トロピカル号 (大阪 - 鹿児島線)

近鉄バス「トロピカル号」：大阪 - 鹿児島を結んだ夜行高速バスの終焉

「トロピカル号」は、かつて近鉄バスが大阪市と鹿児島市を結んでいた夜行高速バスです。2016年9月30日の鹿児島発便をもって運行を休止し、27年以上の歴史に幕を閉じました。

概要

かつて大阪と鹿児島を結ぶ夜行高速バス路線は、複数の事業者によって競合していました。阪急バス（のちに阪急観光バスに移管）と南国交通による「さつま号」、南海バス・林田バスによる「サザンクロス号」などが運行されていましたが、1994年に「サザンクロス号」がトロピカル号に統合され、4社共同運行となりました。

その後、「さつま号」も2012年9月末で運行休止（翌年正式廃止）となり、トロピカル号の運行休止によって、大阪と鹿児島を結ぶ夜行高速バスは全廃となりました。

路線の廃止には、格安航空会社（LCC）の台頭や、2011年の九州新幹線全線開業が大きく影響しました。特に新幹線は、新大阪駅から乗り換えなしで鹿児島までアクセスできるため、夜行バスの需要を大きく奪いました。

運行データ（休止時点）

運行頻度：1日1往復
所要時間：下り12時間23分、上り12時間26分
運行会社：近鉄バス（八尾営業所が担当）
鹿児島側の運行支援：鹿児島交通鹿児島支社

沿革

1990年3月22日：近畿日本鉄道（現：近鉄バス）と鹿児島交通の共同運行で運行開始
1994年9月：「サザンクロス号」統合により4社共同運行
1996年3月：OCAT（大阪シティエアターミナル）乗り入れ開始
1997年：山陽自動車道経由に変更
1999年3月：南海バス・林田バスが撤退
2001年3月30日：USJ（ユニバーサル・スタジオ・ジャパン）乗り入れ開始（大阪行きのみ）、上本町への停車を廃止
2004年4月：鹿児島交通の運行が南九州バスネットワークに移管
2004年9月：梅田（大阪駅前）乗り入れ開始、南海なんば高速バスターミナル・USJ（大阪行き）・上本町バスセンター（鹿児島行き）への乗り入れを廃止
2006年8月：南九州バスネットワークが撤退し、近鉄バスの単独運行に
2009年4月1日：いづろ高速バスセンター廃止に伴い、終点を高速船ターミナルに移転
2011年5月12日：三宮バスターミナル（神戸市）経由に変更
2012年1月10日：「天文館」と「鹿児島中央駅」の停車順序を変更、ダイヤ改正
2014年5月15日：運賃改定
2016年9月29日：大阪発便、翌30日鹿児島発便をもって運行休止

運行経路・停車停留所

太字は停車停留所。近畿地区内のみ、鹿児島県内のみの利用は不可。

あべの橋（JR天王寺駅） - 近鉄なんば駅西口（OCAT） - 大阪駅前（地下鉄東梅田駅） - 神戸三宮（ミント神戸） - (各高速道路) - 鹿児島空港南 - 鹿児島北IC - (国道3号) - 鹿児島中央駅 - 天文館 - 鹿児島本港（高速船ターミナル）

休憩場所：鹿児島行きは福石PA、大阪行きは宮原SA

使用車両・車内設備

日野・ニューセレガ（27人乗りハイデッカー車）
続行便：日野・セレガR（28人乗りスーパーハイデッカー車）

車内設備：

3列独立シート
トイレ
紙パック茶のサービス
コンセント
プラズマクラスターエアコン
座席仕切カーテン
続行車では4列シートの観光タイプ車が使用される場合もあり（トイレなし）

関連路線

さつま号: 阪急観光バスと南国交通が運行していた大阪 - 鹿児島間の夜行高速バス（2013年廃止）。トロピカル号の競合路線でした。
トワイライト神戸号: 尼崎・神戸 - 鹿児島を結んでいた夜行高速バス（九州産交バス運行、2010年廃止）。
トロピカル号 (大分 - 鹿児島線): 大分バスが運行していた大分 - 鹿児島間の夜行高速バス（2018年廃止）。南九州バスネットワークとの共同運行の名残で同名でした。

脚注

詳細な情報や過去の運行状況については、関連サイトやニュース記事をご参照ください。

免責事項：

本記事は、公開時点での情報に基づいています。最新の情報は、各バス会社の公式サイト等でご確認ください。また、外部リンク先の情報については、その内容を保証するものではありません。

もう一度検索