ラブラドル半島

ラブラドル半島：カナダ北東部の広大な半島

ラブラドル半島は、カナダ北東部に広がる巨大な半島です。15世紀にこの地を探検したとされるポルトガル人探検家、ジョアン・フェルナンデス・ラヴラドールの名にちなんで名付けられました。

地理的位置と地形

西はハドソン湾とジェームズ湾、北はハドソン海峡を挟んでバフィン島、東は北大西洋（ラブラドル海）、南はベルアイル海峡を挟んでニューファンドランド島とセントローレンス湾に面しています。半島北部にはアンガヴァ湾が深く切れ込み、その西側にはアンガヴァ半島、東側にはトーンガット山脈がそびえ立ち、チドリー岬で終わります。

複雑な海岸線と、氷河によって削り出されたフィヨルド地形が特徴的で、特に大西洋岸に多く見られます。内陸部には、氷河期に形成された無数の氷河湖の跡が点在しています。

行政区分

ラブラドル半島の大西洋岸の約4分の1はニューファンドランド・ラブラドール州のラブラドール地方に属し、残りの部分はケベック州（サグネ・ラック・サン・ジャン地域、コート・ノード地域、ノード・デュ・ケベック地域）に属します。また、ハドソン湾奥からアンガヴァ湾までの沿岸の島々は、ヌナブト準州に含まれます。

氷河期と地質

ラブラドル半島は、過去何度も氷河に覆われてきました。特に最後の氷期には、北アメリカ大陸を覆った巨大なローレンタイド氷床の中心部となり、その影響は現在の地形にも色濃く残っています。氷床の融解によって形成された氷河湖や、氷河によって削り取られた独特の地形は、半島各地で見られます。

気候と植生

ラブラドル海流の影響で、半島は冷涼な気候に特徴づけられます。夏は短く、気温はそれほど高くならず、冬は長く厳しい寒さが続きます。沿岸部は亜寒帯気候に属しますが、夏でも気温は12～13℃程度と低く、樹木はまばらにしか生えておらず、草原が広がる地域が多いです。内陸部は南側にはタイガ（針葉樹林）が広がっていますが、北部は永久凍土に覆われたツンドラ地帯となっています。

産業

北部海岸地帯は寒冷な気候のため農耕には適しておらず、漁業が主要産業です。ラブラドール・レトリバーという犬種の名前の由来にもなっているように、歴史的に漁業と密接な関係があります。内陸部では、森林資源の利用や鉱業なども行われています。

まとめ

ラブラドル半島は、その豊かな自然、歴史、そして独特の気候によって形作られた、魅力的な地域です。厳しい自然環境の中で、人々は独自の文化と生活様式を築き上げてきました。氷河期の痕跡、多様な地形、そして冷たい海流の影響を受けた独特の生態系は、研究者や観光客を魅了し続けています。今後も、この地域の歴史と自然環境の保護、そして持続可能な開発が重要な課題となるでしょう。

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