ヴュルテンベルク福音主義州教会

ヴュルテンベルク 福音主義州教会

ヴュルテンベルク福音主義州教会（Evangelische Landeskirche in Württemberg）は、ドイツ福音主義教会（EKD）を構成する20の州教会の一つであり、公法上の社団として位置づけられています。本部は州都シュトゥットガルトにあり、1209の教会共同体、約195万人の教会員を擁しています（2019年時点）。この教会はルター派であり、ルター派世界連盟と欧州福音主義教会共同体（GEKE）に加盟しています。また、ドイツ国内の合同派州教会の組織である福音主義合同教会（UEK）と、ルター派州教会のドイツ合同福音ルター派教会（VELKD）にも客員資格で加盟しています。

教会の拠点と教育機関

ヴュルテンベルク福音主義州教会の首座教会は、シュトゥットガルトのシュティフト教会です。ここは1534年にヴュルテンベルクで初めて福音主義の説教が行われた場所です。その他、ウルム大聖堂、ハイルブロンのキリアン教会、ロイトリンゲンのマリエン教会、エスリンゲン・アム・ネッカーの聖ディオニュシウス教会、シュヴェービッシュ・ハルの聖ミヒャエル教会も重要な教会として知られています。

教育施設としては、テュービンゲン福音主義シュティフト（神学生寮）があります。また、神学研修施設として1945年にバート・ボル福音アカデミーが開設され、ドイツで最初に開設された神学研修施設の一つです。1998年にはテュービンゲンにテュービンゲン福音主義音楽大学が開設され、1945年にエスリンゲンにあった同種の施設を基盤としています。

教会管轄地域

この教会の管轄地域は、かつてのヴュルテンベルク王国の領土とほぼ一致しています。1850年にプロイセンに併合されたホーエンツォレルン地方では、当初は古プロイセン合同福音主義教会の管轄でしたが、1950年にヴュルテンベルク福音主義州教会に正式に引き継がれました。その後、バーデン福音主義州教会との間で管轄地域の調整が行われています。

歴史

1534年、ウルリヒ公によってヴュルテンベルク公国に宗教改革が導入され、この年が教会の設立年とされています。公爵や後のヴュルテンベルク王は領邦教会の首長であり、世俗と教会の権力を兼ねていました。ヨハネス・ブレンツがこの地の宗教改革者となり、マルティン・ルターの思想に基づき改革を進めました。彼はシュトゥットガルトのシュティフト教会に埋葬されています。

ヴュルテンベルク福音主義州教会はルター派ですが、礼拝様式は改革派の影響を受けており、簡素な形で行われます。ドイツミサ様式はほとんど用いられません。1806年まではルター派の単一地域でしたが、ナポレオンによる領土再編でカトリック地域が編入されたため、単一宗派構造は終わりを迎えました。19世紀後半以降、カトリック地域にも福音主義教会共同体が設立されました。

教会運営は文部省内の教会関係会議が担当し、その議長がトップを務めていました。第一次世界大戦後、王が退位し、君主が教会の首長を兼ねる制度は廃止されました。1923/24年に教会憲章が制定され、教会議長が首長となりました。1933年からは州教会監督という称号に変更されました。

敬虔主義との関係

ヴュルテンベルク州教会の大きな特徴は、敬虔主義との密接な繋がりです。18世紀初頭、ヴュルテンベルクはカトリック勢力が強い地域における新教徒の拠点でした。そのため、ルター派の信仰を守ることが重要視されました。その反動として敬虔主義が広がり、個人の信心深さが重視されるようになりました。州教会と敬虔主義者の間には対立もありましたが、両者を理解する人々によって、今日まで敬虔主義は教会内で大きな影響力を保っています。

信仰告白文書

この教会が採用している信仰告白文書には、マルティン・ルターの小教理問答、ヨハネス・ブレンツによる信仰問答、アウクスブルク信仰告白、1934年のバルメン宣言、1945年のシュトゥットガルト罪責告白が含まれます。

教会指導部

教会のトップは州教会監督（Landesbischof）で、州教会総会で選出されます。当初は終身制でしたが、現在は最長68歳までと定められています。2006年からは在任期間が10年に制限されました。州教会監督は、教会の霊的な指導者であり、宣教を通じて教会を導きます。その職務は監督補佐や地区長によって支えられます。

教会運営は、1553年からは教会評議会と教会常議員会が共同で行ってきました。1806年以降は、宗教省、後に文部省の管轄下に置かれました。教会評議会は特別な部門として、主事、後に議長が代表を務めていました。

主な州教会監督

1924–1929: ヨハネス・フォン・メルツ
1929–1948: テオフィール・ヴルム
1948–1962: マルティン・ハウグ
1962–1969: エーリッヒ・アイヒェレ
1969–1979: ヘルムート・クラース
1979–1988: ハンス・フォン・ケラー
1988–1994: テオ・ゾルグ
1994–2001: エバーハルト・レンツ
2001–2005: ゲールハルト・マイヤー
2005–2022: フランク・オトフリート・ユリー
2022– : エルンスト＝ヴィルヘルム・ゴール

州教会総会

州教会総会は教会の議会であり、教会員の直接投票によって選出された議員で構成されます。ドイツ福音主義教会（EKD）の中で、直接選挙を実施しているのはヴュルテンベルク福音主義州教会だけです。議員の任期は6年で、教会の予算審議や規則制定を行います。議員は地域選挙区から選出され、様々な会派に所属しています。

2020年には、左派・リベラル派のザビーネ・フォスが総会議長に選出され、保守的とされてきたこの教会にとって大きな変化となりました。

主な会派

生ける信徒共同体: 保守的な福音派、敬虔主義グループ
福音と教会: 中間派
開かれた教会: 社会的リベラル派から左派的グループ
明日のための教会: 州教会改革を目指すグループ

ルター派教会礼拝式文

ヴュルテンベルク福音主義州教会の礼拝式文は、基本的に上部ドイツ様式と呼ばれる簡素な式文を用いますが、祝祭日にはラテン語ミサに由来する式文を用いることもあります。

上部ドイツ様式聖餐礼拝式文

A. 礼拝開始と祈祷

鐘楼で鐘を鳴らす
オルガン前奏
礼拝出席歓迎のあいさつ
讃美歌
礼拝開始のことば
詩編朗読
グロリア・パトリ
はじまりの祈り
黙祷
オルガン演奏

B. 宣教と信仰告白

聖書日課朗読
使徒信条、またはニケア信条の朗読
今週の讃美歌
福音書朗読と説教
讃美歌
罪の告白
赦しの言葉
顕現歌

C. 聖餐式

聖餐開始の言葉
聖餐制定の言葉
聖餐の祈り
平安の挨拶
配餐
聖餐感謝の祈り

D. 派遣と祝祷

代願祈祷
主の祈り
讃美歌
説教壇からの告示
派遣の言葉
祝祷
オルガン後奏

外部リンク

Offizielle Webseite
Verein für Württembergische Kirchengeschichte
* Evangelisches Gemeindeblatt für Württemberg

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