プロレスリング・ノア 東京ドーム大会

プロレスリング・ノア 東京ドーム大会

プロレスリング・ノアは、全日本プロレスの創始者であるジャイアント馬場の影響を強く受け、ビッグマッチの乱発を避ける傾向がありました。しかし、2004年と2005年の2度にわたり、東京ドームでの大規模な興行を成功させました。当時、新日本プロレスがドーム大会の在り方を模索していた中、ノアは入念な準備期間を経て、満員の観客を動員しました。この記事では、両大会の詳細と、その舞台裏を解説します。

大会概要

ノアは、ドーム大会を「行う時期になったら」というスタンスで捉えていました。2004年、2005年の成功を受け、2006年にも開催が期待されましたが、団体は日本武道館での大会を選択。ドーム大会を毎年の恒例とする予定はないことを明確にしました。これは、カードの乱発や、リスクに見合う収益が得られないという懸念があったためです。

2004年の大会では、団体初のPPV放送を行いましたが、権利問題から地上波でのメインイベントの即日放送は実現しませんでした。しかし、2005年の大会では、日本テレビのCS放送でのディレイ中継、地上波での即日スペシャル放送を行い、多くのファンに試合を届けました。そして、2023年2月21日には、武藤敬司の引退試合として、18年ぶりに東京ドーム大会を開催することが発表されました。

Departure 2004

開催日：2004年7月10日
観客動員数：58,000人（超満員）
試合開始：午後6時

試合結果

第1試合：百田光雄 vs 永源遙
第2試合：本田多聞、泉田純、菊地毅 vs 井上雅央、川畑輝鎮、青柳政司
第3試合：マイケル・モデスト、ドノバン・モーガン vs 鈴木鼓太郎、リッキー・マルビン
第4試合：スコーピオ、リチャード・スリンガー vs 齋藤彰俊、橋誠
第5試合：田上明、佐野巧真 vs 池田大輔、モハメド・ヨネ
第6試合（GHCジュニアヘビー級タッグ選手権試合）：丸藤正道、KENTA vs ケンドー・カシン、杉浦貴
第7試合（GHCジュニアヘビー級選手権試合）：獣神サンダー・ライガー vs 金丸義信
第8試合（IWGPタッグ選手権試合）：高山善廣、鈴木みのる vs 力皇猛、森嶋猛
第9試合（GHCタッグ選手権試合）：三沢光晴、小川良成 vs 武藤敬司、太陽ケア
第10試合（GHCヘビー級選手権試合）：小橋建太 vs 秋山準

特徴

大会中盤には、長期欠場を続けていたラッシャー木村の引退が発表されました。
テレビ中継では、選手の顔を映すためにカメラマンが選手の前を逆向きに歩くという、他団体で見られる光景はなく、ノアは「選手入場から演出」というスタンスを貫きました。
小橋建太の入場シーンでは、アリーナ客席まで届くほどのドライアイスを使用しました。
試合前には、煽りVTRが作成され、秋山準の入場前には、過去の入場テーマ曲をバックに小橋との対戦映像が流れました。
メインイベントでは、小橋と秋山のシングルマッチが実現。両者激しい攻防を展開し、年間ベストバウトに選ばれました。
全日本プロレスを離脱後、初めて全日本勢がノアのリングに登場。三沢と武藤の対決は大きな話題を呼びました。三沢と武藤のドリームタッグ結成へと繋がりました。

Destiny 2005

開催日：2005年7月18日
観客動員数：62,000人（超満員）
試合開始：午後3時

試合結果

第1試合：杉浦貴、SUWA、青柳政司 vs 百田光雄、菊地毅、中嶋勝彦
第2試合：モハメド・ヨネ、森嶋猛 vs 本田多聞、潮崎豪
第3試合：田上明、佐野巧真、泉田純、永源遙 vs 齋藤彰俊、越中詩郎、井上雅央、川畑輝鎮
第4試合：ムシキング・テリー vs ブラックマスク
第5試合（GHCジュニアヘビー級選手権試合）：金丸義信 vs KENTA
第6試合（GHCタッグ選手権試合）：鈴木みのる、丸藤正道 vs 秋山準、橋誠
第7試合（GHCヘビー級選手権試合）：力皇猛 vs 棚橋弘至
第8試合：小川良成 vs 天龍源一郎
第9試合：小橋建太 vs 佐々木健介
第10試合：三沢光晴 vs 川田利明

特徴

大会テーマは「Destiny（運命）」とし、3つの特別シングルマッチが組まれました。
人気カードゲーム「甲虫王者ムシキング」をモチーフにしたムシキング・テリーがデビュー。
佐々木健介がノアのリングに初登場し、小橋と壮絶なチョップ合戦を繰り広げました。この試合はプロレス大賞ベストバウトを受賞しました。
メインイベントでは、三沢と川田が激突。四天王プロレス時代から時が流れたが、見応えのある試合を展開しました。
観客動員は前年を上回り、62,000人超満員を記録しました。日本テレビのプロデューサーや、多くの著名人が会場を訪れました。

2004年・2005年大会共通のトピックス

リングは、バックスクリーンから見て45°回転させた形で設置されました。これは、全日本プロレス時代に仲田氏が提案したもので、ノア陣営が当初から思い描いていたプランでした。
* 両大会とも、メインイベントの実況は平川健太郎アナウンサー、セミファイナルの実況は矢島学アナウンサーが担当しました。

これらの大会は、プロレスリング・ノアの歴史において、重要な転換期を示すものとなりました。ドーム大会という大きな舞台で、多くのドラマと興奮が生まれ、プロレス界に大きな足跡を残しました。

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