パーミット (ポーパス級潜水艦)

アメリカ海軍潜水艦パーミット(USS Permit, SS-178)の生涯

概要

パーミット(USS Permit, SS-178)は、アメリカ海軍が建造したポーパス級潜水艦の一隻です。その艦名は、ノースカロライナ州からブラジルにかけての海域に生息するアジ科コバンアジ属の一種であるパーミット（学名：Trachinotus falcatus）に由来します。特筆すべきは、本艦の退役から7年後、パーミット級原子力潜水艦の2番艦として、2代目パーミット(SSN-594)が就役している点です。

艦歴

起工から就役

1935年6月6日、パーミットはコネチカット州グロトンのエレクトリック・ボート社で起工されました。1936年10月5日には、ハロルド・G・ボウエン夫人によって命名・進水し、1937年3月17日にチャールズ・O・ハンフリース少佐の指揮下で就役しました。

戦前の活動

調整後、パーミットはニューハンプシャー州ポーツマス沖での活動を経て、1937年11月29日に太平洋に向けて出航。パナマ運河を通過し、12月18日にカリフォルニア州サンディエゴに到着、第6潜水戦隊に合流しました。その後22ヶ月間、東太平洋を巡航し、その範囲は南カリフォルニアからアリューシャン列島、ハワイ諸島まで及びました。1939年10月には、アジア艦隊に加わるためフィリピンへ出航。1940年から41年にかけての最初のフィリピン巡航は、乗員にとって戦時における貴重な訓練となりました。

第二次世界大戦

初期の哨戒(1941年12月～1942年2月)

1941年12月11日、パーミットは最初の哨戒でルソン島西岸沖へ。12月20日にはマリベレスに帰投しました。2回目の哨戒はリンガエン湾へ。12月23日には敵艦への攻撃を試みましたが、回避されて爆雷攻撃を受けました。その後、マニラ脱出作戦に参加し、アジア艦隊司令長官の幕僚らをジャワ島スラバヤへ輸送しました。3回目の哨戒ではミンダナオ島とセレベス島方面で活動、1月23日には日本の駆逐艦と交戦しましたが、爆雷攻撃を受けて撤退。2月6日にスラバヤに帰投しました。

コレヒドール島への特殊任務(1942年2月～8月)

4回目の哨戒ではコレヒドール島へ向かい、情報部員や物資を輸送する特殊任務を遂行しました。3月17日にはルソン島南部のタヤバス湾で日本の駆逐艦と遭遇し、爆雷攻撃で司令塔を損傷。4月6日にはオーストラリアのフリーマントルに帰投しました。5回目の哨戒では、マカッサル海峡方面で作戦活動を行い、6月11日にフリーマントルに帰投。6回目の哨戒では真珠湾へ向かい、アンボン沖、ダバオ湾、マリアナ諸島方面で哨戒活動を実施。8月30日に真珠湾に帰投しました。

攻撃力強化と日本近海での作戦(1943年2月～9月)

オーバーホールで外装魚雷発射管が装備され、艦橋も改修された後、7回目の哨戒で日本近海へ。2月25日には座礁していた輸送船への攻撃を試みましたが、失敗。3月8日には貨物船を撃沈しました。8回目の哨戒では、トラック諸島方面へ向かい、特設運送船を撃破。5月25日に真珠湾に帰投しました。9回目の哨戒では、プランジャー、レイポンとともに日本海へ侵入。7月6日と7日には貨物船を撃沈しましたが、ソ連の海洋調査船を誤って攻撃したという記録も残っています。7月27日に真珠湾に帰投。10回目の哨戒ではマーシャル諸島方面で偵察任務を実施。9月12日には特設航空機運搬艦に損傷を与えましたが、9月24日に真珠湾に帰投。

終盤の哨戒と終戦(1944年1月～11月)

1944年1月2日、パーミットは11回目の哨戒でカロリン諸島方面へ。2月13日には敵船団に発見され、爆雷攻撃を受けました。その後、トラック島空襲の支援任務に従事し、3月18日に真珠湾に帰投。12回目の哨戒では、トラック島への空襲部隊に対する救助配備任務に就き、5月26日に敵潜水艦を撃沈したと報告しましたが、記録には残っていません。6月5日にマジュロに帰投しました。13回目の哨戒でもカロリン諸島方面で活動しましたが、戦果は不明。8月13日にブリスベンに帰投しました。14回目の哨戒では、同じく救助配備任務に就き、武装トロール船を攻撃。11月11日に真珠湾に帰投し、これが最後の哨戒となりました。

戦後

パーミットは真珠湾で修理後、1945年1月から短期間、太平洋潜水艦隊音響学校の練習艦任務に就き、帰国。その後、訓練艦として任務に就き、不活性化のため、11月15日に退役しました。1956年7月26日に除籍され、1958年にスクラップとして売却されました。パーミットは第二次世界大戦での戦功により、10個の従軍星章を受章しました。

脚注

注釈

出典

参考文献
(Issuu) SS-178, USS PERMIT, Part 1. Historic Naval Ships Association.
(Issuu) SS-178, USS PERMIT, Part 2. Historic Naval Ships Association.
(Issuu) ss-178, USS PERMIT, PART 3. Historic Naval Ships Association.
アジア歴史資料センター（公式）（防衛省防衛研究所）
Roscoe, Theodore. United States Submarine Operetions in World War II. Annapolis, Maryland: Naval Institute press.
財団法人海上労働協会（編）『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、2007年（原著1962年）。
防衛研究所戦史室編『戦史叢書46 海上護衛戦』朝雲新聞社、1971年。
Blair,Jr, Clay (1975). Silent Victory The U.S.Submarine War Against Japan. Philadelphia and New York: J. B. Lippincott Company.
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野間恒『商船が語る太平洋戦争 商船三井戦時船史』野間恒（私家版）、2004年。
小灘利春、片岡紀明『特攻回天戦 回天特攻隊隊長の回想』海人社、2006年。
大塚好古「太平洋戦争時の米潜の戦時改装と新登場の艦隊型」『歴史群像 太平洋戦史シリーズ63 徹底比較 日米潜水艦』学習研究社、2008年。

外部リンク

navsource.org

この記事はアメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

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