リチャード・H・アンダーソン

リチャード・ヘロン・アンダーソン（Richard H. Anderson、1821年10月7日 - 1879年6月26日）は、アメリカ陸軍の職業軍人であり、米墨戦争でその名を上げた後、南北戦争では南軍の将軍として活躍しました。彼の軍歴は多岐にわたり、その謙虚な人柄は多くの人に感銘を与えました。

初期の経歴

アンダーソンは、サウスカロライナ州サムター郡で生まれ、アメリカ独立戦争の英雄リチャード・アンダーソンの孫にあたります。1842年に陸軍士官学校を卒業後、第1アメリカ竜騎兵隊に任官されました。当初は騎兵学校で訓練を受け、その後、西部での辺境任務に就きました。

1843年には、アーカンソー州やインディアン準州で守備隊を務め、インディアン代理人の護衛任務にも従事しました。1844年に少尉に昇進し、ルイジアナ州での勤務を経て、1845年にはテキサス軍事占領に参加。1846年には新兵徴兵業務に携わりました。

米墨戦争での活躍

1847年、アンダーソンは米墨戦争に参加し、ベラクルス包囲戦を始めとする数々の戦闘で活躍しました。ラ・ホヤ近くの小戦闘、コントレラスの戦い、モリノ・デル・レイの戦いなど、主要な戦闘でその勇猛さを発揮し、サンオーガスティン近くでの戦功により中尉に名誉昇進しました。メキシコシティの戦いとその占領にも参加し、戦争での功績は目覚ましいものでした。

1848年には第2アメリカ竜騎兵隊の中尉に昇進し、その後も新兵徴兵業務やテキサスでの辺境任務に従事しました。カンザス州での勤務やユタ戦争にも参加し、1861年まで軍人としてのキャリアを積み重ねました。

南北戦争での従軍

1861年、南北戦争が勃発すると、アンダーソンは故郷の州とアメリカ連合国に忠誠を誓い、アメリカ陸軍を退役して南軍に入隊しました。第1サウスカロライナ歩兵連隊の大佐に任官され、チャールストン港地域の指揮官を務めました。

准将に昇進後、フロリダ州ペンサコーラに転属。サンタローザ島の戦いで負傷しますが、1862年には旅団指揮官としてポトマック軍に加わります。半島方面作戦では、ウィリアムズバーグの戦いや七日間の戦いで頭角を現し、グレンデイルの戦いでは師団を一時的に指揮しました。これらの功績により、少将に昇進し、ロングストリートの第1軍団で第2師団の指揮を任されました。

第二次ブルランの戦いでは、アンダーソンの攻撃が北軍の戦線を突破し、ワシントンD.C.まで撤退させる要因となりました。アンティータムの戦いでは、「ブラッディ・レイン」での防衛線を指揮しましたが、負傷により戦場を離れ、師団は最終的に北軍に圧倒されました。フレデリックスバーグの戦いでは、彼の師団は大きな戦闘には参加しませんでした。

1863年、チャンセラーズヴィルの戦いでは、北軍左翼を押し込む役割を果たし、リー将軍の背後を突こうとする北軍の動きを牽制しました。ストーンウォール・ジャクソンの戦死後、リーは軍隊を再編し、アンダーソンの師団はA・P・ヒルの第3軍団に配属されました。

ゲティスバーグの戦い

ゲティスバーグの戦いでは、アンダーソンの師団は到着が遅れ、初日の戦闘にはほとんど関与しませんでした。2日目には、北軍の中央を攻撃しましたが、右翼は成功したものの、左翼は停滞し、援軍の反撃を受けました。この日の指揮は批判され、予備隊の不足が指摘されました。3日目のピケットの突撃では、アンダーソンの指揮下の旅団が投入されましたが、撃退されました。

荒野およびスポットシルバニア

1864年、荒野の戦いでロングストリートが負傷すると、アンダーソンが指揮を引き継ぎました。スポットシルバニア・コートハウスの戦いでは、重要な陣地を確保し、北軍がリッチモンドに進軍するのを阻止しました。コールドハーバーの戦いにも参戦し、ピーターズバーグ包囲戦にも加わりました。5月には一時的に中将に昇進しましたが、ロングストリートの復帰後は少将に戻り、第4軍団を率いて戦いました。

セイラーズクリークの戦いで軍団が壊走し、部隊を失ったアンダーソンは、故郷サウスカロライナ州に戻りました。1865年に恩赦を受けましたが、仮釈放の記録はありません。

戦後

戦後、アンダーソンは農場経営を試みましたが失敗し、サウスカロライナ鉄道の代理人として働き、リン酸塩検査官兼代理人を務めました。1879年、57歳で亡くなり、ビューフォートの教会墓地に埋葬されました。

アンダーソンの生涯は、軍人としての勇猛さと、その人柄の謙虚さを示すものであり、多くの人々に記憶されています。

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