トワイライト神戸号

トワイライト神戸号とは

トワイライト神戸号は、かつて鹿児島県と熊本県から兵庫県を結んでいた夜行高速バスです。この路線は、兵庫県尼崎市と鹿児島県鹿児島市を結んでいましたが、全便が熊本県の事業者である九州産交バスによって運行されていました。2010年 11月30日をもって運行を休止し、その歴史に幕を閉じました。

運行の変遷

運行開始当初は、九州産業交通（当時）だけでなく、鹿児島交通（のちの南九州バスネットワーク）や阪神電気鉄道（当時）も共同で運行に関わっていました。この時期には、各社がそれぞれ異なる愛称で運行しており、九州産交は「トワイライト神戸」、鹿児島交通は「トロピカルライナー」、阪神電鉄は「サラダエクスプレス」という名称を使っていました。なお、九州産交以外の2社は、自社が運行する他の路線と共通の愛称を使用していたという特徴がありました。

また、トワイライト神戸号の運行開始と同じ日に、熊本電気鉄道と山陽電気鉄道（当時）も熊本 - 神戸間の夜行高速バスを運行していました。これらのバスは「ユウヅル号」と「レッツ号」という名前で知られています。本記事では、これらのバスについても記述します。

トワイライト神戸号の運行休止により、一時的に熊本 - 神戸間を結ぶ夜行バスはなくなりました。しかし、2011年4月1日からサンライズ号が神戸に乗り入れることで、再び熊本 - 神戸間を結ぶ夜行バスが復活しました。1990年のユウヅル号とのダブルトラック運行開始から約20年間、この路線は多くの人々に利用されました。

歴史

1990年 6月8日: 阪神電気鉄道と九州産業交通の共同運行により、尼崎・神戸～熊本線「トワイライト神戸号」と、熊本電気鉄道と山陽電気鉄道の共同運行による神戸・姫路～熊本線「ユウヅル号・レッツ号」が開業しました。
1990年 9月14日: 阪神電気鉄道と鹿児島交通の共同運行により、尼崎・神戸～鹿児島線が開業しました。
1992年 5月29日: 尼崎・神戸～熊本線の熊本側の発着地が八代まで延伸されました。これにより、熊本交通センターから国道3号線を経由して八代地区の5つの停留所に停車するようになりました。
1994年 1[[2月1日]]: 尼崎・神戸～熊本線と尼崎・神戸～鹿児島線が統合され、尼崎・神戸～熊本・鹿児島の路線となりました。この際、阪神電鉄、九州産交、鹿児島交通の3社による共同運行となり、熊本ICを経由するようになりました。また、八代地区の停留所は八代ICに統合されました。
1995年 7月27日: 九州自動車道の人吉 - えびの間が開通したため、人吉市内の停車箇所が「人吉IC」に変更され、人吉クラフトパークでの乗降扱いが廃止されました。
1997年3月31日: 熊本電気鉄道と山陽電気鉄道が運行していた神戸・姫路～熊本線（ユウヅル号・レッツ号）の運行が休止されました。翌年3月末には正式に廃止されました。
1997年11月1日: 阪神電鉄が運行から撤退し、予約・発券業務のみを行うようになりました。この後は、九州産交と鹿児島交通の2社による運行となりました。
2004年 4月1日: いわさきコーポレーション担当分が、同社から分社した南九州バスネットワークへ移管されました。
2006年 9月1日: 南九州バスネットワークの会社解散に伴い、九州産交バス1社による運行となりました。鹿児島の発券業務は林田バスが引き継ぎました。
2008年 2月1日: 林田バスの会社清算に伴い、鹿児島の発券業務担当がいわさきバスネットワークに引き継がれました。
2009年 4月1日: 鹿児島側の発着場所が鹿児島本港（高速船ターミナル）に変更されました。いづろ[[高速バスセンター]]での発着は前日便をもって廃止されました。
2010年 10月1日: 利用客の減少や航空路線との競合を理由に、2010年 11月30日をもって運行休止が発表されました。
2010年 11月30日: 同日出発便をもって運行が終了し、翌1[[2月1日]]より運行が休止されました。関西と熊本県南部間の利便性低下を防ぐため、サンライズ号となんぷう号との間で乗継割引が実施されました。
2011年4月1日: サンライズ号が三宮バスターミナル（ミント神戸）に乗り入れを開始しました。九州産交バスは、これによりかつてのトワイライト神戸号の利用者に対応できるとしています。
2011年5月12日: 大阪 - 鹿児島を結ぶトロピカル号が三宮バスターミナルへ乗り入れました。これにより、神戸 - 鹿児島間の需要もカバーされることになりました。
2016年 9月30日: 近鉄バスが運行していたトロピカル号が休止し、神戸 - 鹿児島間を結ぶ夜行高速バスは事実上消滅しました。

運行詳細（運行休止前）

運行会社: 九州産交バス（熊本営業所）
運行経路: 阪神尼崎 - 阪神甲子園 - 神戸三宮 - （阪神高速道路・中国自動車道・山陽自動車道・関門橋・九州自動車道） - 植木IC - 武蔵ヶ丘 - 熊本IC - 松の本 - （国道57号東バイパス） - 熊本県庁前 - 熊本交通センター - （国道445号浜線バイパス）- 御船IC - （九州自動車道） - 八代IC - 人吉IC - 鹿児島空港南 - 鹿児島IC - 天文館 - 鹿児島中央駅前 - 鹿児島本港（高速船ターミナル）

休憩: 神戸行きは九州道玉名PA、鹿児島行きは山陽道福石PAと九州道山江SAにて途中休憩していました。その他、車両点検や乗務員交代のため、PAやSAに停車することがありましたが、乗客は車外に出ることができませんでした。

乗務員交代: 九州産交バス1社運行体制となってからは、下り便（鹿児島行き）において、熊本交通センターで乗務員交代と業務引継ぎが行われていました。熊本 - 鹿児島間は、当日夜の上り便（神戸行き）を担当する乗務員が運行していました。また、1社運行体制以前や車両都合の際は、熊本 - 鹿児島線「きりしま号」の運用で車両の送り込みが行われていました。

使用車両: 日野・セレガ、三菱ふそう・エアロクイーン

車内設備: 3列独立シート、テレビ・ビデオ・ラジオ、トイレ、おしぼり、コーヒー・お茶、毛布、スリッパ

運行開始から2000年代初旬頃までには、マルチステレオ（音楽サービス）、車内公衆電話（九州産交便では車内公衆FAXも装備）、ジュースの無料サービスなどがありました。

ユウヅル号・レッツ号について

ユウヅル号とレッツ号は、1990年の高速バス開設ラッシュ時に、熊本電気鉄道が熊本～神戸線で運行を開始した夜行高速バスです。熊本電気鉄道にとっては初の高速バス路線であり、九州産業交通が大阪線（サンライズ号）を運行していたため、本州向けの夜間高速バスとしては2路線目となります。共同運行会社や運行ルートは異なり、九州産業交通は阪神電気鉄道と共同で熊本～神戸～甲子園～尼崎線を運行していましたが、熊本電気鉄道は山陽電気鉄道と共同で熊本～姫路～神戸線を運行していました。愛称は、熊本電気鉄道が「ユウヅル号」、山陽電気鉄道が同社の夜間高速バス共通の名称である「レッツ号」を使っていました。

運行開始当初は利用率も高かったものの、バブル崩壊により徐々に利用率が低下し、1台で運行する際は半分以上が空席になることもありました。1998年3月末日をもって廃止されました。

停車停留所

垂水駅 - 神戸三宮 - 学園都市駅 - 姫路駅（南口） - 植木IC - 武蔵ヶ丘 - 松の本 - 熊本県庁前 - 熊本交通センター

使用車両

熊本電気鉄道: いすゞ・スーパークルーザー（西工SD-Ⅰ（58MC））
山陽電気鉄道: いすゞ・スーパークルーザー（西工SD-Ⅰ（58MC）および西工ネオロイヤルSD-Ⅰ（92MC））

備考

この路線の廃止後、熊本電鉄バスは2007年 4月～9月末の期間限定で福岡 - 山鹿・菊池線を西日本鉄道・九州産交バスとの3社共同で運行しましたが、利用者が予想以上に少なかったため、正式運行には至らず、そのまま廃止となりました。それ以降、熊本電鉄バスは高速バスの運行を行っていません。