラパッケージの4種類がありました。教習車仕様はデラックスのみでした。SGエクストラパッケージは、2001年にSGに統合される形で廃止されました。

年表

1995年 12月：タクシー仕様発売開始。2,000cc LPGエンジンと2,400ccディーゼルターボエンジンを搭載。
1996年4月：教習車仕様発売開始。上記2機種に加え、1,800ccガソリンエンジンを設定。
1997年1月：一部改良。エアバッグ装着車のステアリングホイール形状を変更。SGエクストラパッケージを追加。
1999年 1月：ディーゼル車を除き、平成10年アイドリング規制適合。SG系に15インチスチールホイールと195/65R15タイヤをオプション設定。
1999年8月：ディーゼルエンジン2L-TE廃止。
2000年 1月：衝突安全ボディGOA採用。タクシー仕様にグッドケアセレクションをオプション設定。エアバッグ装着車のステアリングホイールデザインを変更。
2001年8月：教習車のガソリンエンジンを2,000ccの3S-FEに変更。ガソリン、LPG車は平成12年排出ガス25%減で良-低排出ガス認定。エアコンを標準装備。オドメーターとトリップメーターを液晶化。ドアミラー形状を変更。SGエクストラパッケージを廃止。AT車にアイドリングストップ機能オプション設定。
2002年10月：一部改良。ABSと運転席エアバッグを標準装備（教習車は助手席も）。
2003年6月〜11月：GT-Zスーパーチャージャー限定受注生産。
2004年6月：一部改良。LPG車が平成17年排出ガス規制適合。サイドターンシグナル、LEDハイマウントストップランプ、UVカットガラスを装備。フォグランプをクリアレンズに変更。教習車のシートをフルファブリックに変更。
2007年10月：一部改良。教習車のガソリンエンジンを1TR-FEに変更し、U-LEV認定を取得。
2008年8月：マイナーチェンジ。LPG車用エンジンをガス液体噴射方式に変更。AT車を電子制御化。タイヤサイズを15インチに変更。
2010年11月：一部改良。LPG燃料冷却装置を設定。1TR-FPEエンジンの最高出力をダウン。シガーライターを電源ソケットに変更。
2012年7月：一部改良。全車にプラズマクラスターを採用。リアシートに3点式シートベルトとISOFIX対応チャイルドシート固定バーを標準装備。ヘッドレストを大型化。
2013年10月：一部改良。VSC&TRCを標準装備。スピードメーターとタコメーターにメーター照度コントロール機能を追加。キーリマインダー音をブザー音に変更。
2017年5月：受注受付終了。ホームページへの掲載を終了。2018年 1月まで生産。

コンフォートGT-Zスーパーチャージャー

コンフォートGT-Zスーパーチャージャーは、トヨタテクノクラフトがコンフォート教習車をベースに製作したコンプリートカーです。2002年に先行試作車が製造され、2003年から2004年にかけて市販車が59台製造されました。

2003年の東京オートサロンで「チューニングカー部門優秀賞」を受賞。同年6月から11月にかけて受注販売されました。

3S-FE型エンジンにスーパーチャージャーを搭載し、プレミアムガソリンを使用することで、最高出力160PS、トルク22.5kgmを実現しました。これはノーマル比で26%のパワーアップです。車両重量は1,300kgで、パワーウエイトレシオは8.13kg/PSです。

専用ブレーキパッド、フロントスポイラー、リアスポイラー、専用マフラーなどを装備。RSワタナベ製アルミホイールとブリヂストン製タイヤが標準装備でした。

メーカーオプションとして、3連メーター、強化クラッチ、LSD、セミバケットシートなどが用意されていました。

ハザードスイッチはウインカーレバー先端に装備されました。

D1仕様

2004年、チューニングショップOKUYAMAによって、コンフォートをベースにしたドリフト仕様車が登場しました。エンジンを3S-GTEに換装し、エアロパーツやガルウィングドアを装着。その後、D1グランプリに参戦。オーバーフェンダーを装着し、ガルウィングを撤去。2006年のD1グランプリ国内ラウンドでは追走ベスト16に進出しました。

2代目 NTP10R型（2018年- ）

2代目コンフォートは、トヨタ・ジャパンタクシーの香港・マカオ向け仕様として、名称が継承されました。外装はジャパンタクシーの「和」グレード、内装は「匠」グレードに準拠しています。エンブレムは「JPN TAXI」から「COMFORT」に変更され、ステアリングホイールの加飾、ドアハンドル、フェンダーミラー、リアゲートフィニッシャーなど細部が異なっています。15インチアルミホイールは標準装備ですが、Bi-BEAM LEDヘッドライトはオプションでも設定されません。

フェンダーミラーは、ジャパンタクシーと同様に採用されています。

2024年3月現在、車名は「TAXI」に変更されており、「コンフォート」の車名は使用されていません。

取扱ディーラー

初代コンフォートは、トヨペット店で取り扱われていました。これは、T140系コロナセダンやX80系マークIIセダンの後継車種としての名残です。大阪地区では2006年8月7日まで、旧・大阪トヨタ（現・大阪トヨペット）でも取り扱われていました。東京地区では、教習車仕様に限り東京トヨタ・東京トヨペットで併売されていました。

2004年4月以前は、教習車仕様に限りネッツ店やビスタ店でも取り扱われていましたが、両店の統合に伴い、ネッツ店での教習車仕様の取り扱いは廃止されました。

脚注

注釈

出典

外部リンク

TOYOTA TAXI 香港トヨタ（クラウンモータース）公式WEBサイト
コンフォートGT-Z公式アーカイブ
* コンフォートGT-Zファンサイト

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