リゾートビューふるさと

リゾートビューふるさと

「リゾートビューふるさと」は、東日本旅客鉄道（JR東日本）が主に長野駅と南小谷駅の間で運行する特別な臨時快速列車です。この列車名には、車窓から眺める山々、川や湖、広がる空、そして日本の原風景ともいえる里山など、故郷を思い起こさせる美しい景色の中で、多くの人々の温かい出会いが生まれる旅を創造したい、という願いが込められています。運行は2010年10月2日、信州デスティネーションキャンペーンに合わせてスタートしました。そのキャッチコピーは「ゆとりとおもてなしのリゾートトレイン」です。

運行形態と特徴

この列車は全席指定制で、通常は1日1往復運転されます。年間を通して土曜日や休日を中心に運行されますが、夏休みや年末年始のような期間には毎日運転されることもあります。

興味深い点として、長野駅と松本駅の間の区間（信越本線・篠ノ井線）では、通常の列車運行において松本方面が上り、長野方面が下りとされていますが、「リゾートビューふるさと」では、長野を出発し南小谷へ向かう列車が「下り（往路）」、南小谷から長野へ戻る列車が「上り（復路）」と区間全体を通して進行方向が統一されています。

車窓の魅力を最大限に楽しんでいただくため、日本三大車窓の一つに数えられる篠ノ井線・稲荷山駅と姨捨駅の間や、大糸線の一部の区間では速度を落として運転します。往路では稲尾駅や海ノ口駅に一時的に停車し、車内から美しい木崎湖をゆっくり眺める時間も設けられています。また、往路の穂高駅では約30分停車。この時間を利用して、 nearbyにある穂高神社を参拝することが可能です。列車到着に合わせて神社の巫女さんが出迎えて案内してくれるという心温まるサービスもあります。

おもてなしと車内サービス

「リゾートビューふるさと」では、乗車中も様々な「おもてなし」が展開されます。土曜日や休日には、地元の自治体関係者や有志の方々による「車内でのおもてなしイベント」が開催され、その地域に伝わる民話の語りや郷土芸能などが披露されます。これらの模様は車内モニターでもライブ中継されます。

列車には「リゾートアテンダント」と呼ばれる専門の乗務員が添乗し、沿線の観光案内や車内販売など、乗客へのきめ細やかなサービスを提供しています。駅弁は原則として車内に積み込まれていないため、購入を希望する場合は、乗車後、列車が松本駅に到着する前にアテンダントに予約注文する必要があります。

また、車掌も乗務していますが、新幹線のように指定された座席に着席していれば車内での改札は省略されます。しかし、希望者には「リゾートビューふるさと」専用のデザインが施されたスタンプで、乗車記念の捺印をしてくれます。1号車には、乗車記念スタンプ台や、乗務員が心を込めて手作りした沿線の観光見どころを紹介するガイドブックも設置されており、旅の思い出作りをサポートしています。

列車の側面に設けられたLED行き先表示器には、「リゾートビューふるさと」と「ナイトビュー姨捨」専用のロゴタイトルが表示されるのも特徴です。ただし、同じ車両を使って運行される他の臨時列車の場合は、種別と行き先のみの表示となります。

停車駅

長野駅 - 篠ノ井駅 - 姨捨駅 - 明科駅 - 松本駅 - 穂高駅 - 信濃松川駅 - 信濃大町駅 - 白馬駅 - 南小谷駅

ナイトビュー姨捨

「リゾートビューふるさと」の派生列車として、HB-E300系車両を使用して運行されるのが「ナイトビュー姨捨」です。この列車は、日本三大車窓から望む姨捨駅や善光寺平の美しい夜景を楽しむことを目的に、2012年4月20日に運行を開始しました。長野駅と姨捨駅の間を、主に夏季に1日1往復運行する全席指定制の臨時快速列車です。

こちらも「リゾートビューふるさと」と同様にリゾートアテンダントが乗務し、観光案内や車内販売（特製弁当を含む）を行います。終着駅である姨捨駅では、地元のボランティアガイドが夜景の案内をしてくれるほか、地元の有志による民話の語り披露、温かい味噌汁や甘酒の振る舞いといった、地域ならではの温かいおもてなしが提供されます。かつては、姨捨駅の窓口で特製プレートが販売され、購入者にオリジナルの乗車証明書がプレゼントされたこともありました。特に復路では、姨捨駅を出発した後に善光寺平の夜景を存分に味わえるよう、車内の照明が減光される配慮がなされています。2015年7月27日には、この「ナイトビュー姨捨」が「日本夜景遺産（施設型夜景遺産）」に認定されており、鉄道としては全国で2例目となる快挙です。

停車駅（ナイトビュー姨捨）

長野駅 - 篠ノ井駅 - 姨捨駅

使用車両

「リゾートビューふるさと」および「ナイトビュー姨捨」には、JR東日本のHB-E300系ハイブリッド気動車が使用されています。長野総合車両センターに所属する、片運転台構造の2両編成です。

車両の外観は、乗務員室の後方にある展望スペース部分が黄緑色、客室部分は下から上に向かって緑色と白色の美しいグラデーションで彩られ、客室部分の裾には黄土色の帯が配されています。これは、沿線に広がる長野県の県木であるシラカバの森の中を走り抜けるイメージを表現したものです。2020年10月12日から2022年12月25日までは、長野県PRキャラクター「アルクマ」の登場10周年を記念したラッピングが施されて運行されました。ラッピング終了時に剥がされたロゴマークは、2024年1月に再び貼り直されています。また、ラッピング開始以降、現在に至るまで、1号車の11D席には常にアルクマの特大ぬいぐるみが設置されており、乗客の人気を集めています。

派生列車

「リゾートビュー」の名前を冠して、HB-E300系車両を用いた様々な臨時列車が過去に運行されています。現在も運行が継続されているのは「リゾートビューふるさと」と「ナイトビュー姨捨」を除けば、「リゾートビュー諏訪湖」（長野〜富士見間）が挙げられます。その他、季節や多客期に合わせて「リゾートビュー白馬」（松本〜白馬間）が運行された実績があります。かつては「リゾートビュー八ヶ岳」（松本/長野〜中込/小諸/小淵沢間、現在はHB-E300系での定期運行終了後、2024年に長野〜小淵沢間で同名列車が計画されている）、「リゾートビューこうみ」（小淵沢〜小諸間）、「リゾートビューいいやま」（長野〜十日町間）なども運行されていました。

沿革の主な出来事

2010年10月2日：「リゾートビューふるさと」運行開始。
2011年3月：東日本大震災の影響により運休や他形式車両による代走が発生。同年4月2日より所定運転に戻り、松本～南小谷間がワンマン運転化。
2012年4月20日：「ナイトビュー姨捨」運行開始。
2012年9月8日：乗車人員5万人達成。
2013年3月16日：海ノ口駅への往路停車を開始。
2015年6月6日：乗車人員10万人達成。
2015年7月27日：「ナイトビュー姨捨」が日本夜景遺産に認定。
2017年3月4日：篠ノ井駅への停車を開始。海ノ口駅は通年通過に。
2020年4月～7月：新型コロナウイルスの影響により長期運休。7月23日より運転再開、イベント・おもてなしは一時見合わせ。
2020年10月12日：アルクマ10周年記念ラッピング車両が登場。
2022年12月25日：アルクマラッピングでの運行を終了。
2023年3月18日：HB-E300系による「リゾートビューふるさと」の運用を再開。

これらの取り組みを通じて、「リゾートビューふるさと」と「ナイトビュー姨捨」は、信州の美しい景色と地域のおもてなしを組み合わせた、特別な列車の旅を提供し続けています。

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