ヒュー・ワデル

ヒュー・ワデルの生涯と日本における宣教活動

ヒュー・ワデル（Hugh Wadell、1840年 - 1901年6月20日）は、アイルランド出身のスコットランド一致長老教会の宣教師として、日本と中国で活動しました。彼の生涯は、信仰と献身に満ちたものでした。

生い立ちと献身

1840年、ワデルはアイルランド長老教会の牧師であるヒュー・ワデルの息子として生まれました。1859年の大覚醒と呼ばれる信仰復興運動の影響を受け、宣教師になることを決意しました。

学生時代と中国宣教

1862年、北アイルランドのクィーンズ大学に入学し、その後ベルファストの長老派神学校であるアッセンブリ・プレスビテリアン・コレジを卒業しました。1868年にはバリメイナ長老会から説教資格を取得し、アイルランド長老教会海外伝道局の招聘を受け、中国伝道の宣教師として、J・M・ハンターと共に1869年2月にサザンプトン港から中国へ向かいました。中国東北部の牛荘に赴任しましたが、喉の病気のため1871年に帰国せざるを得ませんでした。1872年からはスペイン・コルドバでの伝道に従事しました。

日本での宣教活動

1874年（明治7年）、スコットランド一致長老教会の日本宣教師として来日。同年6月10日に横浜に上陸し、ロバート・デイヴィッドスンやヘンリー・フォールズが居住していた築地居留地18番に住みました。クリストファー・カロザースが経営していた築地大学校で教師を務める傍ら、1876年（明治9年）には葺手町（現在の港区虎ノ門四丁目）に私塾「ワデル塾」を開設しました。この塾からは、後に北海道十勝開拓において重要な役割を果たした渡辺勝、依田勉三、鈴木銃太郎らが輩出されました。

1878年（明治11年）には、ワデル塾が教会へと発展し、西久保教会となりました。1879年（明治12年）3月29日には、東京葺手町教会となり、日本基督一致教会に加入しました。その後、ワデルは依田勉三の故郷である伊豆の松崎地方や上州館林に説教所を設け、伝道活動を精力的に行いました。1883年の第一回全国基督教信徒大親睦会では、第2日目に「神の性および宰治」と題して説教を行いました。

一時帰国と晩年

1884年（明治17年）に一時的にアイルランドに帰国しましたが、1886年（明治19年）に再び来日し、宣教活動を続けました。1893年（明治26年）の田村直臣の日本の花嫁事件では、追放された田村直臣に同情し、日本基督教会側の決定に対してJ・H・バラやG・H・フルベッキと共に強く反対しました。

1900年（明治33年）、スコットランド一致長老教会が日本宣教を中止したため、ワデルはアイルランドに帰国。1901年（明治34年）6月20日、アイルランドでインフルエンザにより生涯を閉じました。

ヒュー・ワデルは、日本におけるキリスト教の発展に大きく貢献した宣教師の一人として、その名が記憶されています。

参考文献

• - 『長老・改革教会来日宣教師辞典』新教出版社、2003年

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