バズ・ソイヤー

「マッドドッグ」バズ・ソイヤー：狂犬の異名をとったレスラーの生涯

1959年生まれのブルース・アレン・ウォヤン、リングネーム「マッドドッグ」バズ・ソイヤーは、アメリカ合衆国のプロレスラーとして名を馳せました。フロリダ州セントピーターズバーグ出身の彼は、その獰猛なファイトスタイルから「狂犬」の異名を取り、観客を魅了しました。

ソイヤーのレスリングキャリアは、ディキシー・ホリンズ・ハイスクール時代から始まりました。レスリングだけでなく、アメリカンフットボールや陸上競技でも才能を発揮した彼は、1979年、テネシー州メンフィスのCWAでプロレスデビュー。その後、フロリダのCWF、NWA傘下の各地団体を転戦し、キャリアを着実に積み重ねていきました。

初期のキャリアでは、キング・カーティスやバグジー・マグローといったベテランレスラーとの対戦経験を通して、着実にスキルを磨いていきました。スカッシュマッチでジョブボーイを務めた経験は、後に彼のプロレスラーとしての基礎を築く上で大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

1980年には、アラバマのSECWでNWAサウスイースタンTV王座を獲得。同年にはノースカロライナのMACWでもマット・ボーンとのタッグでNWAミッドアトランティック・タッグ王座を獲得するなど、タイトル戦線で活躍を始めます。1981年には、実弟のブレット・ソイヤーとタッグを組み、PNWでNWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座を獲得しました。

キャリア初期はベビーフェイスとして活動していましたが、1982年以降はヒールに転向。ジョージア・チャンピオンシップ・レスリングでは、ポール・エラリング率いるリージョン・オブ・ドゥームに加入し、トミー・リッチとのNWAナショナル・ヘビー級王座を巡る抗争で注目を集めました。この頃には、スタン・ハンセンとのシングルマッチなど、数々の激闘を繰り広げています。

エラリングとの仲間割れを経て一時的にベビーフェイスに戻った後、1984年には再びヒールに転向。フロリダではケビン・サリバンとタッグを組み、ダスティ・ローデスやビリー・ジャックといった人気レスラーと抗争を繰り広げました。さらに、アンドレ・ザ・ジャイアントとも対戦するなど、その活躍の場は広がっていきました。

同年にはWWFにも参戦。S・D・ジョーンズを破ってTVデビューを果たし、ブライアン・ブレアーやトニー・ガレアといった強豪レスラーと対戦しましたが、短期間での離脱という結果に終わりました。WWF在籍中は、既にベテランとして活躍していたマッドドッグ・バションがいたため、「ブルドッグ」のニックネームで活動していました。

WWF離脱後は、1984年に全日本プロレスに初来日。ハーリー・レイスとタッグを組んでジャイアント馬場＆ジャンボ鶴田組と対戦しましたが、短期間の特別参加ということもあり、十分な活躍の機会を得ることはできませんでした。

1985年からは、MSWAおよびUWFで活躍。ジム・ドゥガン、ブッチ・リードといったレスラーと抗争を繰り広げ、団体名変更に伴い、UWF世界TV王座初代王者にも輝きました。ジョージアでの宿敵であったディック・マードックやマスクド・スーパースターとも共闘するなど、柔軟な対応を見せました。

1986年にはWCWAに進出。クリス・アダムスからTV王座、ブライアン・アディアスからテキサス・ヘビー級王座を奪取するなど、トップ戦線で活躍しました。マット・ボーンとのタッグではWCWA世界タッグ王座も獲得しています。ケビン・フォン・エリックやディンゴ・ウォリアーといった当時注目を集めていたレスラーとも対戦しました。

1987年には新日本プロレスに初参戦。弟のブレットと共に、アントニオ猪木＆坂口征二組や藤原喜明＆木戸修組といった日本のトップレスラーたちと対戦し、新日本プロレスの常連外国人選手となりました。ソビエト連邦のレッドブル軍団とはアマチュア時代のレスリングスタイルを活かした戦いを見せました。

1989年にはNWA（WCW）に主戦場を移し、ゲーリー・ハート率いるJ・テックス・コーポレーションに加入。テリー・ファンクやグレート・ムタといったメンバーと共に、フォー・ホースメンと抗争を展開しました。

WCW離脱後はインディー団体を転戦。1992年2月7日、ヘロインの過剰摂取により32歳でこの世を去りました。

その激しいファイトスタイルと数々のタイトル獲得、そして短い生涯は、多くのプロレスファンに記憶されています。2021年には、WWE殿堂のレガシー部門に迎えられました。彼の残した功績は、プロレス史に永遠に刻まれることでしょう。

得意技

パワースラム：ロープからの突進をクロスボディで迎撃しようとする相手を空中でキャッチし、投げつける独自のパワースラム
ダイビング・スプラッシュ
ダイビング・ヘッドバット
ベリー・トゥ・ベリー・スープレックス

獲得タイトル

NWAサウスイースタンTV王座
NWAミッドアトランティック・タッグ王座
NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座
NWAナショナル・ヘビー級王座
NWAナショナル・タッグ王座
WCWA TV王座
WCWAテキサス・ヘビー級王座
WCWA世界タッグ王座
UWF世界TV王座
WWE殿堂（レガシー部門）

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