トランスアエロ航空

トランスアエロ航空：ロシアの航空史を彩った航空会社

トランスアエロ航空（Transaero Airlines）は、かつてロシアに存在した航空会社です。1990年代初頭にアエロフロートからのリース機材でチャーター便の運航を開始し、その後、ロシアで初めてアエロフロート以外の航空会社として定期便の運航を認められました。積極的な路線展開と機材更新を行い、国際線にも力を入れていましたが、2015年に経営破綻し、その歴史に幕を閉じました。

歴史

1990年12月28日に株式会社として設立されたトランスアエロ航空は、アエロフロートからのリース機材でチャーター便のみを運航していました。1991年11月5日には、モスクワからテルアビブへの初のチャーター便を運航しました。

1992年7月にはイリューシンIl-86型機を受領し、1993年1月にはモスクワ～ノリリスク間の定期路線をアエロフロート以外で初めて開設しました。同年にはキエフ、ソチ、アルマトイへの路線も開設し、1993年11月には初のCIS（独立国家共同体）域外への国際線として、モスクワ～テルアビブ線を就航させました。

1995年にはロシアで初めてマイレージサービスを導入し、1997年にはFAA（アメリカ連邦航空局）の整備認証を取得しました。1998年12月には、モスクワ～ロンドン線を週1便で開設しました。

2005年7月11日には、ロシアで初めてボーイング747型機をモスクワ～テルアビブ線に導入すると発表しました。この機材は、元ヴァージン・アトランティック航空のボーイング747-200型機をリースしたものでした。同年5月にはモスクワ～モントリオール線を開設し、カナダへの初乗り入れを果たしました。2006年にはモスクワ～トロント間の直行便を開設しています。

2007年6月には日露航空交渉により、東京/成田への週2便の就航が認められ、2008年4月24日より、サンクトペテルブルク～成田空港線を週2便で就航しました。しかし、同年10月28日より運休となり、2010年5月27日から夏季限定で直行便が再開されましたが、再び運休となりました。2012年6月21日から週1便で運航を再開し、2013年5月25日からはモスクワ/ドモジェドヴォ～東京/成田線に週1便で就航を開始しました。

2010年には待望のアメリカ路線として、ニューヨークへの乗り入れを開始しました。2015年5月には新塗装を導入し、初号機となるボーイング737-800型機がボーイングから引き渡されました。

2015年9月1日、トランスアエロ航空はロシア政府の提案により、アエロフロート・[[ロシア航空]]に売却されることが発表されました。アエロフロート航空も9月3日に、トランスアエロ航空の株式75%を1ルーブルで取得すると発表しました。ロシア連邦政府は、民間航空分野でロシア発の世界最大の航空会社を作る目標を設定し、アエロフロート・グループによるトランスアエロ航空の買収を承認しました。アエロフロートはこの買収手続きを1年ほどで行う方針で、トランスアエロ航空のリストラを進めるための検討グループも設置しました。9月28日には、モスクワの拠点をドモジェドヴォ空港からヴヌーコヴォ国際空港へ移すと発表しました。

しかし、2015年10月2日、トランスアエロ航空は航空券の販売を停止し、同年12月15日まではアエロフロート航空の支援を受けつつ運航を続けると発表しました。期限までにトランスアエロ航空の株主側が提案を出さなかったため、アエロフロート航空は買収交渉の期限を延長しないことを明らかにしました。

これに伴い、トランスアエロ航空は経営破綻し、10月25日にロシア当局による許可停止を受けてすべての運航を停止しました。負債総額は約2,500億ルーブルに達しました。主要機材、路線、人材はアエロフロートの子会社であるロシア航空に移管されました。

保有機材

トランスアエロ航空は、1993年4月にボーイング737-200型機を導入し、ロシアで初めて西側の機材を導入した航空会社となりました。その後、ボーイング757-200、737-700、767-200、737-300、767-300、737-400、747-200、ツポレフTu-214-300、747-400など、多種多様な機材を導入しましたが、そのほとんどが中古のリース機材でした。このような機材構成とロシアの国情もあって、地上待機の機体も多く、実際にどれだけの機体が稼働していたかは把握が難しい状況でした。

2014年1月時点では、以下の機材を所有していました。

ボーイング777-300
ボーイング777-200
ボーイング767-300
ボーイング767-200
ボーイング747-400
ボーイング737-800
ボーイング737-700
ツポレフTu-214-300

発注していた機材としては、エアバスA320neo、A321-200、A330ceo、A330neo、A380-800、ボーイング747-8IC、787などがありましたが、経営破綻に伴い導入されることはありませんでした。また、ロシア機材としてスホーイSSJ100やイルクートMS-21の導入も計画されていました。

以前保有していた機材には、エアバスA310、ボーイング737-200、747-200、747-300、757-200、マクダネル・ダグラスDC-10などがありました。

定期便就航地

国内線

アナディリ - ウゴリヌイ空港
イルクーツク - イルクーツク国際空港
モスクワ - ドモジェドヴォ空港（ハブ空港）
ノヴォシビルスク - トルマチョーヴォ空港
サンクトペテルブルク - プルコヴォ空港
エカテリンブルク - コルツォヴォ国際空港
ペトロパブロフスク・カムチャツキー - エリゾヴォ空港
ユジノサハリンスク - ユジノサハリンスク空港

国際線（主要就航地）

アジア

ドバイ - ドバイ国際空港
アブダビ - アブダビ国際空港
アルマトイ - アルマトイ国際空港
クアラルンプール - クアラルンプール国際空港
広州 - 広州白雲国際空港
上海 - 上海浦東国際空港
シンガポール - シンガポール・チャンギ国際空港
台北 - 台湾桃園国際空港
タシュケント - タシュケント国際空港
テルアビブ - ベン・グリオン国際空港
デンパサール - ングラライ国際空港
バンコク - スワンナプーム国際空港
東京 - 成田国際空港

アメリカ大陸

トロント - トロント・ピアソン国際空港
ニューヨーク - ジョン・F・ケネディ国際空港
マイアミ - マイアミ国際空港
ロサンゼルス - ロサンゼルス国際空港
アンカレジ - アンカレジ国際空港

ヨーロッパ

ウィーン - シュベヒャート空港
バルセロナ - エル・プラット国際空港
フランクフルト - フランクフルト空港
ベルリン - テーゲル国際空港
ロンドン - ヒースロー空港

外部リンク

トランスアエロ航空(ロシア語)
トランスアエロ航空 - インターネットアーカイブ
トランスアエロ航空の機材(英語)
* トランスアエロ航空の機体の写真(英語)

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