ブッカ1世

ブッカ1世の生涯と業績

ブッカ1世（テルグ語：మొదటి బుక్క రాయలు、タミル語：முதலாவது புக்கா ராயன்）は、南インドにおけるヴィジャヤナガル王国の重要な君主であり、サンガマ朝の創始者です。生年は不明ですが、彼は1356年から1377年までの間、王国を治めました。彼は兄のハリハラと共にこの王国を築く過程で、デカン高原の歴史に多くの足跡を残しました。

初期の人生

ブッカとその兄ハリハラは、かつてデカンのカーカティーヤ朝やホイサラ朝に仕えていた家臣でした。しかし、1323年にデリー・スルターン朝のトゥグルク朝による攻撃を受け、彼らは捕虜となりデリーに送られました。デリーでの生活の中で、彼らはイスラム教に改宗し、トゥグルク朝の君主であるムハンマド・ビン・トゥグルクに仕官することになりました。

独立の志向

1334年、マドゥライ・スルターン朝の独立を聞き、ブッカとハリハラは自らも一国の独立を目指すようになります。1336年、兄ハリハラが王位を宣し、ブッカはその側近としてヴィジャヤナガルの建設に取り組みます。この王国は、彼らの父の名前にちなんでサンガマ朝と名付けられました。ブッカらは再びヒンドゥー教に改宗し、カーストへの再加入を図るも、これは非常に困難な道でした。しかし、地元の宗教指導者ヴィディヤーラニヤの支援により、彼らの再加入が認められたことは非常に大きな出来事でした。

政治と戦争の時代

ブッカ1世は1356年に兄を失い、一国の王として君臨します。その後、彼はバフマニー朝と領土を巡る闘争を始めますが、長期にわたる抗争では勝利を収めることはできず、経済や民衆に大きな影響を与えました。このような状況を受けて、1365年にはバフマニー朝との間に国境に関する条約を締結し、無謀な暴力行為を抑制することに成功しました。

拡張と栄光

その後、ブッカ1世は南方に遠征を行い、1370年には息子のクマーラ・カンパナがマドゥライ・スルターン朝を征服するという成果を上げます。彼の治世中、ヴィジャヤナガル王国は北はクリシュナ川、東はオリッサの東ガンガ朝、南はマラバール海岸に広がる広大な領土を形成しました。また、彼はカリカットのザモリンやセイロンのジャフナ王国に毎年の貢納を求めるなど、周辺国への影響力を確立しました。

死と遺産

1377年、ブッカ1世はこの世を去り、息子のハリハラ2世が王位を継承しました。ブッカ1世の死までに築かれたヴィジャヤナガル王国は、その後も地域の政治や文化に大きな影響を与え続けました。彼の治世における業績や独立に対する奮闘は、南インドの歴史の中で重要な位置を占めています。

参考文献

• - 辛島昇『世界歴史大系 南アジア史3―南インド―』山川出版社、2007年。
• - 辛島昇『新版 世界各国史7 南アジア史』山川出版社、2004年。
• - Dr. Suryanath U. Kamat, Concise history of Karnataka, MCC, Bangalore, 2001 (Reprinted 2002)
• - Chopra, P.N. T.K. Ravindran and N. Subrahmaniam.History of South India. S. Chand, 2003.

関連項目

• - ヴィジャヤナガル王国
• - サンガマ朝

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