ルキウス・ポストゥミウス・メゲッルス (紀元前305年の執政官)
ルキウス・ポストゥミウス・メゲッルス（紀元前345年頃 - 紀元前260年頃）は、古代ローマ共和政期に活躍したパトリキ（貴族）出身の政治家であり軍人です。彼は伝えられるところによれば、その傲慢で高圧的な性格で知られていました。生前に三度にわたり最高位の官職である執政官（コンスル）を務め、特に共和政ローマがサムニウム人と繰り広げた第三次サムニウム戦争において、主要な指導者の一人としてその手腕を発揮しました。
メゲッルスは、古くからの名門であるポストゥミウス氏族の出身です。この氏族は、平民（プレブス）が政治的権利の拡大を求めた「プレブスの身分闘争」（紀元前494年 - 紀元前287年）において、プレブスの政治的進出を制限しようとする保守強硬派の立場をとっていました。メゲッルス自身もまた、ローマ市民全体やプレブス出身の同僚に対して、抑圧的で威圧的な態度で接したとされています。彼の政治キャリアは、当時進行していたサムニウム戦争と密接に結びついており、戦功を背景に時には法を無視する行動にも出ました。特に、同一の高位職への10年以内の再任を禁じたゲヌキウス法に違反し、二度目の執政官からわずか3年後に三度目の執政官に就任しています。
彼の初期の公職歴は、紀元前307年に上級按察官（アエディリス・クルリス）に就任したことから始まります。この職は公共建築や祭儀の管理を担い、後に執政官となるためには必須とみなされる重要なポストでした。彼はこの任期中に、公共地の私的占有を禁止したリキニウス・セクスティウス法に違反した人々に対し、多額の罰金を科しました。そして、その罰金で得られた資金を用いてウィクトーリア神殿を建設することを誓い、この神殿は紀元前294年に完成しています。
紀元前305年、彼は初めて執政官の座に就きました。この年は第二次サムニウム戦争の最終段階にあたります。同僚執政官ティベリウス・ミヌキウス・アウグリヌスとともに軍を率い、歴史家ティトゥス・リウィウスによれば、ボヴィアヌムの戦いで勝利を収め、サムニウム人の拠点ボヴィアヌム（現ボヤーノ）を占領しました。ローマへの帰還途中、両執政官はソラ、アルピヌム（現アルピーノ）、ケレンニアといった都市も制圧しています。リウィウスはメゲッルスが凱旋式を行ったと記していますが、公式な記録である凱旋式のファスティにはその記録がありません。ボヴィアヌムの陥落はサムニウム人に講和を促し、翌紀元前304年に第二次サムニウム戦争は終結しました。
紀元前298年になると、南のサムニウムに加え、北のエトルリア、ウンブリア、そしてガリアが同盟を結び、ローマにとって新たな脅威が出現しました。この三国同盟によるローマ領侵攻が差し迫る中、経験豊富な軍人の必要性が高まりましたが、ゲヌキウス法の規定により、メゲッルスは再び執政官となることができませんでした。そこで彼はプロプラエトル（前法務官）として、インペリウム（軍事指揮権）を持つ特例的な地位を与えられ（privatus cum imperio）、1個軍団を率いてテヴェレ川右岸の「アゲル・ウァティカヌス」に駐屯しました。これは、後のセンティヌムの戦いへと繋がる一連の作戦の一部であり、メゲッルスはエトルリア、特にクルシウム付近に展開する敵軍への攻撃を命じられましたが、実際の戦闘には至らなかったようです。彼はその後ローマに戻り、彼の指揮する軍団は解散されました。
紀元前294年、メゲッルスは二度目の執政官に就任し、サムニウムとの南部戦線を担当しました。彼はサムニウムのいくつかの都市を攻略しましたが、アプリア（現プッリャ州中・北部）での戦いでは敗北し、自身も負傷して少数の兵と共にルケリア（現ルチェーラ）へと退却を余儀なくされました。ローマに戻って傷を癒す傍ら、彼はかつて上級按察官時代に科した罰金で建設を約束していたウィクトーリア神殿を建立しました。負傷から回復すると、彼は再びサムニウムに対する作戦に復帰し、ミリオニアとフェレンティヌム（現フェレンティーノ）を占領しました。ただし、メゲッルスがエトルリアで軍事行動を行ったとする他の記録も存在しますが、現代の歴史家はその信憑性を疑問視しています。その年の軍事行動が終了すると、メゲッルスはサムニウムでの勝利を記念して凱旋式を挙行しました。この凱旋式は、彼の戦線離脱を理由に元老院の政敵たちが資格がないとして強く反対したことで特に知られています。彼は慣習となっていた元老院の許可を得ずに、政敵の反対を押し切って凱旋式を実施しましたが、当然ながら彼に対する敵意は一層深まりました。
二度目の執政官任期を終えた翌年の紀元前293年、護民官の一人であったマルクス・コンティウムが、執政官時代のメゲッルスの行為について裁判を起こそうとしました。しかし、依然としてサムニウム戦争が継続しており、彼の軍事的才能がローマの危機に対処するために不可欠であったため、訴追は延期されました。彼は当時の執政官スプリウス・カルウィリウス・マクシムスのレガトゥス（高級副官）に任命され、戦争終結までその任に就きました。特にメゲッルスが重要な役割を果たしたアクイロニアの戦いでのスプリウス・カルウィリウスの勝利により、彼の裁判は結局行われませんでした。彼の敵対者たちも、その時の彼の人気を考慮すれば、裁判が行われても無罪となる可能性が高いと判断したためです。
紀元前292年末、メゲッルスは新たな執政官を選出するためのクリア民会を招集するためにインテルレクス（任期5日間の最高責任者）に任命されました。この時、サムニウム戦争がほぼ終結に向かっている状況に自信を得ていたメゲッルスは、異例の行動に出ます。それは、ゲヌキウス法に違反することを承知の上で、自身を執政官候補としたことです。選挙に勝利し、紀元前291年の執政官となった彼は、まず、各方面の指揮官を慣例のくじ引きではなく、自身をサムニウム戦線の最高司令官とすることを決定しました。同僚執政官ガイウス・ユニウス・ブブリクス・ブルトゥスはこれに反対しましたが、拒否権を行使しなかったため、メゲッルスの要求が通されました。サムニウム人の抵抗はほぼ終結しており、前年の執政官クィントゥス・ファビウス・マクシムス・グルゲスがプロコンスルとして引き続き軍を率いていたにもかかわらず、メゲッルスは新たに軍を編成し、サムニウム国境に進軍しました。この二年間にわたり、メゲッルスはサムニウムの未調査の土地を大量に獲得しており、法的には公有地と見なされるべき土地をあたかも自身の私有地であるかのように扱っていました。彼はサムニウムに入っても、コミニウムを包囲していたグルゲスの軍には直ちに合流せず、2,000の兵を伴ってかなりの時間を土地調査に費やした後に、ようやく合流しました。歴史家ハリカルナッソスのディオニュシオスによれば、これは嫉妬心からグルゲスがコミニウムを攻略するのを妨害しようとしたためだと言われています。
コミニウムに近づくと、メゲッルスは書簡でグルゲスに対し、サムニウムから撤退するよう命じました。しかしグルゲスは、自身の指揮権は元老院から与えられたものであるとしてこれを拒否し、元老院に指揮権の確認を求めました。元老院は代理人をメゲッルスのもとに派遣し、元老院の命令を無視すべきではないと伝えました。これに対しメゲッルスは、代理人に対し、ローマ執政官としての任務を遂行する上では、執政官が元老院に命令するのであり、元老院が執政官に業務の遂行方法を指図すべきではない、と傲慢に答弁しました。その後メゲッルスはコミニウムまで進軍し、グルゲスに対し自身の指揮下に入るよう強制しました。グルゲスはこれに従うしかなく、メゲッルスは両軍の指揮権を掌握し、グルゲスをローマに送り返しました。メゲッルスの指揮下でコミニウムは直ちに陥落し、続いてヒルピニ族に対する作戦を実施し、ウェヌシア（現ヴェノーザ）を占領しました。
ウェヌシアを占領したメゲッルスは、元老院に対しそこをローマの植民地とすることを推奨しました。元老院はこの提案を受け入れましたが、メゲッルスの政敵であったファビウス氏族がこれに介入し、植民者への土地分配や植民地建設の監督責任者としての役割は、メゲッルスには与えませんでした。これに激怒したメゲッルスは、戦利品がローマの国庫に入らないように、彼の兵士たち全てに分配してしまいました。さらに、彼の後任者が到着する前に、勝手に軍を解散させてしまいました。ローマに戻ったメゲッルスは凱旋式の実施を要求しましたが、元老院はこれを拒否しました。彼は市民の支援を求めましたが、熱心な支持は得られませんでした。続いて護民官の支援を求めましたが、賛成したのはわずか3人で、残り7人は反対でした。結局、元老院はコミニウム攻略における功績を認め、メゲッルスが解任した前任者グルゲスに凱旋式を実施させました。
その横暴な行動が祟り、紀元前290年に執政官職を離れると、メゲッルスは二人の護民官から告訴されました。これはおそらく執政官時代の独断的な行動や土地に関する問題が原因だったと考えられます。裁判では全33トリブス（行政区画）が一致して彼に有罪判決を下し、当時のローマ市民に科された罰金としては史上最高額となる500,000アスという巨額の罰金が課されました。
歴史家ティトゥス・リウィウスやハリカルナッソスのディオニュシオスの記述には、メゲッルスの凱旋式に関して混乱が見られます。メゲッルスが凱旋式を要求し元老院がこれを拒否、メゲッルスが護民官の支援を得ようとする、といった非常に類似したエピソードが、紀元前294年と紀元前291年の両方について語られています。現代の学者は、これらの記述は実際にはどちらか一方の年の出来事、おそらく紀元前294年の話が混乱して二つの年に記載されているか、あるいは、類似した二つのエピソードが混同されていると考えています。後者の解釈では、紀元前294年には元老院の反対にもかかわらずメゲッルスは凱旋式を強行したが、紀元前291年にも凱旋式を求めたものの、この時はすでに軍が解散されており、護民官も協力的でなかったため実現せず、さらに彼の敵対者である元老院が、彼が解任したグルゲスに凱旋式を実施させた、とされます。戦争が実質的に終結に向かっていた紀元前291年末には、元老院はもはやメゲッルスの常軌を逸した行動を容認する必要がなくなっていたのです。
記録に残るメゲッルスの最後の公的活動は、紀元前282年の出来事です。ルカニアやブルティウムからの攻撃に苦しんでいたマグナ・グラエキアのギリシア人都市トゥリオイがローマに助けを求めました。これに応じたローマがマグナ・グラエキア最大の都市ターレス（現ターラント）の湾内に船を進めた際、ターレスはこの行動をローマとの間の条約違反とみなしました。ターレスの人々はローマ船を攻撃し、さらにトゥリオイを攻撃してそこに住んでいたローマ人を捕虜としました。ローマは事態を収拾するため、メゲッルスをターレスに使節として派遣しました。彼は捕虜の解放と、ターレスの攻撃的な態度を改めるよう要求しました。しかしメゲッルスの要求は拒否されただけでなく、彼は大使に対して通常払われるべき敬意を一切払われず、嘲笑の対象となりました。ターレスの人々は彼のローマ風のトーガや、不完全なギリシア語を嘲り、彼を街から追い出した挙句、排尿までして見せたといいます。このターレスによる大使への侮辱的な行為は、後にローマとエピロス王ピュロスとの間で戦われるピュロス戦争の直接の引き金となりました。
メゲッルスの家族については、彼の父はルキウス、祖父はスプリウスであることが分かっています。また、彼には少なくとも一人の息子がおり、彼と同じくルキウス・ポストゥミウス・メゲッルスと名付けられていました。この息子は、第一次ポエニ戦争の3年目にあたる紀元前262年に執政官を務めています。
メゲッルスは、古くからの名門であるポストゥミウス氏族の出身です。この氏族は、平民（プレブス）が政治的権利の拡大を求めた「プレブスの身分闘争」（紀元前494年 - 紀元前287年）において、プレブスの政治的進出を制限しようとする保守強硬派の立場をとっていました。メゲッルス自身もまた、ローマ市民全体やプレブス出身の同僚に対して、抑圧的で威圧的な態度で接したとされています。彼の政治キャリアは、当時進行していたサムニウム戦争と密接に結びついており、戦功を背景に時には法を無視する行動にも出ました。特に、同一の高位職への10年以内の再任を禁じたゲヌキウス法に違反し、二度目の執政官からわずか3年後に三度目の執政官に就任しています。
彼の初期の公職歴は、紀元前307年に上級按察官（アエディリス・クルリス）に就任したことから始まります。この職は公共建築や祭儀の管理を担い、後に執政官となるためには必須とみなされる重要なポストでした。彼はこの任期中に、公共地の私的占有を禁止したリキニウス・セクスティウス法に違反した人々に対し、多額の罰金を科しました。そして、その罰金で得られた資金を用いてウィクトーリア神殿を建設することを誓い、この神殿は紀元前294年に完成しています。
紀元前305年、彼は初めて執政官の座に就きました。この年は第二次サムニウム戦争の最終段階にあたります。同僚執政官ティベリウス・ミヌキウス・アウグリヌスとともに軍を率い、歴史家ティトゥス・リウィウスによれば、ボヴィアヌムの戦いで勝利を収め、サムニウム人の拠点ボヴィアヌム（現ボヤーノ）を占領しました。ローマへの帰還途中、両執政官はソラ、アルピヌム（現アルピーノ）、ケレンニアといった都市も制圧しています。リウィウスはメゲッルスが凱旋式を行ったと記していますが、公式な記録である凱旋式のファスティにはその記録がありません。ボヴィアヌムの陥落はサムニウム人に講和を促し、翌紀元前304年に第二次サムニウム戦争は終結しました。
紀元前298年になると、南のサムニウムに加え、北のエトルリア、ウンブリア、そしてガリアが同盟を結び、ローマにとって新たな脅威が出現しました。この三国同盟によるローマ領侵攻が差し迫る中、経験豊富な軍人の必要性が高まりましたが、ゲヌキウス法の規定により、メゲッルスは再び執政官となることができませんでした。そこで彼はプロプラエトル（前法務官）として、インペリウム（軍事指揮権）を持つ特例的な地位を与えられ（privatus cum imperio）、1個軍団を率いてテヴェレ川右岸の「アゲル・ウァティカヌス」に駐屯しました。これは、後のセンティヌムの戦いへと繋がる一連の作戦の一部であり、メゲッルスはエトルリア、特にクルシウム付近に展開する敵軍への攻撃を命じられましたが、実際の戦闘には至らなかったようです。彼はその後ローマに戻り、彼の指揮する軍団は解散されました。
紀元前294年、メゲッルスは二度目の執政官に就任し、サムニウムとの南部戦線を担当しました。彼はサムニウムのいくつかの都市を攻略しましたが、アプリア（現プッリャ州中・北部）での戦いでは敗北し、自身も負傷して少数の兵と共にルケリア（現ルチェーラ）へと退却を余儀なくされました。ローマに戻って傷を癒す傍ら、彼はかつて上級按察官時代に科した罰金で建設を約束していたウィクトーリア神殿を建立しました。負傷から回復すると、彼は再びサムニウムに対する作戦に復帰し、ミリオニアとフェレンティヌム（現フェレンティーノ）を占領しました。ただし、メゲッルスがエトルリアで軍事行動を行ったとする他の記録も存在しますが、現代の歴史家はその信憑性を疑問視しています。その年の軍事行動が終了すると、メゲッルスはサムニウムでの勝利を記念して凱旋式を挙行しました。この凱旋式は、彼の戦線離脱を理由に元老院の政敵たちが資格がないとして強く反対したことで特に知られています。彼は慣習となっていた元老院の許可を得ずに、政敵の反対を押し切って凱旋式を実施しましたが、当然ながら彼に対する敵意は一層深まりました。
二度目の執政官任期を終えた翌年の紀元前293年、護民官の一人であったマルクス・コンティウムが、執政官時代のメゲッルスの行為について裁判を起こそうとしました。しかし、依然としてサムニウム戦争が継続しており、彼の軍事的才能がローマの危機に対処するために不可欠であったため、訴追は延期されました。彼は当時の執政官スプリウス・カルウィリウス・マクシムスのレガトゥス（高級副官）に任命され、戦争終結までその任に就きました。特にメゲッルスが重要な役割を果たしたアクイロニアの戦いでのスプリウス・カルウィリウスの勝利により、彼の裁判は結局行われませんでした。彼の敵対者たちも、その時の彼の人気を考慮すれば、裁判が行われても無罪となる可能性が高いと判断したためです。
紀元前292年末、メゲッルスは新たな執政官を選出するためのクリア民会を招集するためにインテルレクス（任期5日間の最高責任者）に任命されました。この時、サムニウム戦争がほぼ終結に向かっている状況に自信を得ていたメゲッルスは、異例の行動に出ます。それは、ゲヌキウス法に違反することを承知の上で、自身を執政官候補としたことです。選挙に勝利し、紀元前291年の執政官となった彼は、まず、各方面の指揮官を慣例のくじ引きではなく、自身をサムニウム戦線の最高司令官とすることを決定しました。同僚執政官ガイウス・ユニウス・ブブリクス・ブルトゥスはこれに反対しましたが、拒否権を行使しなかったため、メゲッルスの要求が通されました。サムニウム人の抵抗はほぼ終結しており、前年の執政官クィントゥス・ファビウス・マクシムス・グルゲスがプロコンスルとして引き続き軍を率いていたにもかかわらず、メゲッルスは新たに軍を編成し、サムニウム国境に進軍しました。この二年間にわたり、メゲッルスはサムニウムの未調査の土地を大量に獲得しており、法的には公有地と見なされるべき土地をあたかも自身の私有地であるかのように扱っていました。彼はサムニウムに入っても、コミニウムを包囲していたグルゲスの軍には直ちに合流せず、2,000の兵を伴ってかなりの時間を土地調査に費やした後に、ようやく合流しました。歴史家ハリカルナッソスのディオニュシオスによれば、これは嫉妬心からグルゲスがコミニウムを攻略するのを妨害しようとしたためだと言われています。
コミニウムに近づくと、メゲッルスは書簡でグルゲスに対し、サムニウムから撤退するよう命じました。しかしグルゲスは、自身の指揮権は元老院から与えられたものであるとしてこれを拒否し、元老院に指揮権の確認を求めました。元老院は代理人をメゲッルスのもとに派遣し、元老院の命令を無視すべきではないと伝えました。これに対しメゲッルスは、代理人に対し、ローマ執政官としての任務を遂行する上では、執政官が元老院に命令するのであり、元老院が執政官に業務の遂行方法を指図すべきではない、と傲慢に答弁しました。その後メゲッルスはコミニウムまで進軍し、グルゲスに対し自身の指揮下に入るよう強制しました。グルゲスはこれに従うしかなく、メゲッルスは両軍の指揮権を掌握し、グルゲスをローマに送り返しました。メゲッルスの指揮下でコミニウムは直ちに陥落し、続いてヒルピニ族に対する作戦を実施し、ウェヌシア（現ヴェノーザ）を占領しました。
ウェヌシアを占領したメゲッルスは、元老院に対しそこをローマの植民地とすることを推奨しました。元老院はこの提案を受け入れましたが、メゲッルスの政敵であったファビウス氏族がこれに介入し、植民者への土地分配や植民地建設の監督責任者としての役割は、メゲッルスには与えませんでした。これに激怒したメゲッルスは、戦利品がローマの国庫に入らないように、彼の兵士たち全てに分配してしまいました。さらに、彼の後任者が到着する前に、勝手に軍を解散させてしまいました。ローマに戻ったメゲッルスは凱旋式の実施を要求しましたが、元老院はこれを拒否しました。彼は市民の支援を求めましたが、熱心な支持は得られませんでした。続いて護民官の支援を求めましたが、賛成したのはわずか3人で、残り7人は反対でした。結局、元老院はコミニウム攻略における功績を認め、メゲッルスが解任した前任者グルゲスに凱旋式を実施させました。
その横暴な行動が祟り、紀元前290年に執政官職を離れると、メゲッルスは二人の護民官から告訴されました。これはおそらく執政官時代の独断的な行動や土地に関する問題が原因だったと考えられます。裁判では全33トリブス（行政区画）が一致して彼に有罪判決を下し、当時のローマ市民に科された罰金としては史上最高額となる500,000アスという巨額の罰金が課されました。
歴史家ティトゥス・リウィウスやハリカルナッソスのディオニュシオスの記述には、メゲッルスの凱旋式に関して混乱が見られます。メゲッルスが凱旋式を要求し元老院がこれを拒否、メゲッルスが護民官の支援を得ようとする、といった非常に類似したエピソードが、紀元前294年と紀元前291年の両方について語られています。現代の学者は、これらの記述は実際にはどちらか一方の年の出来事、おそらく紀元前294年の話が混乱して二つの年に記載されているか、あるいは、類似した二つのエピソードが混同されていると考えています。後者の解釈では、紀元前294年には元老院の反対にもかかわらずメゲッルスは凱旋式を強行したが、紀元前291年にも凱旋式を求めたものの、この時はすでに軍が解散されており、護民官も協力的でなかったため実現せず、さらに彼の敵対者である元老院が、彼が解任したグルゲスに凱旋式を実施させた、とされます。戦争が実質的に終結に向かっていた紀元前291年末には、元老院はもはやメゲッルスの常軌を逸した行動を容認する必要がなくなっていたのです。
記録に残るメゲッルスの最後の公的活動は、紀元前282年の出来事です。ルカニアやブルティウムからの攻撃に苦しんでいたマグナ・グラエキアのギリシア人都市トゥリオイがローマに助けを求めました。これに応じたローマがマグナ・グラエキア最大の都市ターレス（現ターラント）の湾内に船を進めた際、ターレスはこの行動をローマとの間の条約違反とみなしました。ターレスの人々はローマ船を攻撃し、さらにトゥリオイを攻撃してそこに住んでいたローマ人を捕虜としました。ローマは事態を収拾するため、メゲッルスをターレスに使節として派遣しました。彼は捕虜の解放と、ターレスの攻撃的な態度を改めるよう要求しました。しかしメゲッルスの要求は拒否されただけでなく、彼は大使に対して通常払われるべき敬意を一切払われず、嘲笑の対象となりました。ターレスの人々は彼のローマ風のトーガや、不完全なギリシア語を嘲り、彼を街から追い出した挙句、排尿までして見せたといいます。このターレスによる大使への侮辱的な行為は、後にローマとエピロス王ピュロスとの間で戦われるピュロス戦争の直接の引き金となりました。
メゲッルスの家族については、彼の父はルキウス、祖父はスプリウスであることが分かっています。また、彼には少なくとも一人の息子がおり、彼と同じくルキウス・ポストゥミウス・メゲッルスと名付けられていました。この息子は、第一次ポエニ戦争の3年目にあたる紀元前262年に執政官を務めています。
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