プラタープ・シング (タンジャーヴール・マラーター王)

プラタープ・シングの生涯と統治

プラタープ・シング（マラーティー語：तंजावरचे प्रतापसिंह）は、南インドのタミル地方に位置するタンジャーヴール・マラーター王国の君主であり、1694年または1696年以降に生まれ、1763年12月16日に逝去しました。彼の統治期間は1739年から1763年までとなっており、彼の時代は数々の戦争や政治的な混乱に彩られています。

臨時君主としての誕生

1739年、タンジャーヴールはチャンダー・サーヒブによって占領され、同時に王であったシャーフージー2世も廃位されました。この混沌とした状況において、ヴィヤンコージー2世の弟であるプラタープ・シングに王位就任の要請が送られました。初めは王になるつもりはなかった彼ですが、最終的には例外的な状況に後押しされて王の座を受け入れました。

脅威との戦い

王位についたプラタープ・シングには、治世の始まりから厄介な問題が立ちはだかりました。なんと、シャーフージー2世を名乗る偽物が現れ、彼はその対策に苦慮しました。調査を行った結果、タンジャーヴールの権臣サイイドがこの事件に絡んでいたことが判明し、プラタープ・シングは彼を逮捕し、最終的には処刑したのです。

当時、タンジャーヴールはチャンダー・サーヒブの支配下にありましたが、1740年にはマラーター王国からの援軍によって状況が一変します。ナーグプルのボーンスレー家が大軍を派遣し、プラタープ・シングの元に集結しました。この軍勢によってチャンダー・サーヒブは圧倒され、タンジャーヴールは再びマラーターの支配下に戻ることができました。5月20日には、マラーター軍がダーマルチェルヴで勝利を収め、タンジャーヴールの解放を一層確固たるものとしました。

ニザーム王国の侵入

しかし、1743年にはニザーム王国が進出し、南インドの征服を目指しました。その影響で、8月にはティルチラーパッリが陥落し、タンジャーヴール・マラーター王国もまた彼らの支配を受けることとなりました。これにより、プラタープ・シングは貢納を強いられ、不利な状況に立たされることになったのです。

カーナティック戦争とその後

1748年以降、カルナータカ地方においてニザーム王国と他の地方政権との間で継承問題が持ち上がり、第二次カーナティック戦争が勃発しました。プラタープ・シングはイギリス側につき、ムハンマド・アリー・ハーンやナーシル・ジャングと密接に協力します。1751年にはイギリスの依頼で、逃亡中のチャンダー・サーヒブを捕らえて処刑しました。しかし、この処刑後、タンジャーヴールはムハンマド・アリー・ハーンとマイソール王国との権力闘争の舞台に出てきます。

1758年には第三次カーナティック戦争が勃発し、フランス軍がタンジャーヴールに向かって進軍しました。プラタープ・シングはイギリス側に付いて、フランス軍に対する攻撃を展開しましたが、国家の運命は再び波乱に満ちたものとなりました。

晩年の苦境

プラタープ・シングの晩年は、かつて同盟関係にあったムハンマド・アリー・ハーンとの関係が悪化し、さらにはラームナードやプドゥコーッタイのパーライヤッカーラルとも争い事が増えていきました。このような紛争と負担が影を落とし、1763年12月16日に彼は亡くなります。彼の死後、息子のトゥラジャージー2世が王位を継承し、次の時代へと移行していきました。

まとめ

プラタープ・シングの生涯は、勝利と敗北、同盟と裏切りの連続でした。彼の統治は、南インドの歴史において重要な位置を占め、後の歴史的出来事に大きな影響を与えました。

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