一柳直高

一柳直高

一柳直高（ひとつやなぎ なおたか）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての激動期を生きた美濃国の武将です。彼の足跡は、一柳氏の歴史の始まりを告げるとともに、時代のうねりの中で独自の生き方を選択した人物像を浮かび上がらせます。

生涯

直高は、伊予河野氏の一族で、美濃国厚見郡西野村（現在の岐阜県岐阜市西野町）に移り住んだ一柳宣高の子として生まれました。生年は享禄2年（1529年）と推定されています。

『寛政重修諸家譜』（以下『寛政譜』）には、直高の名前、没年月日、没年齢が記されていますが、父の跡を継いだこと以外に具体的な事績は詳述されていません。しかし、昭和初期に一柳家の子孫が編纂した『一柳家史紀要』によれば、父・宣高は土岐頼芸と行動を共にしたものの、直高自身は「故有りて仕へず」生涯を終えたとされています。また、『美濃明細記』には、斎藤義龍、斎藤龍興、織田信長に仕えたという記述も見られます。

弘治2年（1556年）の洪水時には、直高が西野村に住んでいたことが『美濃明細記』に記されており、西野村天神社を氏神として崇敬したと伝えられています。現在の岐阜市忠節町にある天神神社は、元々厚見郡今泉村にありましたが、長良川の水害や兵火によって荒廃。その後、当地に住んだ「一柳氏」が氏神として再興したとされています。

直高は天正8年（1580年）7月2日に52歳で死去したとされていますが、『美濃明細記』には同年7月10日に62歳で死去したという異説も存在します。

西野村にあった一柳家の屋敷跡は、現在、本願寺岐阜別院（浄土真宗本願寺派）となっています。本願寺岐阜別院によれば、元亀・天正年間（1570年 - 1592年）に顕如が美濃国を巡教した際、直高が帰依し本願寺の門徒になったと伝えられています。直高の墓の傍らに建てられた寺が、本願寺岐阜別院の起源であるとされています。

家族・親族

『寛政譜』には直高の妻に関する記述はありませんが、稲葉一鉄の姪（姉の娘）を娶ったという説があります。

直高の子である一柳直末、一柳直盛は、後に豊臣秀吉に仕え、それぞれ武功を立てました。また、桑名城主となった一柳可遊（一柳右近将監）を甥（弟の藤兵衛の子）とする系図も存在します。

天正18年（1590年）の小田原の役では、直末が山中城攻めで戦死。また、『寛政譜』によると、三男の直道（五郎兵衛）も陣中で没したと記されています。直盛の子孫は、江戸時代初頭に伊予国に西条藩、小松藩、川之江藩（のち播磨小野藩）の3つの藩を立て、大名として名を残しました。さらに、快川紹喜の法嗣となった南化玄興も直高の弟であると伝えられています。

このように、一柳直高は、戦国の世を生き抜き、その子孫たちが大名として名を残す礎を築いた人物として、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

『寛永諸家系図伝』
『寛政重修諸家譜』
『一柳家記』あるいは『一柳監物武功記』
『美濃明細記』
* 一柳貞吉『一柳家史紀要』1933年

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