モンタヴァル

モンタヴァル：フランスが生んだ、日本の競馬史に名を刻む種牡馬

1953年、フランスで誕生した競走馬モンタヴァルは、その後の日本競馬に大きな影響を与えた種牡馬として知られています。

華麗なる現役時代と日本への渡来

現役時代、モンタヴァルは1957年にイギリスのキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで優勝という輝かしい成績を残しました。また、1956年のエプソムダービーでは2着と、高い競走能力を証明しています。その後、1961年に日本へ輸出され、種牡馬としての新たなキャリアをスタートさせました。

短期間ながら偉大な功績を残した種牡馬生活

種牡馬としての活動期間は短く、1965年に死亡しましたが、その短い期間に数々の優秀な競走馬を輩出しました。特に1965年には3歳（旧表記）リーディングサイアーを獲得するなど、その才能は高く評価されました。モンタヴァルは八大競走優勝馬2頭を輩出した他、テスコガビー、アイネスフウジン、メジロドーベルといったGI競走優勝馬の母系にもその血統が受け継がれ、現代競馬にも大きな影響を与えています。

傑出した産駒たち

モンタヴァルの産駒には、数々の名馬が名を連ねます。

ナスノコトブキ (1963年産): NHK杯、菊花賞、朝日チャレンジカップを制覇。1966年度最優秀4歳牡馬に選出されました。
ニホンピローエース (1963年産): 阪神3歳ステークス、皐月賞、阪急杯を制覇。1965年度最優秀3歳牡馬に輝きました。
メジロボサツ (1963年産): 朝日杯3歳ステークス、4歳牝馬特別、函館記念を制覇。1965年度最優秀3歳牝馬に選出されました。
モンタサン (1964年産): 朝日杯3歳ステークス、セントライト記念、京王杯スプリングハンデキャップを制覇。1966年度最優秀3歳牡馬に選出されました。
* スズガーベラ (1965年産): 優駿牝馬（オークス）で2着という好成績を残しました。

これらの競走馬は、モンタヴァルの優れた遺伝子と、育成の賜物と言えるでしょう。

競馬界に刻まれたエピソード

モンタヴァルとその産駒は、競馬関係者だけでなく、文化人にも強い印象を残しました。詩人で競馬評論家としても知られる寺山修司は、モンタヴァルとその産駒の生涯に注目し、『モンタヴァル一家の血の呪いについて』というエッセイを発表しています。また、彼の著書『競馬放浪紀』のあとがきには、「私の忘れがたかった馬ベストテン」として、モンタヴァル産駒のメジロボサツとモンタサンが名を連ねています。

さらに、著名な司会者であるみのもんたの芸名は、モンタヴァル産駒のモンタサンに由来していると言われています。大橋巨泉氏もモンタサンの大ファンだったという逸話も残っています。

競馬ゲーム『ダービースタリオン』では、モンタヴァルの気性難という特徴がサイアーエフェクトとして反映されており、その独特の個性までがゲームを通じて後世に伝わっています。これは、モンタヴァル産駒の多くが気性が激しかったという特徴を反映したものです。ちなみに、モンタヴァルの半弟であるムーティエも同様の気性難のサイアーエフェクトを持つ設定となっています。

血統と未来への継承

モンタヴァルの半弟にはフランス産種牡馬のムーティエが、半妹にはパントレセレブルの五代母であるプティットサグネーがいます。これらの血統は、モンタヴァルの血脈がいかに多くの競走馬に受け継がれているかを示しています。

モンタヴァルは、その短い種牡馬生活にも関わらず、日本の競馬界に計り知れない貢献を残した、偉大な種牡馬でした。その名前は、これからも競馬史に長く記憶されることでしょう。

もう一度検索