レズビアン・ゲイ映画

レズビアン・ゲイ映画の世界

レズビアン・ゲイ映画は、レズビアン（女性同性愛者）やゲイ（男性同性愛者）の恋愛や人生を描いた映画作品を指します。恋愛に留まらず、同性愛者として生きる人々の喜びや悲しみ、葛藤といった多様な側面を表現したドラマや喜劇なども含まれます。近年は、クィア映画という包括的な呼び名も用いられるようになっています。

日本におけるレズビアン・ゲイ映画の歴史

日本では、同性愛をテーマにした映画は古くから存在しますが、長らくタブーとされてきました。初期の代表例としては、木下恵介監督の『惜春鳥』（1959年）、三島由紀夫原作の『肉体の学校』（1965年）、松本俊夫監督の『薔薇の葬列』（1969年）などがあります。これらの作品は、欧米におけるゲイ映画の隆盛と同時期、あるいはそれ以前から製作されていたにも関わらず、数は限られていました。

1980年代後半にイギリス映画『アナザー・カントリー』や『モーリス』が日本で公開されると、状況に変化が現れ始めます。1990年代に入ると、『らせんの素描』や橋口亮輔監督の『二十才の微熱』（監督自身もゲイであることを公表）といった、本格的な同性愛テーマの作品が数多く製作されるようになりました。

アジア各国でも、同性愛をテーマにした映画は製作されてきました。台湾[[映画]]では『孽子』（1986年）、ベルリン国際[[映画祭]]金熊賞受賞作『ウェディング・バンケット』（1993年）、『僕の恋、彼の秘密』（2004年）などが、香港映画では『さらば、わが愛/覇王別姫|さらば、わが愛_覇王別姫』（1993年）、『ブエノスアイレス』（1997年）、韓国映画では『王の男』（2005年）、『後悔なんてしない』（2006年）などが挙げられます。シンガポールでは、男性間の性行為が違法であるにもかかわらず、『アニバーサリー』（2009年）といった作品が製作されました。21世紀に入り、アジアにおける同性愛映画の製作本数は急増しています。

近年では、かつてゲイ・ポルノ映画や薔薇族映画と呼ばれた成人向け作品も、一般のゲイ映画作品と同様に、ロッテルダム国際[[映画祭]]などの国際映画祭や、レインボー・リール東京（旧・東京国際レズビアン&ゲイ映画祭）といった専門映画祭に出品されるようになり、両者の境界は曖昧になりつつあります。

日本では1992年に始まったレインボー・リール東京は、2023年で31回目を迎えました。他にも、関西クィア映画祭、香川レインボー映画祭、アジアンクィア映画祭（AQFF）など、多くの映画祭が開催され、レズビアン・ゲイ映画の普及に貢献しています。

代表的なレズビアン映画作品

日本[[映画]]では、『野戦看護婦』（1953年）、谷崎潤一郎原作の『卍』（1964年、1983年、1998年、2006年）、川端康成原作の『美しさと哀しみと』（1965年）、『赤い夜光虫』（1966年）、中島貞夫監督による大奥シリーズなど、歴史的に重要な作品が数多く存在します。近年では、『blue』（2003年）、『LOVE MY LIFE』（2007年）、『TOPLESS』（2008年）、『彼女』（2021年）など、多様な表現が試みられています。

代表的なゲイ映画作品

日本のゲイ映画を代表する作品として、『惜春鳥』（1959年）、『肉体の学校』（1965年）、『薔薇の葬列』（1969年）、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』（1983年）、小島康史監督の『らせんの素描』（1991年）、橋口亮輔監督の『二十才の微熱』（1993年）、『渚のシンドバッド』（1995年）、大島渚監督の『御法度』（1999年）、犬童一心監督の『メゾン・ド・ヒミコ』（2005年）などがあります。近年では、様々なタイプのゲイ映画が製作されており、多様性が増しています。

薔薇族映画

日本では長らく一般映画と区別されてきた薔薇族映画（成人映画）も、近年では国際映画祭やレインボー・リール東京で上映されるなど、その境界は曖昧になりつつあります。

レズビアン・ゲイドラマ作品

テレビドラマにおいても、レズビアンやゲイをテーマにした作品が増えています。日本の代表的な作品としては、『あすなろ白書』（1993年）、『同窓会』（1993年）、『おっさんずラブ』（2018年）、『きのう何食べた?』（2019年）などがあります。

世界におけるレズビアン・ゲイ映画

世界各国においても、レズビアン・ゲイ映画は発展を続けています。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど、多くの国で、歴史的にも重要な作品が製作されてきました。近年では、LGBTQ+をテーマにした映画が、世界中の映画祭で高い評価を受けています。

まとめ

レズビアン・ゲイ映画は、同性愛者を取り巻く社会や、個人の内面世界を多角的に映し出す重要な表現手段です。映画祭の開催や作品数の増加などから、その存在感はますます高まっており、今後も更なる発展が期待されます。

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