紀元前305年

紀元前305年

紀元前305年は、共和政ローマにおいてルキウス・ポストゥミウス・メゲッルスとティベリウス・ミヌキウス・アウグリヌスが執政官に就任した年として知られています。また、ローマ建国紀元では449年とされています。この年は、後にヨーロッパで広く普及する西暦（キリスト紀元）がまだ使われていなかった時代であり、紀年法は地域や文化によって異なっていました。干支では丙辰、日本では孝安天皇88年、中国では周の赧王10年にあたります。

世界の動向

紀元前308年から紀元前301年にかけて、オリエントから南アジアにかけての地域では、第四次ディアドコイ戦争が勃発しており、紀元前305年もその渦中にありました。この戦争は、アレクサンドロス大王の死後、後継者（ディアドコイ）たちが領土を争ったもので、各地で激しい戦闘が繰り広げられました。

エジプト

プトレマイオス1世がプトレマイオス朝エジプトの初代ファラオに即位し、新たな時代が始まりました。彼はアレクサンドリア港の突端にあるファロス島に、巨大な灯台の建設を命じました。このアレクサンドリア大灯台は、後の世に七不思議の一つとして数えられることになります。

メソポタミア

セレウコス1世が正式にシリア王を名乗り、セレウコス朝シリアが名実ともに成立しました。彼はチグリス川のほとりに新たな首都としてセレウキアを建設しました。また、この年、ロドス包囲戦が始まりました。これは、アンティゴノス1世の息子であるデメトリオス1世がロドス島を攻撃したもので、第四次ディアドコイ戦争の一環でした。

ギリシア、マケドニア

カッサンドロスがアンティパトロス朝マケドニアの初代王に即位し、アルキダモス4世がエウリュポン朝スパルタの第24代王に即位しました。

ローマ

共和政ローマでは、ルキウス・ポストゥミウス・メゲッルスとティベリウス・ミヌキウス・アウグリヌスが執政官に就任しました。また、ボウィアヌムの戦いでは、ローマ軍がサムニウム軍を破り、第二次サムニウム戦争における重要な勝利を収めました。

インド

セレウコス1世率いるシリア軍が北西インドに侵入しましたが、マウリヤ朝マガダ国の初代王チャンドラグプタはこれを撃退し、インダス川以西の4州を支配下におさめました。さらに、セレウコス1世の娘を息子の妃に迎えるという政治的な和解も行われました。

中国

中国では、趙の武霊王が中山国を攻撃し、領土を拡大しました。また、秦では後継者争いに敗れた公子荘が反乱を起こしましたが、すぐに鎮圧されました。この反乱をきっかけに、魏冄の権力がさらに増大しました。秦の樗里疾は、衛の蒲を攻めましたが、胡衍の取りなしで包囲を解き、その後、魏の皮下を攻めましたが、降伏しなかったため、引き上げました。

誕生

この年には、エラシストラトス（ヘレニズム期のギリシア人医師）、鄒衍（中国の戦国時代の思想家）が誕生しました。また、異説としてカリマコス（ヘレニズム期のギリシア人詩人）やアルシノエ1世（プトレマイオス朝エジプトの女王）の誕生年とする説もあります。

死去

この年には、古代ギリシアの彫刻家リュシッポスが亡くなりました。


紀元前305年は、各地で政治的な変動や戦争が起こり、新たな文化や王朝が生まれるなど、歴史が大きく動いた年でした。

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